のんびりふんわりな内容。自分の偏見にまみれた魔法少女モノの概念を吹き飛ばしてくれた、ある意味意表を突かれた作品でした。ただ、その面白そうな設定を生かせているかは疑問。それと今作のHシーンは「可愛い」止まりで「エロい」まで到達出来ていないように見えます
ネタバレを多く含みます。ご注意ください。
珍しい魔法少女モノだなぁ・・・という印象でした。
エロゲー初心者である自分の魔法少女モノのイメージと言えば、
・序盤から魔法をバンバン使って事件を解決してゆく
・魔法を駆使して仲間と共に悪の組織的な何か(?)と戦う
・敗北後の魔法少女が悪者にひどい事をされる (←エロシーン)
まぁかなりの偏見ですが、自分の魔法少女モノのイメージって大体こんな感じだったんですよね。
自身初の魔法少女モノエロゲーが他作品のジブリールだったからかも知れませんが。
しかし今作の場合、魔法を使って目的に向かっていく・・・という、これまでよく見かけた内容では無く、
「魔法少女を卒業するために目的を探っていく」というちょっと珍しい内容でした。
魔法のシーンは最小限、ラストまで大きな山場なし、もちろん敵なんて一度も出てこない。
こういった同ジャンルの他作品とは一線を画している内容は個人的にはアリだと思います。
自分は凌辱シーンが苦手なので、この作品は最後まで安心してプレイすることが出来ました。
また、個人的に今作で一番評価したいのはBGM。
OP、ED、さらに各メインキャラに一曲ずつイメージソングが用意されていて作りこみを感じました。
中でも、「重ねあうキモチ」は可愛らしい変身シーンによく合った曲でとてもよかったです。
埋もれさせるには勿体ないなぁと思える良曲ですね。
ただ、そのシナリオがちょっと退屈。
のんびりふんわりな雰囲気に終始していて、基本的に平和な日常シーンが延々と続くだけの内容でした。
前述したとおり、どのルートでもラストまで大きな山場が訪れないのでだんだんダレてしまいます。
また、キャラが何をしたいのかがよくわからなかったシーンがいくつかあります。
ここからはネタバレですが・・・
例えば、
・みるくルート
みるくは最後のシーンで何故あそこまで魔法世界に帰りたかったのか?
途中、芽唯が発言したとおり、向こうには兄もいないし誰かが帰ってこいと言ってきたわけではない。
仲間を拒絶してまで帰りたがる理由がわからなかった。
・咲久耶ルート
終盤、何をしに咲久耶の精神にまで入り込んだのかわからない。
最後はフェラされて自己解決して現実に帰ってくるだけで、結局主人公は何をしに行ったのか。
上はほんの一例ですが、こんな感じでキャラの意図が掴めないシーンがいくつかありました。
日常シーンは丁寧に描かれているものの、ちょっと肝心なところで説明不足を感じてしまう内容だったかなぁ、と。
そして個人的にダメだったのは芽唯ルートの主人公。
嫌だという芽唯にディープキスを迫ったり、帰るという芽唯を強引に引き留めて自分の考えを一方的に押し付けたり。
自分の考えが肯定されるまで納得できない主人公は芽唯よりも子供に見えました。
さらに、初Hシーンでは愛撫を嫌がられた途端にいじける度量の狭さ。
そのくせテキストでは、「言ってて嫌になる」とか「罪悪感を感じる」などと主人公を擁護するようなテキストが何度も挿入される。
主人公を悪者にしたくないというライターさんの意図を強く感じるテキストだった印象です。
しかも芽唯との同棲中に甘える主人公の口調が・・・物っっ凄く気持ち悪い。
「芽唯ちゃんの可愛いお豆はどこかな~」とか「俺のちんこしゃぶるのは嫌じゃないんだよね?」とか、
あまつさえ「いいかなぁ芽唯ちゃん?パンツ脱ぎ脱ぎしましょうね?」とか「芽唯のおしっこ見たいなぁ~」とか・・・こいつ馬鹿?
というか、語尾に「~」と伸ばす表現が多く使われているので本当にイライラする。
演技とは言え、終盤の芽唯を突き放すシーンでは後ろから蹴り飛ばしたくなりました。
こんなキモ主人公に依存する芽唯というヒロインにもだんだん魅力が感じられなくなり、もう最後はクリック連打してしまいました。
可愛いキャラだっただけに勿体ない。エロゲーにおける主人公描写は大切な要素だと再認識しました。
また、自由に変身を解けなかった芽唯が、咲久耶シナリオでは自由に変身を解いていたりします。
この辺に複数ライターの弊害を感じました。
で、残念ながら肝心のHシーンもその辺の作品と大差ない印象でした。
○エロを感じない構図が多い。
足を閉じていたり、背中を向けていたり、中には胸すら露出していないCGもいくつか見られました。
主人公のペニスが透明だったり、着衣Hが多すぎるのも個人的にはマイナス要素。
可愛らしいポーズを取っているCGばかりでエロを感じる構図はほとんどありませんでした。
○一枚絵の変化が乏しい。
差分はそれなりに用意されているものの、そのほとんどが表情や汁描写が変わるだけ。
胸を揉んだ、乳首をつまんだ、キスをした。こういった状況をテキストだけで表現されても臨場感を感じません。
○テキストが退屈。
この点も特筆すべき所が無い残念点。
どこかで見たような無難な表現の連続でこの作品だけのオリジナリティはありませんでした。
胡桃シナリオでは伏字なし(ピー音あり)の淫語を頑張っていましたが・・・印象に残ったのはそれだけ。
ちなみに、上でも書きましたが芽唯シナリオは気持ち悪すぎて生理的に受け付けないテキストでした。
それと設定を生かしきれていたのかも疑問。
せっかく「魔法を使いすぎると性的衝動が止まらなくなる」というエロゲー特有の面白い設定があるのに、
それを生かしたHシーンは、胡桃シナリオ以外は最初の2、3回だけだったりします。
後半になるにつれそんな設定どこ吹く風のシーンだらけになり、あまり面白味を感じませんでした。
この作品、キャラは本当に可愛いかったです。
しかしその可愛らしいアイドル像が、悪い意味でそのままHシーンにまで反映されてしまっているようにも見えます。
多くのシーンで卑猥に感じる構図は無く、エロいと感じる下品さも薄い。
上で書いたように面白い設定があるにもかかわらず、キャラの理性が強いため淫乱になる等のギャップも弱い。
全体的に「可愛い」までで止まっている印象。「エロい」まで到達出来ていたシーンはごく一部だけでした。
これはプレイを終えて感じた事ですが・・・
Hシーンの構図や差分、テキストなどの視覚的効果はもっと他作品との差別化を意識しないと、
このような可愛らしいキャラクター作品は本当にエロい出来には仕上がらないのではないでしょうか。
実際、その辺に力を入れているブランドさんは少数ながらも確かに存在するわけですから。
「可愛い」であって「エロい」ではない。
こんな印象が強かった作品でした。