久しぶりにこんな長文書いたよ… それだけ私にとって印象的な作品だったともいえますが^^ 誰にでも…というわけにはいきませんがお勧めできる作品
久しぶりに感想を書きました^^
今回は感想というよりむしろ考察ですかね
ネタバレ全開なのでやってない人は読まない方が良いと思います
というか読まずに物語を楽しんでほしいなあ…
そして終わった後に私の感想を読んでくれたらこれほど幸せなものはないですね^^
まあ、考察と書いてはいますが…実はChapter1に関してはもうほとんど覚えてなかったり…
ですのでそこだけはご容赦いただけると幸いです
一番力入れたのはとも氏のシナリオ考察かな?
まあ、なんにせよ点数を見ていただければわかるかと思いますが100点
私の中では100点はこれひとつだけでしょうかね今のところ
すごく高評価させていただいております
それほど私の心にくるものがあった、そういうことです
あ、あと値段もですが…
そんなわけでクリアして暇な方、読んでいただけると幸いです^^
Chapter1
圧倒的な世界観
圧倒的な描写力
とても引き込まれました
エンディング近辺なんて泣きっぱなし
綺麗事なんて、必要ない
そんなのは遺される人間のエゴでしかない
死は醜く汚いのが当然だ
…美しく静かになんて、死ねない
…穏やかに安らかになんて、眠れない
この5行にごぉさんの伝えたかった死生観がすべて凝縮されていると私は思う
死ぬ人はやはりつらいのだ
言わないだけで本当は未練が多く残っているのだ
それをキャラクターの心情などを絡めて描いた物語
彼の描いた物語で私は死生観ではなく彼の演出力を評価したいと思う
Chapter2
普通のゲームを基準にしたら十分すぎるほどの良作
でもこれはnarcissu
その観点で評価してしまうともう一段足りないのではないかなと思う
とかいいつつボロ泣きだった自分がいますが……
変わっていくチサト
変えていくお兄さん
この描き方がもったいない
これのためにシナリオの大半を費やしてしまっていて、肝心の死生観に関する部分が非常に弱い
もっと長編だったならしっかり描ききれたのかもしれないね
このシナリオでは中心となっているのは死生観ではなくこちらなのだろう
本心を曝け出すということ
”死”が近づいて自分に素直になれる、そんな少女の話なのだと思う
そして、これはある意味我々の社会を痛烈に批判しているのかもしれない
チサトと”お兄さん”はどちらも周囲、社会に迫られて嘘をつくという事を覚えるようになった
”死”が近づかないと自分を素直に表現することができない
それを形作っているのは社会であり周囲の人々であると
そんな社会に対する痛烈な批判であり、彼女の設定を利用してそのことを伝えたかったのではないかと思う
さて、弱いといった肝心の死生観についても言及するとしよう
とはいっても多くは語れそうにもないけれども……
なぜ私が死生観が弱い物語であると結論を下したかというところを説明したい
Ci計画が希望を示したのに対し、どんなにがんばっても努力の届かない”死”というものを対比させている
また、生きるものと死ぬ者を対比させてもいる
シーラスと水仙の絵に関しても対比が行われていた
”お兄さん”のシーラスは昼の青空
チサトの”水仙”は星空
(いまいち私の頭の中では星空には結びつかないのですが作中で描かれているので…水仙という花をそのような視点で見たことがないからかもしれませんね)
その絵をして、最後に主人公は提案する
これらの両方のいいとこどり
どちらも空をモチーフにしていることからカレとカノジョの性格の根幹が一緒であったこと
それだけ示すためだけに使われていた
ここに私は疑問を持った
それまで行ってきた対比はなんだったのか?
……どうにも解決できそうにない
私はてっきり絵にそれぞれの死生観をあらわすものだと思っていた
それが読み取れなかったのは非常に残念である
物語を盛り上げるためという観点ではそれで正解なのだろうが
死生観というものをもっとしっかりとした形で与えてほしかったように思う
ついでに…もう少し日常部分何とかないものかな
他のシナリオに比べて日常が萌えゲーっぽかった
13話カズアキの決断からは
ああ、narcissuだ…と感じたけれども
まあ、なんにせよもう一度やってみるとするかね……
Chapter3
あー…最初はホモかと思いましたよ…
いい意味で騙されました
もうボロ泣き…駄目ですね。私どうやら涙腺が緩いみたいだ
流石にベテランなだけあって非常に構成がうまい
ついでにおそらく一番心情描写のうまいライターだと思う
このシナリオはChapter2とは打って変わって死生観を前面に押し出したものになっている
「余命3ヵ月と3年と30年に違いなんてあるのかよ」
久也が拓人と出会ってから大体3ヵ月程、それが彼らの時間
たった3ヵ月
その短い時間、彼らがすごした時間はどうだっただろうか
拓人のおかげで久也は新しい喜びを知り、新たな世界を知り…
その彼らの時間は果たして3年、30年と友達を続けてきた人たちの友情に劣るだろうか?
それが早狩氏の投げかけたテーマだった
そしてそれを多くの対比によって現している
彼の描く物語はその友情はそれらに劣らないことを教えてくれている
たった3ヵ月、客観的に見たらどう見ても3年、30年の友情に劣りそうなものだ
だが、彼は時間は関係ないと描いて見せた
久也にとって拓人はどのような存在か?
かけがえのない親友なのである
息子に彼の名前をつける辺りから類推すると当然なのだが…
たった3ヵ月で、だ
久也の余命というものも同様なのである
残り3ヵ月という短い時間だったとしても人生の中でもっともすばらしい時間だった
それはとても価値のあるもので尊いもので……
時間はそこには介入する余地すらないものなのである
一番顕著なのはラストなのだろう
久也の子供、そして彼女。
彼らは久也の時間が残り少ないにも関わらずやってきたのである
どうせ死ぬとか残り時間は少ないからとかそういった感情はそこにはない
彼女はただ純粋に久也とのかけがえのない時間を過ごしに来ただけなのである
人がいつ死ぬかわからないという当然の命題を拓人の死で表した後にこの話を持ってくるのは流石だと感心した
久也は彼女と会ってまもなく眠るように死んでいく
その少しの間に久也は再び人生の中でかけがえのない物を得た
3ヵ月で得られる幸せ、この少しの時間で得られる幸せ、そして彼の人生27年での幸せ
それを対比した上で幸せに時間は関係ない
そう氏は言っているのである
氏は最初から最後までその姿勢を崩さずに物語を描ききった
非常にすばらしい作品だと思う
Chapter4
すごくとも氏らしい作品
最初銀色かと思った……いや、まじで
というよりも…まんま銀色の一つ目のシナリオに酷似している
この物語は7階と一切関係がない(のかな?)
ナルキ1、2はもうだいぶ忘れてしまっているからこの後にやろうと思っている
ヨハンの過去で神の加護というものをあげている
俺には加護があったから生き延びたという
なら相手には加護がなかったのか?
その答えをイリスとであった時点での彼はまだ持ち合わせていない
最初彼は訳がわからなかったに違いない
なぜ見ず知らずの女の子を助けるのか?
彼はわからないから言う
「気が向いただけだ」と
それはきっかけ
彼女と行動して次第に彼女は変化していく
そう、人を殺さないようになっていった
彼女自身その理由はわからなかったのかもしれない
しかし彼女自身ヨハンのいう「人を殺せば自分も血を流すことになる」その意味を感覚的に感じ取っていたのだろう
「人を殺せば自分も血を流すことになる」というのは物理的な意味もあるのかもしれないがおそらく違う
心の話をしているのだと思った
人を殺し続けたヨハンが至ったのはそこだったのだろう
だから彼は死に場所を求めたのかもしれない
その彼女の変化はヨハンの考えにも何か変化を生じたのだろう
そえは考えというよりもただ感じ取っただけなのかもしれない
彼らの心情の変化
それは彼らが相手の人生を肯定することにつながっている
自分のためになら他人は死んでもかまわない
その考え方はしだいに変わっていくのである
自分の人生が肯定されるのであれば、相手の人生もまた肯定されるべきものである、と
作中の表現を見る限りそこまで明確なものは二人とも持ち合わせていないようだが感覚的な理解がなされたのだろう
これが最初の疑問の答えとなっているのだと思う
そして最後
もう逃げ切れないだろうという時、ヨハンはわが身を犠牲にし、死ぬことを選ぶ
いや、それは死ぬことを選んだのではない
イリスに必要とされている、それに答えただけだろう
「人は…誰かに『必要』とされるからこそ人である…」
イリスの最初の言葉
これはヨハンにも当てはまるのだ
いきずりの人間でしかないイリスと行動をともにし、そして彼女のために殉ずるのはなぜなのか
その答えはこの言葉で表されているのではないかと私は思う
彼は何で死んだのだろうか?
もしヨハンなら死に場所を求めたに過ぎないと返すのかもしれない
彼はおそらくこのときにはもう気づいていたのだろう
相手の人生の肯定に
だからイリスにもうお前は人を殺すなという
自分はもう引き返せないところにいる、だが彼女は違う
そういったところだろう
イリスのために死ぬ
それは彼の死に理由をつけるものだったのではないか
誰にも必要とされず死に行くのはもはやそれは人間ではない
人は誰かに『必要』とされてこそ人である
つまり彼は人として死んだのである
結局片岡とも氏の伝えたかった死生観は二つ
・相手の人生の肯定
・人に対する必要
いざ並べてみるとこの二つは非常に似通っているように感じた
そして実にnarcissuらしいと感じた
7階の住人に共通していること、それは
7階の住人以外の人々に対して彼らの人生を肯定する人がおらず、彼らを必要としている人もいないということだ
それは果たして人と呼べるのだろうか?
当人たちはそう感じていなかったからこそ自殺したのだろうと思う
彼ら7階の住人はもう”人”ではない
そう彼らは感じていたのである
これこそがnarcissu私はそう感じた
この物語は現代の医療体制に対しての批判なのだと思う
彼らのやっていることはもはや相手を人間として扱っていないに同義である、と
ところでPRODUCTにある1993はとも氏の経験を表しているのだろうか?
それだとしたらなんとなく納得のいくものがある
彼の描く世界観、作風それは異色のものだと思う
以前から不思議だったのだ
萌えゲーが多い中で彼の書く物語は一風変わっていた
これを読んで少し納得した気がする
できることなら一度彼と話してみたいものだと思う
最後に少しだけ自分の総評を…
物語としてすばらしかったのは1~3章
深かったのは3、4章だと私は思った
…歌がすばらしすぎるんだよ
最初は今回の歌は微妙かななんて思っていたけど…雰囲気と合っていてすばらしかった
歌だけではないですね、BGMもすごくよかった
3、4章の死生観に関しては私の見解は上にあげたとおりです
正直すごく考えさせられた
年齢的にはごぉさんや酢橙さんに近いはずなんですが…
とも氏の読みが外れたのか自分がオヤジくさいということなのか…死生観は早狩氏、とも氏に近かったように感じます
ついでにもし点数をつけるのなら
死神の花嫁92
Ci90
メサイア95
小さなイリス97
これに歌の点数、そして値段を加味して100点をあげたいと思う
すばらしい作品だった
はっきりいって私程度のレビュアーではこの作品のすばらしさを表すことができなかったように思います
もっと文章をまとめる力をつけたいものですね
あとあくまで上に挙げてきたのは私の見解です
他の人はもっと違う見方なのかもしれませんね^^
そして最後に…ここまで読んでくださった方ありがとうございました