「眩しさだけは、忘れなかった」この言葉がすべてを物語ってました。
一言総評。
「眩しさだけは 忘れなかった。」
本当、この言葉がすべての物語でした。
夢を忘れた大人が子供の時のキラキラした夏休みを思い出す作品です。
最後に追記しました。
以下、個別キャラ√の感想。書いている順が攻略順です。1キャラ攻略するごとに感想を書いています。
久島鴎
鴎√の展開は今までKEYが得意としてきた分野を感じれる内容でした。
特にKEY作品は日常を良く書いてるけど、基本的にはファンタジーということを改めて再認識しました。笑
本√は今までの作品の焼き直し、と悪く感じるヒトもいるかも知れませんが、
ある意味、王道な展開でシッカリ泣き展開に持っていく所にライターさんの技量を感じました。
前半は鴎と一緒に鍵探しイベント、中盤に冒険イベント、終盤が真実の開示、とシナリオもきれいにまとまっており、
非常に読みやすいテキストで1人目の攻略に向いていると思います。
終盤では、「あーこの後の展開は絶対コレでしょ!見え見えだわー」と思いつつも、
一つ一つのセリフを読み勧めながらじわじわと泣けて来るような展開がいやらしいなと個人的には思います。笑
また、主人公が舞台の島に来た理由もほんとに少しだけ開示されるのも、このルートを最初にやるのに適していると思う理由の一つです。
あえてネガティブに捉えると:リトバス2みたいな感じ
余談ですが、終盤出てくる鴎のお母さんの演技がすごすぎて、正直あのお母さんに泣かされたと言っても過言でないレベル・・・。
というか、こういう病弱で健気な女の子には弱いんだよ・・・鴎、いいキャラでした。
最後のイベント絵が可愛すぎてデスクトップ画面にしてます。笑
紬ヴェンダース
最初に言っておきたいのが、エンディングスタッフロール前のイベント絵が超絶綺麗です。
しかもその時に流れるBGMの歌詞が、正直冷静に聞いたら笑っちゃうような内容なはずなのにもう号泣です。
皆さん紬√を終わらせたらもう一度、「紬の夏休み」を効いてみてください。絶対ハマります。そして泣きます。笑
この時点で2人目の攻略ですが、総じてイベント絵のクオリティの高さに脱帽します。(背景や立ち絵ももちろん素晴らしいです・・・)
物語的には中盤で若干のミスリードを誘発するような展開がありましたが、物語終盤に向けてのまとめ方は綺麗でした。
個人的に評価したいのが、先述のイベント絵まで物語の真実を直接的には提示せずに進行した所です。
最近の様々な作品では物語を直接的に説明するような展開のものが多いですが、
あえてそれを避けることで読了感の良いものに仕上がっていると思います。
また、自分の中で高評価なのがキャスティングです。誰ですかこの声優さんをキャスティングしたのは!!(褒め言葉)
正直、個人的には紬のようなキャラクターは、なんというかコテコテの萌キャラな感じで(まぁ実際そうですが)あまり好きになれないのですが、
この声優さんは紬の可愛らしさ、純粋さを最大限に引き出せていると思います。
ある意味、CLANNADやAIRを彷彿させるものが要所要所にありますが、麻枝准氏が書いていたら(本人もインタビューで言っていますが)、
焼き直しとなってしまうところを、他のライターさんが書いたことによって新たな形が提示されたのでは無いでしょうか?
あえてネガティブに捉えると:CLANNAD2みたいな感じ、ちょっとキャラが本作の雰囲気とあってないと捉えられなくもない。
鴎の最後のイベント絵をデスクトップ画面にしてましたが、ここに来て紬のイベント絵に差し替えるか悩み中です。。。
空門蒼
本作No.1のポンコツ脳みそピンクチョロインです。現時点では一般的なギャルゲーのメインヒロインとして一番可愛いと思います。
特に巫女さん姿の蒼はかなり可愛い!巫女良いですね!巫女!やっぱ巫女ですよ!
ただ、シナリオに関しては・・・ちょっと惜しい!
本作の根幹の設定を成す(のかな?)、「七影蝶」の説明やそれが関係する事件が発生する都合上、
シナリオ的にかなり重要なのは伺うことができましたが、鴎→紬→蒼と攻略してきた現在では、
他の√と比較するとちょっと「弱い」シナリオだと感じてしまいました。
例えば、蒼の姉の藍が昏睡状態になった理由や、目覚める過程、
また展開がバレバレでしたが蒼が今度は眠りから覚めなくなるという一連のプロットに、
ガツン!と泣かせに来るというのが薄かったと思われます。
ただ、主人公が蒼の七影蝶をさわった際の記憶のフラッシュバックはかなりいいシーンでした。
キャラクターデザインと声がかなりマッチしていると感じられ、その点ではシナリオを読み進めるのに違和感を抱きませんでした。
またこの√ではKEYのプログラム技術(というよりかは演出技術)の高さに気付く場面が多かったです。
例えば、七影蝶の飛んでいるところや、七影蝶からキヲクを見てしまったときの文字演出、
物語終盤の蒼の記憶の際の感情が伝わってくるシーンなどでの魅せ方は素晴らしいです。
んー惜しい、ホント惜しい、好みの問題かもしれませんが、前の2人の√が個人的に良かった分、今回の√が微妙に見えてしまう・・・。
この√をプレイして何故かあかべぇそふとつぅの「ぼくの一人戦争」を思い出しました。(別に似たシーンがあるわけでもないのに)
なんだかんだ、チョロい蒼との掛け合いは楽しかったです。笑
鳴瀬しろは
本√は最後にプレイすることをおすすめします。というのも、明らかに今後のTRUE√の展開に深く関連するテキストが存在するので。
最初に言っておくと、「しろはLOVE♡!」です、圧倒的に可愛い。
声優さんも素晴らしい。自分はヘッドセットで音声を聞きながらプレイしていますが、しろはの声を聴くとなんかゾクゾクしますね。
特にしろはの声優さんの「さ行」の発音がすごい良いです。笑
(でも、実は紬√でしろはが「わたあめさん」っていう声が一番ゾクゾクしますが)というのは置いといて・・・。
しろは√は泣けるポイントはあまりないです。自分は本√をプレイした際は一切泣きはしませんでしたね。
物語終盤でちょっと泣かせに来てる?ようなポイントがありますが基本的にその場所以外は特になし。
まぁしろはに関しては後にTRUE√エンドがあるのでしょう。そっちに期待と。
プロローグにおいて、どのキャラクターよりも否定されたしろはですが、
シナリオが進むにつれてどんどん心を開いていく感じが、プレイしていて非常に良かったです。
物語終盤のしろはの衣装姿は必見ですね。とにかくイベント絵が美しい。
正直、こういう雰囲気の衣装は他のギャルゲーでも扱ってたりはしますが、なんというか今回のデザインは「しつこくない」んです。
盛りまくったデザインではなく、現実的なデザインで非常に好感が持てました。
最後に、エンディングの掛け合いは非常にワクワクしました。なんの未来視をしたんでしょうねぇ・・・。
ちなみに、しろは√に出てくるしろはの祖父ですが、彼の立ち絵はもうちょっと何とかならなかったのかな・・・とちょっと思いました。
いやだっておもしろすぎるんですよ、意味の分からないポージングで。あえてそれで笑わせてきてるのかもしれませんが。
「どすこい!」
-------------------ここから下は都合上かなりネタバレが含まれます。----------------------
ALKA TALE
MDプレーヤーが伏線だったとわぁぁぁぁぁぁ!
本作のテーマはズバリっ!!! 「家族愛」です! 「家族愛」大好きだねKEY!
2016年から「原点回帰」のスローガンを掲げているビジュアルアーツですが、ここに来てそれを理解しました。
ぶっちゃけて言うと、「Summer Pockets = ( AIR + CLANNAD + リトバス ) / 3」です。
もうちょっと詳しく要素を解析すると、「Summer Pockets = ( ONE + KANNON + AIR + CLANNAD + リトバス + 12月のイヴ + ナツユメナギサ ) / 7」です。
コレを、いい方向に解釈するか、悪い方向に解釈するかが本作の評価の分かれどころであるというのを感じました。
個人的には、麻枝准が書かずにこの原点回帰をなし得ているのは、今後のKEYとして良い舵を取ったのではと思います。
そして、本作をやっていてすっごい懐かしい気持ちになる理由もわかりました。
だって舞台がAIRが発売された2000年じゃないかあぁぁぁ!
そもそも舞台設定がセルフオマージュであったとは・・・。
で、肝心なALKA TALE√に関してですが、
個別キャラ√を繰り返しているときからどんどん幼児退行をしていたうみちゃんが更に幼児退行して、本√ではそのうみちゃんを含めて主人公としろはが擬似家族として生活をしていきます。
この家族として生活する描写はさすがでしたね。特に母親としてのポジションを理解していくしろはの過程が非常によく書かれていたと思います。
自分は読み進めていく過程で「これもしかしてうみちゃんは娘じゃね?」って勝手に思ったりしていましたが、まさかの当たりでした。笑
ストーリー展開はCLANNADのTRUE√を想起させるような内容で、個人的には非常に懐かしい気持ちでプレイしていましたが、
ここは先述の通り良い方向でも悪い方向でも解釈できると思います。
人によっては、見覚えのあるシーンの焼き直し、という風に思うかもしれません。
それでも、本√のしろはとうみちゃんが可愛すぎる!もうそれだけで癒やしですね。
前回のしろは√でしろはの声優さんの演技力に悶絶してた私ですが、本√でのしろはのセリフを聞くに、より好感を持ちました。
コレはお気に入り登録せざるを得ないですね。笑
また、本√終盤の挿入歌の入り方も素晴らしかったです。あのシーンは何度見ても泣けます。
しかも聞き返すとあの挿入歌の歌詞も奥深いんですよね、一度注意して聞いてみるのをおすすめします。
さぁここから「Pocket」√・・・。
大団円を迎えられるのでしょうか?
余談ですが、妊娠したしろはのイベント絵のシーンで、しろはが歌ってる子守唄「ゆりかごの唄」が昔、自分の母親がよく歌ってくれたものなので号泣しました。(T_T)
Pocket
賛否両論だと思います。昔から鍵作品をやってきた人は、焼き直しに近いと言うかもしれません。
確かに、要所要所で今までKEYが大切にしてきたモノの片鱗を感じることができるのでそう感じる人もいるかも知れません。
しかし、KEYに触れてきたことがない人には間違いなく魂の作品の一つとなり得る作品だったと思います。
ただ、思い出してほしいのが本作は麻枝准は原案なだけで書いてないんですよね、
それでこのクオリティの作品。KEYの新しい門出の作品という風に個人的には感じられます。脱麻枝准という感じで。
自分は麻枝准信者、KEY信者なのでかなり肯定的な意見になりますが・・・。笑
個人的に評価したいのは「君の名は。」的なエンディングに見せて、そうではなくKEY独自の解釈をしてるところですね。
あのすれ違いイベント絵は本当に素晴らしい。それでただ通り過ぎてしまうというのも・・・。
また、最近は物語のエンディングにすべて説明してしまうものが多いですが、本作のような今後の解釈をオーディエンスに委ねる作風は大好物です。
ラスト前の羽未ちゃんのイベント絵はギャルゲー界屈指の美麗イラストだと思います。
後半は正直、クリックするごとに涙を流してました。前述しましたが、しろはと羽未ちゃんの声優さんの演技が素晴らしすぎますね・・・。
というか、ALKA TALEでしろはがイベント絵シーンで歌ってた「ゆりかごの唄」がまさかの挿入歌で出てくるとは・・・。
もう涙が止まりませんでした。
また、グランドエンディングテーマも名曲でした。「ポケットをふくらませて」・・・まさに麻枝節が大爆発してますね。(編曲は麻枝准じゃないので本人は「俺の手を離れてる」といいそうですが笑)
ただ・・・
「彼らは傷付いていたから、出会えた。もし、その傷がなければ……出会わないのだろうか」
と書いたのにもかかわらず、出会ってしまったのはちょっと違和感。
出会わないで終わるか、
この一文がなくて出会って終わるかだったら綺麗に終わったと思いました。
以下、総評です。
ALKA TALEの感想で『本作のテーマはズバリっ!!! 「家族愛」です!』と書きましたがコレは正確ではなくて、
本作のテーマは「家族愛」と「夏休み」です。
「家族愛」に関しては、ALKA TALE → Pocket のシナリオにおけるしろはと羽未の掛け合いからも明白ですが、
「夏休み」に関しては、かなり多くの要素を含んでいるような気がします。
そもそも本作のタイトルから全開なんですよね・・・。
「Summer Pockets」
最初にこのタイトルを見たときは、「なんてダサいタイトルなんだ?」と思いました・・・。
過去に「リトルバスターズ!」の発表のときは、「コレは普通のタイトルに見せて、the pillowsのLITTLE BUSTERSから取ってるな!さすが麻枝准」って思いましたが(殺伐RADIOでそれは否定してました笑)、
本作のタイトルからはそういうものを感じなかったんですよね。
ただ、すべての√を見終わった今となっては、このタイトルしかありえない!と感じます。
本作の一番大きな流れは、「夏休みを終わらせること」なんですよね。
作中で鏡子さんが意味深な感じで言ってます。
「~ずっと夏休みだよなんて言われたら・・・・・・自由なように見えて・・・・・・それは、大きな籠の中に閉じ込められてるのと同じなのかもしれない」
コレがおそらく本作で伝えたかったことなんじゃないかなと思います。
永遠に続く夏休み、「籠」を望むのではなくて、
楽しかった夏休みの思い出は「ポケット」に入れて前に進むべきなんですね。
OP曲のアルカテイルでも、
「今も何度でもボクは 夏の面影の中 繰り返すよ」から「今も何度でもボクは 夏の面影を 振り返るよ」
になってるわけです。
思い出は振り返って未来への糧にするのは良くても、思い出に浸って過去に生きてはならない。示しているのでは?と感じます。
だから、Pocket√ラストでは、主人公たちはあの夏に楽しい夏休みがあったことは感じられても「思い出せない」んですね。
それはもうポケットに入れた思い出になったから。
コレがキャッチフレーズにある、「眩しさだけは、忘れなかった」を示していると思います。
あの夏の眩しさ(楽しい思い出)だけは忘れなかった・・・けど、細かいことは忘れてしまうわけで。
だからこそ、本作のタイトルは「Summer Pockets」で良いんです。
ゲーム内のキャラクターたちのポケット、プレイヤーの我々のポケット、
夏休みの思い出はそんなポケットの中に入れて前を向いて生きていく、
そういうのを伝えてきている気がします。
そういうことからも「Summer Pockets」って誰がつけたんだよ!って思いますね。
深い・・・。
(自分が勝手に深く感じてる可能性のほうが大きいので、話半分にお願いします。笑)
追記:
後々になって色々と余韻から考えてみると、
主人公がしろはを失ったことによって、うみちゃんにたいしてネグレクトが発生していることに関して、一切葛藤や罪の意識などの描写がなかったのが、よく考えると表現不足だったなと。
実は他にも冷静になると(笑)いくつかの部分で気になることがあるので、
もし今点数をつけ直すなら・・・86点ぐらいになっちゃうかなぁと。
まぁでも、点数は変えずに13点分は今後への期待と鍵信者票として変更しないでおきます。