Vol.1の時点であまりにも面白く、この先も期待しかない。
PROLOGUEからそうでしたが、キャラクターの心情の描き方や、プレイヤーの心を手玉に取り心を抉るのがあまりにも上手い。頭に浮かぶ希望は「そんなものはないのだ」と言わんばかりにすぐさま撃ち落とされてしまう。心を抉る物語が好きな自分にとってはご褒美のような作品。
そして、ここでVol.1は終わりではないのかという区切りを何度も乗り越えた先にあったのは、物語の主人公、ヒーローとしての力を獲得するというもの。物語としてのプロローグはPROLOGUEで描かれていたが、Vol.1は作品としてのプロローグだったように感じる。Vol.2以降をプレイすることでまた違った感想を抱くかもしれないが。
「セーブ&ロード」、まさに次元の違う力を手に入れることとなった英雄。
この作者ならば「選択すること」「やり直すことができること」でより地獄のような苦しみへと導いてくれるという期待を抱いています。この力とノベルゲームという媒体を使ったナニカがあったりしたら最高ですね。Vol.1の時点で、最後まで物語を描くことが出来れば自分のノベルゲーム史に刻まれることが確定しているレベルだったりします。人が過ぎた力を得、それを行使した時に待つものは心を引き裂かれるような絶望だと相場は決まっています。誰もを助けることができる力は、誰かが救われないことを受け入れられない力。そして、「誰か」の中には自身は含まれているのか。英雄が鳴海と大介が戦うのを見ていることしか出来ないことによる苦しみが、愛する二人が心配だからなのか、失ってしまったことへの恐怖からなのか、自らの無力感から来ているのか、どの気持ちが大きいのかが英雄のこれからの行動に関わる要素な気がしています。
今の所「いつか父親になるAVG」というキャッチコピー(ジャンル)と作品の繋がりが感じられないですが、これが果たしてどうなっていくのか非常に楽しみです。