複数作品の合同FDと、FDを前提にしない作品のFDの難しさ
複数作品の合同FDというものの難しさとかについてはあとで語るとして、まずはプレイしての感想。
あっぷりけ3作品はどれも好きなので、なかなかに楽しかったです。あっぷりけ放送局はかなりカオスでしたが村報を映像化するとこうなるのかーという感じで楽しかったです。
コンチェルトストレイジは麻雀ゲームとしての要素抜きでストーリーモードが楽しめました。タマを安易に完全復活にせず、それでいて、最後に陰ながら見守るシーンを入れることで救いもあってGJ(タマが完全復活しちゃったら本編はなんだったんだということになるので)。進矢と莉都は相変わらず良い相棒でした
# 麻雀ゲーのおまけストーリーと思いきや、進矢と莉都の関係性の再確認、お互いへの信頼、タマへの救済
# などちゃんとしていました。
# 正直、1周目のストーリーモードでは麻雀モードを強制OFFにした方が良かったのではないかと思う
# これのON/OFFでストーリーモードの印象が全く変わっちゃって、進矢や莉都のいい場面が見られないので…
黄昏のシンセミアAfterは…銀子さんとのその後のバカップルぶりの片鱗が披露されたりと、楽しくないわけじゃないのだけど、このシナリオで何をしたかったのか、がイマイチ不明瞭。強いて推測するなら、銀子さん(お母さんver)が語ったように、「あの悲劇」が起こらなかった世界が一つあってもいいんじゃないか?ということになるのでしょうけど、それに対して春菜に関する描写が多すぎましたし。
みあそらAfterは、人気投票一位にも関わらずシナリオがなかったアルシナリオが一番の目玉でしょうね。ゆうとが幼い頃に会っていた、お化け屋敷の女の子=アル、に気づいたところはアルの反応にニヤニヤしてました。
# みあそらのプレイ人口考えると、これ楽しめる人は一体どれくらい居るのだろう?
あっぷりけ放送局は村報の規模拡大かつ映像・音声付きということでとてもカオスでしたが、笑わせてもらいました。解放されるフラグメントは、シンセミアヒロイン勢がやや優遇、みあそら、コンチェルトノートが同じくらいでしょうか。「兄と妹」のフラグメントや、銀子さんのお宅訪問のフラグメント、その他、通常のフラグメントはおおむね良かったのですが、反面、ほぼHシーンオンリーのフラグメントは内容が薄かったのが不満ですね。いきなりHシーン突入ではさすがに風情がなさ過ぎる…
というわけで、あっぷりけ三作品全部プレイ済みのユーザとしてはなかなか楽しめました。もうちょっとボリュームが欲しいかなと思うところはあれど、FDとしてはこのくらいが妥当かというところでしょうか。
さて、一言感想に書いた「複数作品の合同FDというものの難しさ」について。上に書いたように、今回のFDは自分やその他の「あっぷりけファン」は楽しめただろうなと思う一方で、売り上げが最も多かっであろうシンセミアから入った人(特にシンセミアというよりさくやを気に入った人)は不満に思うだろうなと思います。ライターの桐月氏は、一作品でも知っていれば楽しめるように書いたという趣旨のことを書いてましたが、ぶっちゃけ、作品のファンにとっては、その他の作品のFDを詰めあわされても抱き合わせ販売みたいなものだと思うんですよ。実際、Twitterでもシンセミアのさくや好きから早くも不満が出ていますし。3作品とも知名度が高ければまだいいんですが、売り上げ・知名度は
黄昏のシンセミア >>>>>> コンチェルトノート >>>>>>> 見上げた空におちていく
ですからねえ。確か、スタッフ日記だったかで、シンセミアFDの方が売り上げ的にもコスト的にも
確実という趣旨のことをディレクターの方が書いていましたが、全くその通りというか。過去作品から支えてきてくれたファンが居るから、シンセミアがあるのであって、初期からのファンも大事にしたいということで合同FDにしたという話だったかと思います。この姿勢は割と本気で貫かれていて、FD中のフラグメントは、特定の攻略ヒロインに偏らないようにできるだけ均等な個数になるようになっています。その姿勢は真摯だと思います。ただ、多数のユーザが求めるのは人気上位のヒロインとのシナリオなのが現実であって。少数派のユーザを大事にするあまり、多数派のユーザが求めるであろう、人気上位のヒロインを軸に据えなかったのは失敗じゃなかろうかと1ファンとして思います。
少数のメーカーファンをも大事にした結果、多数派のシンセミアファンを結果的に蔑ろにしてしまった(かもしれない)というのはなんとも難しいところです。あとは、やはりFDを作らない前提で綺麗に完結した作品にシナリオを付け足すのは難しいのだろうなと。FD商法というのはよく揶揄されますが、あれはあらかじめ作品にFDを作れる隙がなければ成立しないもので、シンセミアみたいにFDで入る要素を全部本編に入れてしまった作品だとFDで話を追加しても「おまけ」以上のものになりえないんですよね。
とりとめもなく感想を書いてみましたが、あっぷりけ作品ではさんざんFDの要望があったのにFDを作るのを避けていた理由がよくわかった気がします。とりあえず、新作の「死ぬ分岐がない」主人公の、明るい学園ものを楽しみにして、感想を締めたいと思います。