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mmasaharuさんのレミニセンスの長文感想

ユーザー
mmasaharu
ゲーム
レミニセンス
ブランド
てぃ~ぐる
得点
67
参照数
2400

一言コメント

「暁の護衛」未プレイの私が感じた事をそのまま書きます

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ネタバレを多く含みます。ご注意ください。                                  


1、今作の感想

この作品、残念ながら個人的に良作ではありませんでした。


共通ルートはとても面白かったです。
特務官になった主人公が様々なプロジェクトを自分なりのやり方で解決していく様は読んでいて楽しかったです。
何気ない一幕に意味があるところや、地の文少なめのテキストもとても読みやすい。
各キャラクターの掘り下げも十分。世界観も綿密に構築されていて、序盤からスッと作品に入り込めました。

主人公もとてもいいキャラですね。
おふざけもあるけど要所では決める。こういう主人公は眺めてて気持ちいいです。
ちょっと秋の扱いに不満はありましたが、きちんと存在感がある人物でした。

ただ、ちょっと共通ルートが長いですね。
片桐食糧プラント問題や凛へのCM依頼など、明確にパート分けされているのだから章立て構成ならもっと良かったかも?と思いました。
いくら面白いとはいえ、長いストーリーを区切りなく見せられると少々ダレてしまいます。

あと、いくらなんでも特別区画の競売パート終盤は主人公の独り舞台になりすぎ。
仕事仲間や街の代表までも置いてけぼりにして重要な取り決めが次々と決められていく様は違和感を覚えます。
しかも何日もオフィスに戻らないだけでなく上司に経過報告するでもない。
普通、新人公務員にこんな越権行為は許されるものではないでしょう。
いくら架空のお話とは言え、もう少しリアリティを感じられたらよかったのにと思いました。

まぁ多少の突っ込みどころはあったものの、お話自体は非常に面白く引き込まれるものがあります。
「暁の護衛」未プレイの私でも、共通ルートだけは展開に置いて行かれる事もなく楽しく読む事ができました。


しかし、残念ながら個別ルートに入った途端、良作から一気に駄作になった印象です。
正直に書くと、書いたライターさんが面倒臭くなってブン投げたようにしか見えないルートばかりでした。

例えば凛ルート。
なぜ最後に警察が踏み込んでくるのか?なぜ恭一が金本に拷問めいたことをするのか?
主人公がめぐらせた策がどんなものであるかなどの当たり前の説明すらないまま物語は終わってしまう。

また、アクセラルートも同様。
なぜアクセラは秋本と呼ばれていたのか?
なぜアクセラは山梨ビルに居たのか?
結局アクセラは過去に何をしていたのか?
こういった様々な謎が全然解明されないまま駆け足で物語は終わってしまいます。

これはほんの一例ですが、ほとんどのルートで散りばめた伏線が全然回収されずに終わったように見えました。
広げた風呂敷を畳むことを放棄したかのようなシナリオは、ライターさんが面倒臭くなってブン投げたようにしか見えません。
また、希望ルートでは高坂特務官との婚約を解消した後も立ち絵に指輪が残ったままだったりもします。
こういった細かい点もやっつけ仕事だなぁと感じる一因でした。


プレイを終えて振り返ってみると、秋ルート以外は中途半端な印象しか残りませんでした。
というか、物語の根本は何も解決しないまま終わってますよね?
結局何がしたかったのか?物語の着地点がどこに向かっているのかすら不明瞭でした。
終わり方というのはある意味作品の核になりえる部分だと思っているので、
ここを疎かにしている作品は良作とみることはできない、というのが個人的な評価です。



さらにこの作品には残念に感じた点が3つあります。

1つ目は、不快、もしくは微グロ表現が多いこと。
目の前でセックスを見せつけられるだの、男女の区別もつかなくなるほど黒焦げになっただの、
こういった腹の底に黒いものが残る描写が多かった印象です。
一枚絵こそありませんでしたが、ルートによっては重い話もあり、そういう系が苦手な私にはちょっと怖いシーンもありました。

2つ目は、メイン・サブ問わず、女性キャラに非処女を匂わせる表現が多いこと。
使用済みコンドームを発見するとか、一度セックスしたくらいで~とか、こういった描写が本当に多かった。
途中までは「まさかね」と思ってましたが、アクセラにダッチワイフ機能~というくだりを見て、「ああ、これは狙ってるな」と感じました。
ロリだなんだと言われていたキズナにすら「記憶がないのでもしかしたら~」というセリフがあります。
サブキャラに彼氏がいるのはまだしも、メインヒロインにまで非処女を匂わす描写はいらないです。

3つ目はHシーンの完成度の低さ。
この作品、残念ながらその辺の作品と同じようにCGとテキストが合っていない箇所が多すぎます。

例えば、
 ・服を脱がすとなっているのにCGでは脱いでいる。
 ・舐めれるはずのない体勢なのにおっぱいを舐めたという。
 ・希望とのHシーンでは壁に手をついているとなっているのにCGでは騎上位のシーンもあったりする。
など違和感を覚えるシーン多数。

他にも、
 ・尺が短い。
 ・おふざけテキストが混じってくるシーンも多い。
 ・立ち絵と一枚絵の胸の大きさがどう見ても違う。
などの細かい残念点もあります。

さらに、BGVが無い、ピー音が長い、後半に偏りすぎ、シーン数自体が少ない(全16回、アペンドディスクなし)などの不満点もあります。
差分を用いて胸の揺れを表現するなどの工夫は見られたものの、その辺のCGが美しいだけの作品と大差ないなぁと感じました。


以上が「暁の護衛」未プレイの自分が今作で感じた印象です。




2、ブランドの姿勢

ところで、私は現在プレイ中の作品はこのサイトで他の方の感想を読まないようにしています。
これは私の作品の楽しみ方の一つで、ネタバレなどを読んで物語がつまらなくならないようにする為です。

で、プレイを終えて他の方の一言感想を流し読みすると・・・

あるわあるわ「暁の護衛」の文字。
この感想を投稿する際、初めてブランド過去作の「暁の護衛」をプレイしていないと本作が100%楽しめないという事を知りました。
少し調べてみたら「暁の護衛」の登場人物が本作でも出てきてたようですね。
過去作プレイ済みの方なら公式に出ていた「キズナ」「倉屋敷」の文字にピンと来るのかもしれないですが、未プレイ者である私には知る由もありません。
まぁプレイを進めるうちになんとなくそんな気はしていましたが・・・。


しかし、ブランド初心者の私にはあまりにも伏線を投げっぱなしにしていた内容でした。

 ・恭一とキズナは何者なのか?
 ・ユウキのメモリーの内容とは?
 ・恭一が見た過去の映像とは?
 ・キズナが恭一にあだ名をつけるとき、何故「かーくん」とつけようとしたのか?

こういった一つ一つの疑問点が、過去作をプレイしていれば楽しめたのかもしれないと思うと残念な気持ちになります。
ナンバリングタイトルにしろとまでは言いませんが、せめて公式で一言くらい注意書きが欲しかった。
私のように、何も知らずに発売日に購入された方は多分たくさんいるわけで・・・
こういった一見さんお断りなやり方は本当にやめていただきたい。
私には(暁みたいな有名タイトル皆やってるでしょ?)みたいなブランドさんの怠慢が見え隠れしてなりません。

さらにこの作品・・・どう考えても続編が出ますよね?
散りばめた伏線を投げっぱなしにして終わるという手法は意図しているとしか思えません。
実際、物語の根本はまったく解決しないまま終わっているわけですから。

公式で何の説明もせず、本作を単独タイトルであると思わせて購入させようとするやり方。
また、次回作を見据えてあえて本作では真相に迫ることはせず、次回も商品を購入させようとするやり方。
よくあるやり方かもしれませんが、もういい加減このような商法は苛立ちしか感じません。
こういった姿勢のブランドさんは個人的に応援することはできないですね。


内容の出来うんぬんより、ブランドさんのやり方に黒いものを感じる作品でした。
次回作からは様子見せざるを得なくなったのは本当に残念です。