作りこまれたムービーは可能性を感じさせる。しかし、作品全体から漂う雰囲気や、Hシーンのシチュエーションから全然エロさを感じられない
プレイを終えて感じたことをそのまま書いていきます。
この作品で一番に評価したいこと、それは本作の特徴の一つであるムービー。
非常に丁寧に作られてる印象で、初見は本当に驚かされた。
例えば、あるムービー付きSEXシーン
動画開始(遅い動き)
↓
射精直前(動きが速くなる)
↓
射精シーン(局部アップ等の画面効果あり)
↓
事後描写(緩やかな動き)
これらが一連のムービーとして、別途コマンド入力など必要なく完結する。
さらにそのまま2回戦に突入し、
動画開始(キャラの表情と動きに変化あり)
↓
射精直前(動きが速くなる)
↓
射精シーン(中だし外出しそれぞれのパターンあり)
↓
事後描写(緩やかな動き)
このように、実際のSEXシーンのような描写が再現されている。
これは一例だが、ムービーシーンの作りは非常に丁寧だった印象を受けた。
一応、残念に感じた点もあるにはある。
・射精シーンがいまひとつ。
・多少のカクつきが見られる。(自分の低スペPCが原因?)
・全体が動くムービーシーン数が少ない。(メイン4人で2回ずつ。他は断面図しか動かない)
これらはちょっと残念に感じた点。
しかし、ただ動くだけではない作りのムービーは、本作の美点として素直に評価できると思う。
私事だが、ぜったいシリーズでお馴染みの某GRANDEE作品の感想で、
『滑らかに動くが一定の動きしかしない。もう少しスピードや表情等に変化が欲しい』という旨の感想をこのサイトで書いたことがある。
だが、この作品のムービーには自分が求めていたものに近い質があった。
このムービーを見て感じたことは「可能性を感じさせる」ということ。
まぁ、sistersやらホスピタリティなどの他の動画作品と比べると、もう一歩感は否めないかも知れないが、今後ここからさらに化ければ・・・
これからのメーカーさんの開発力に期待したいと思います。
だがこの作品、あくまで個人的にだが、かなり大きな不満点がある。
これはメインヒロイン4人のシナリオすべてに感じたことだが・・・はっきり言ってHシーンがあまりエロくなかった。
製作者サイドの、(抜きゲーなんだからこの辺でエロシーンいれとくか)みたいな作為を強く感じるシーンが多かったのだ。
そう感じた理由は大きく分けて4つある。
1つ目・・・リアリティを感じられない。
この作品の世界観は
・エロゲーを作るという目的の部を容認する学校。
・実際にHな事を体験しろ!と提案してくる顧問。
・セクハラ発言だらけのダメ主人公にヒロイン達が最初から好意を寄せている。
など突っ込みどころ満載。
そもそも、こんな主人公とHするヒロイン達が理解できない。
いきなり主人公の前でオナニーしだす茜とか、いきなり精液を飲みたいと言い出すやなぎなど、行動や発言もどこか現実的ではない。
世界観やキャラの掘り下げが曖昧なまま最初のHシーンに突入するので、Hに至る過程に説得力が感じられなかった。
2つ目・・・雰囲気にエロさを感じない。
この作品、前半のHシーンの大半が、「いいエロゲーを作るために、Hな事を体験してみよう!」というノリなのだが、
悪い意味で、そのノリがそのままHシーンのテキストに出てしまっているように見える。
例えば、ある序盤のフェラシーン。
シーン中の会話は、「エロゲーを作るための参考にするだけだから、さっさとイキなさいよ!」みたいなノリ。
恋人同士の互いに官能を高め合う行為・・・ではなく、「仕方なくやってる」になってしまっている。
事後の描写も実にあっさりしたもので、軽めの会話を挟んでさっさと終わってしまう。
中盤までの多くのシーンがこんな感じで、雰囲気から全然エロさを感じない。
普段の会話の軽いノリが、Hシーンの中まで続いてしまっているので、日常シーンの延長のように感じられた。
また、忍ルートは全編通してHシーンのテキストの質が非常に低い。
ウケ狙いの稚拙な言葉のオンパレードで、特に主人公に対しては不快感を覚えるレベルだった。
ヒロインの忍に対しても、「そんなに嫌なら何故もっと抵抗しないの?キミ強いんでしょ?」と、疑問が先立ってしまう。
そんな主人公と忍のHシーンは、エロい雰囲気どころかただの三文芝居にしか見えなかった。
3つ目・・・シーン内容がどれも似たような流れ。
これは作中すべてのHシーンに言える点。
特に、日向子と茜のシーン内容は、ほとんど「相手に卑猥なことを喋らせる→興奮して射精」という流れ。
また、忍のシーン内容は、恥ずかしがる忍に主人公が妙な理屈を押し付けてHに持ち込む・・・という展開が多い。
何度も似た展開が繰り返されるので、「またこれかよ」と食傷気味になったシーンが多くあった。
これはライターさんにとってはエロい内容なんだろうが・・・もう少し展開の幅を広げて欲しかった。
4つ目・・・CGから満足感が得られない。
これも作中すべてのHシーンに言える点。
基本的に、ヒロインの表情や汁描写が変わるだけで、最初の絵から大きな変化が起きることがない。
例えば、テキストでは「乳首を吸った」「キスをした」となっているのに、CGは最初の体勢からまったく変化しない。
ヒロインの表情も、行為中から射精中まで固定され、最後にやっと変化する、といったシーンも多い。
また、精液描写もペニスの角度からしておかしな方向に飛び散っているCGもあったりする。
このように、静止画のCG差分が変化に乏しい印象を持った。
ヒロインの足で胸が隠れてしまっている・・・など、アングルに不満を持ったCGが多かったのも残念。
絵から卑猥さを感じられないのも、エロさを感じられない原因の一つに感じた。
こんな感じで、中盤くらいまではHシーンが単純にエロくなかった。
そこからしばらく物語が進み、ようやく終盤くらいからエロの雰囲気が追いついてくるイメージ。
Hシーンの作り自体は大変素晴らしいのだが・・・肝心の中身にも、もう少し力を入れて欲しかった。
作中で澤ちゃん先生が言っている。
「お前らの作った作品で根本的にダメなのは、作品にリアリティがねーんだよ」と。
また、こうも言っている。
「どうすればもっとエロくなるのか、どうすればプレイした人間が喜ぶのか」
「それを考えれば、自然とリアリティを追及することになるはずだ」と。
御高説痛み入るが・・・個人的には、書いたライターさん自身がこれを実現出来ていないのでは?という印象が強かった。
大体こんな感じでプレイを終えました。
やや展開力に不満はあるものの、全体的に丁寧に作られている作品だと思います。
シナリオも抜きゲーにしては面白く、特に日向子シナリオは王道な展開ながらも楽しく読めました。
オープニングの「ゲーム買ってくださーい」を思い起こすと、素直によかったねと言えるストーリーでした。
全体が動くムービーシーンが少なかったのは残念ですが、今後ここからさらに化けることを期待したいメーカーさんですね。