想うことが確かな未来に繋がる訳ではない。分岐の数だけ救いがある。叩きつけられた感傷の中で彼女たちが何を思ってきたかを各々最後に語ってくれる、このノスタルジックにただただ胸を打たれる。
印象に残ったシーンが、三つあります。
ローザルート終盤の猫が満足そうな声を上げたところと、百合乃ルート終盤で百合野の首を絞めた際に彼女が「死にたくない」と断末魔に等しい一言をか細く零したところと、柘榴ルート終盤の雪の中で柘榴が寒さを感じたところです。
どれも甲乙つけがたい、主人公の末路を彩る最高のノスタルジックでした。
シナリオとしては、ド派手な立ち回りがスカッとするレベルの翠子さんがスーパー好感度高。
ヒロインによって主人公の依存っぷりとかが温度差あることもあり、その違い含め楽しめました。
柘榴がとにかくいい子。
序盤で迎えることのできるシナリオで、達磨となった彼女と一緒に見世物小屋で過ごす余生もある意味幸福。
最終ルートである小梅シナリオの存在も、物語の終焉を優しく包み込んでくれ、全体のボリューム、完成度と、ミドルプライスの作品としては理想のボリューム&読後感でした。
プレイ時間はほぼ1日。またこんな名作に巡り合いたいものです。