妹の幻影にやや不満
ただ一人の家族である妹を奪われた男が復讐として犯人の娘たちを汚していく話
個人的に良かった点
・人物の心理描写が丁寧
主人公への好感度によりヒロイン同士がけんかしたり、逆にわだかまりのあった姉妹が仲直りしたりと分岐するのがいい。壊された時のモノローグもその人物がどうしてその性格だったのかの種明かしとしてはうってつけだったと思う
主人公に関しても随所に人の良さ、そして心の弱さがにじみ出るような描写がされており、徹底して「弱者」として位置づけられている気がして共感できた。
一方で良くなかった点
・ストーリーが説明不足、駆け足気味
現実の妹の登場・および回想シーンが少ない一方、悪態をつく幻想の妹の会話シーンが多くプレイヤー目線では奈々の印象が悪く感じる。善良で優しいかけがえのない妹が醜悪な犯罪者たちに汚されて奪われて、おまけに権力を盾に真相も闇の中…主人公にとっては生き地獄の中で復讐を決意し実行していくのだがプレイヤー目線だと奈々の情報が少ない内に復讐パートに入りやたら主人公を心理攻撃してくる奈々ばかり描写される
幻影の奈々が主人公を攻撃ばかりする理由自体には納得が出来たが、それだけでなく主人公による「優しかった奈々の思い出」の回想があった方がプレイヤーがより主人公に感情移入出来て良かったのではと思う
犯人にしても奈々の事件をもみ消すほどの権力があり、葵のエンドでも訴訟の道は険しいとまで「強者」として描かれているのにエンド10であっさり復讐されてるのが残念
「フラニテルテ」でもそうだけど,すべての元凶である強い邪悪があっさり退場するのがなんかスッキリしない‥まあ現実もそんなもんなのかもしれませんが…
短めの物語で説明の足りない所もありましたが「弱い立場の人間による決して報われることのない復讐」として凄く心に残りました。欲を言えばトゥルーエンドと思われるエンド10をもっと長くしっかり(主人公の復讐シーンや解放後のヒロインたちの回想など)描いて欲しかったです。
妹の幻影が2回、本来の意図(主人公を責める)とは異なる行動・言動をしたのが少し無に落ちない。最後の1回に限っては「病室で眠る本当の妹が主人公を想い起きた奇跡」で納得がいくのだが、最初の1回目は言動も表情も幻影そのもの、なぜあんな発言・行動をしたのかが…うーん、わかりません。誰か教えてください。