9・Q・求・救・窮。「 」した物語とは。
シリーズものの作品ということで、Episode1つでも起承転結があり、明かされない謎等ありつつも1つの物語としても楽しめるもの。例えるならばライトノベルの1巻のようなものを期待していましたが、残念ながらそれは叶いませんでした。起承転までは楽しくプレイできるのですが、結が投げっぱなしというべきか、尻すぼみと言うべきか……いや、「何も起きなかった世界」ということなんでしょう。ただ、転までで盛り上がった私の気持ちの行き場がありません。恋愛を除いたストーリーの部分だけを見てしまえば、「面白かったから次をプレイしたい」ではなく、「この作品に散りばめられた謎を知りたいから次をプレイしたい」という、ちょっと首を傾げてしまう感覚に陥っています。一点へと収束していく物語、一つのことを多方面から観測する物語、これが一体どういう作品なのか完結していないためわからないのは当たり前で、自分でも上手く言えませんが、このEpisodeだけで終わる"物語"が欲しかったです(自分は物語というものは幾つもの小さな糸のような物語が絡み合い構成されているものだと捉えています。その中には中心となるべきものがあったり、その中心へと束ねられるものがあったり、中心とは交わらないまでも独立して主張するものであったり。ここでいう"物語"というのは、中心にあるものではなく、周辺の中心と比べれば小さな物語という意味です)。自分は主人公の死亡ENDでもなんでも良かったんですよ。「面白かった! 続きを読ませろ!」と言えるだけのものを求めていたんですよ。自分はこのEpisode単体では別の場所にある中心の物語を際だたせるための物語に感じられてなりませんでした。
と、それっぽいことを言いつつも、実際のところは九條都というキャラクターのビジュアルや性格に惹かれ購入に走った人間のため、そっちについても語らねば嘘でしょう。いやむしろエロゲーなんですから、そっちが本筋でしょうか?
見ず知らずの関係から会話をする相手、友人と呼べるような関係から恋人まで(いや、見ず知らずと友人期間なかったような?w)。その関係性の変遷と、それに伴うヒロインの見せる表情の違いには思わずニヤニヤしつつプレイする手が止まりませんでした。関係の変化を期待し、のぼせてしまう主人公が自分の事を童貞思考と表する場面もあるのですが、童貞思考万歳ですよ! そういう意味で主人公にはとても好感を持つ事ができましたね。能力を使ったえっちな表現も「その手があったか!」と思ってしまって、とってもえっち。もっとえっちな関係になった場面も見たかったのですが、この尺の中ではここまでかな、と。
シリーズものということで、今後続いていくはずですが、個人的には公式HPに並ぶヒロインらしき4人の中では九條都が1番好みだったため、これからどうするかについては未定です。今後これだけは入れて欲しいという要素がありして、今回は死亡フラグが立った枝、立たなかった枝という2つの枝がありました。しかし、「フラグが立たなかった枝」というのは重要な情報を「知らなかった枝」でした。「その情報を知った上で死亡フラグを折る枝」をプレイしたい。知らないことというのは1つの救いではありますが、逃げと捉えることも出来、消化不良に感じてしまうのも私という人間です。そして、あの二人の今後についても見たい。主人公の能力かなにかで今まで辿ってきた枝を見渡す場面が出てくるのが定番な気がしますが。いや、ここに書く意味は薄いですね。ただ、書かずにはいられなかったということで。