新しい要素を取り入れようという開発の意図を全く感じられない手抜き作品
長文の上にこき下ろします。不快に思われる方がいたら申し訳ありません。
この作品、とにかくシナリオの大部分が絶望的につまらなかった。
まず思ったのはテキストの質。前作からまるで進歩していない。
・相変わらず同じ説明の繰り返しや、説明過多が非常に目立つ。
・主人公の思惑やキャラ同士の会話がテキストの主となっているため、Hシーン以外で地の文がほとんど使われていない。
・よくこんなに使おうとするな・・・と思ってしまうほど、今作もパロネタを多用している。
全編通してずっとこんな感じ。
ライターさんが思う「ボクの考える面白いお話」をひたすら押し付けられてる印象で、読み進めるのが苦痛だった。
ちょっと小説などを読む人なら、いかに質の低いテキストなのかプレイすればすぐわかるはず。
テキストの質は前作からまったく進歩していない印象だった。
全体の流れも非常に退屈。
共通ルートでは、ひたすら同じようなノリが最初から最後まで繰り返される。
・主人公がエッチなことを言わせようとする→ヒロインが照れて怒る。
・主人公が食べ物を出す→キャラ全員で取り合う。
・主人公がひたすら持ち上げられる→「みんなのおかげさ!」
・主人公の目線がヒロインの胸に→エロい音楽が一瞬流れる→「はっ!いかんいかん」
基本これの繰り返し。日常会話の面白味が圧倒的に足りない。
キャラ同士のセリフも、「えー」「にやにや」「ぶーーー」「体育館裏にこい」などこんなのばかり。
作中でこれらのノリやセリフを何度見たかわからないくらい同じことを繰り返していた。
ボキャブラリー欠如も甚だしい展開の薄さ。前作以上にダレる共通ルートだった。
個別ルートに入ってからも、昇格ヒロイン全ルートで「29話で恋人同士に→あとはHする」これの繰り返し。
特に酷かったのは、主人公が何の魅力もないただのサルに成り下がっていた事。
ヒロインとのセックスしか頭にない思考や行動が何度も何度も繰り返される。
言動も、「わーい、真智子の膣内だー」とか「もっとガッとこいよイエッス!」とかこいつ馬鹿?
一番期待してた優喜ルートも、ピンク脳丸出しの主人公のせいでヒロインの魅力が殺されていた。
個別の終盤では、主人公が活躍するシリアスを無理に入れてくるルートもある。
しかし、前述したサル化した主人公を延々と見せられた後では白々しさしか感じられない。
そのシリアスシーンでも、要所にギャグテイストなテキストを混ぜられたりするから始末が悪い。
オチも本編からの使い回しだったり、え?これで終わり?なルートばかりでガッカリした。
退屈な展開に稚拙な主人公描写。印象に残らないシナリオだらけだった。
さらに気になったのは、いい部分を伸ばしてない、悪い部分も全く変わっていない、という事。
・Hシーンでは相変わらずキャラにテキストウィンドウが被る。
・CGによっては精液が液体に見えない。飛び散る方向もおかしい。
・CGとテキストが合ってない箇所が多い。
・ピー音が長い。淫語が消えてしまってる。
・タイトル画面でバッグログが表示される。
・相変わらずどう動かせばいいのかわからないキー設定。
・優喜の初Hシーンで、普段着のはずの主人公が制服になってる。
・テキストの誤字が数か所、音声がテキストと合ってないバグも見られた。
など、前作で気になった点がまるで改善されていない。また、今作自体の作りこみの甘さも目立つ。
コンフィグのオーディオ設定も、昇格ヒロインが「その他」扱いになっているなど前作からの使い回しと思われる部分もある。
作品全体から伝わる手抜き感がすごい。製作者は何をやっていたんだと問いたくなる完成度だった。
総評すると「新しい要素を取り入れようという開発の意図を全く感じられない手抜き作品」
散々こき下ろしてしまったが、これが作品を終えて自分が感じた素直な感想。
好きな人には申し訳ないけれど、主人公がサルになっただけの手抜き作品にしか見えなかった。
ただ、前作ヒロインのアフターシナリオも楽しめるなど、FDにしてはボリュームたっぷりなのは評価できる点だと思う。
前作が好きな人にはたまらない作品かもしれない・・・が、個人的には残念な出来だった。
・・・と思いながら進めていたが、最後の最後にプレイした佳代子ルートだけは素晴らしい出来だった。
家族や仲間、そして主人公の優しさが素直に伝わってくるシナリオでとても癒された。
尺もダラダラ間延びせず丁度いい長さ。終わり方もすっきり纏まっていて世界観に引き込まれた。
これぞファンディスク。途中でブン投げなくて本当によかった。
前作からの長い長い道のりが、このルートで報われた気がしました。