主人公に早い段階から嫌悪感を抱いてしまうとこんな感想になります
長文の上にこき下ろします。不快に思われる方がいたら申し訳ありません。
「やっと終わった・・・」
プレイを終えた時、真っ先に頭に浮かんだ感想がこれでした。
正直に言ってこの作品、不快指数の高い主人公が最大の癌になっているのではと思います。
この主人公は最初からハーレム状態です。
幼いころ「契り」を交わした異世界から来た5人、それと幼馴染の女の子1人、
合計6人に好意を向けられながら物語が進行していきます。
このヒロイン達に対して主人公はとてもやさしい態度で接します。
終始この調子で物語が進んでくれれば楽しくプレイできたのかもしれません。
まず共通ルート。
プレイが進み、ヒロイン達が学校へ通うようになると「親衛隊」というウザキャラが登場します。
この親衛隊は、異世界から来た5人のヒロインのファンクラブ的な存在で、
何かにつけてヒロイン達に付きまとう・・・という学園モノならよく見かける設定のモブキャラです。
全体を通して登場頻度は少なく、ヒロイン達からも迷惑がられるギャグ要員のような位置付けなのですが・・・
この親衛隊に対して、やさしい主人公の性格が一変します。
「んだよ?」
「お前らには関係ねーだろ!」
「ぶっ飛ばすぞ!!」
主人公はこの親衛隊が絡むシーンでは常に大声で威圧する人物に「豹変」します。
ギャグがギャグで終われていないシーンが多く、ヒロイン達に接する時との温度差がありすぎて別人に見えました。
たしかに親衛隊というキャラはウザいのですが、主人公も大真面目にブチ切れてるものだから彼らと同類に見えてしまう。
ヒロインに近づいてくるモブキャラに対して過剰なまでに排他的になる人物という印象。
プレイ開始直後から主人公に対してえも言われぬ疑問を感じました。
その後、一番最初に進んだルーチェルート。
今から思うと、最初にこのルートからプレイしたのは失敗だったかもしれません。
と言うのも、このルートが一番主人公に対して不快感を覚えたからです。
ネタバレになるので詳しい内容は避けますが、ルーチェが異世界に戻って主人公と会えない日々が続くシーンがあります。
この時、主人公はルーチェに会えないイライラから親衛隊を殴り、教室の雰囲気を重くします。
ちょっかいを出す親衛隊も大概ですが、大声でどなり散らしながら親衛隊を殴り続ける主人公はそれ以上の小物に見えました。
「あの牛のように温厚なうっしーがとうとうキレた!」というクラスメイトからのフォローがありましたが、
常日頃からモブキャラに対して不遜に振る舞う態度を見せられると白々しさしか感じません。
また、物語が進むとルーチェの父親すらも殴り飛ばすシーンがあります。
ここではコメディタッチに描かれてましたが、私が鼻についたのは殴り飛ばす際にまったく逡巡していないこと。
普通、愛する女性の父親を深く考えもしないで殴れるものでしょうか?
それどころか、「殴れと言ったから殴っただけじゃねーか、注文の多いおっさんだな」と斜に構える態度。
ここまでプレイした時点で、私は完全にこの主人公に感情移入できなくなりました。
1人目を攻略し終えて感じたことを素直に書きます。
このライターさん、不快感なく読み手に伝える描き方があまり上手くない人という印象を持ちました。
例えば最初に挙げた親衛隊とのやりとり。
モブキャラをコミカルに見せるだけなら、ヒロインを好戦的にさせて主人公は止め役・・・などの見せ方は出来なかったのでしょうか?
また、ヒロインの父親を殴るという行為をギャグとして見せようとしているなら完全に失敗していると断言できます。
主人公というキャラを前面に押し出そうとしているのは分かりますが、これではただの沸点が低い暴走キャラにしか見えません。
こんな主人公を延々と見せられると、この人物に好意を抱くヒロイン達まで魅力が感じられなくなってしまいます。
好戦的で排他的、個別に入るとエロ脳全開。
さらに独占欲の塊で、ヒロインと接する時だけ態度がガラリと豹変する。
こんな不快指数の高い主人公が活躍するシナリオを、あと5人分も消化しなければならない。
何度もギブアップしそうになりながらプレイを進めるも、
・シナリオが無駄に長い。
・一枚絵の使い回しが多い。
・パロネタが多い。
・ホモネタもしつこい。
・常に何らかのポーズを取っている立ち絵に違和感。
・主人公を筆頭に、宮司、占い師、プロデューサー、果てはチンピラA~Cまで、不快感のみをまき散らす人物が随所に登場する。
など、不満点ばかりが目につく始末。
この作品はDVD-ROM2枚組でボリュームたっぷりなので、私は2人目攻略途中で早くもダレてしまいました。
主人公に感情移入できないと、その後どんな感動ストーリーが待っていたとしても物語に入り込めません。
それと、強く感じた点が一つ。
誰かと結ばれると、その他ヒロインによる「契り」の解除が行われるのですが、これがあっさりしすぎです。
あるルートでは、「皆に祝福してもらって契りを解いてもらった」と1クリックで終わっていました。
これではヒロイン達が本当に主人公を好きだったのかすら疑問に感じてしまいます。
ヒロイン達による修羅場が見たい訳ではありませんが、この辺はもう少しやりようがあったのではないでしょうか?
プレイヤーの目となり耳となる主人公に早い段階から嫌悪感を抱いてしまうとどうしてもこんな感想になります。
ヒロインとその他キャラとの態度の違いに温度差がありすぎて、二重人格では?と感じるシーンが本当に多かった。
「~なんだよ?」とか、「~だからね?」など、読み手に媚を売りながら語りかけてくる心理描写も×。
この主人公を許容できなかった私は今作を楽しむことができませんでした。
これからプレイを予定される方がいるなら、主人公はこういう人物像なんだなという心構えをしておいた方がいいかもしれません。