音声のついた紙芝居ゲーは、ゆるい気持ちで遊べます。しかしゲーム性の高いものですと、そうは行きません。きちんと読み込んで理解していないと先に進めない作りは、とってもしっかりしていました。ゲームシステムが物珍しく、そこに一番期待したと言っても過言ではなかったので満足度は高いです。シナリオの作りはいつも通りの深沢節でした。想像できる範囲がとても高いので、かなり考えさせられます。最終シナリオは、音声を絶対にオンにしてください。
深沢豊さんの作品が好きです。
待っていました。
10年、待ちました。
このために、PSPを買いました。
の割には、クリアするまで時間かかりましたけれど。
ややこしいんですもん。
私が遊んだ深沢さん作品の中では、かなり地味な方だと思います。
年齢制限が無いこともあり、そういう過激さも勿論存在せず。
絵もキャラクターデザインも地味です。
登場人物も地味です。性格に奇抜さがありません。
全てにおいて地味なので、おちゃらけとかありません。
重い時は何処までも重く、何処までも落ちていきます。あいたたた。
本作、セカンドノベルは深沢さんが以前開発していたTrue Color,が関連している作品です。
脳に障害を持ち記憶を15分しか所持できない彼女が紡ぐ物語の構成を、お手伝いしてあげるお話です。
お話の中でお話を作るお話です。
True Color,はそういうモチーフで、当時発表されていました。
今でもTrue Color,のHPは残っています。
True Color,で検索かければ、上の方に出てきます。
True Color,という作品の開発が今後どうなるかは、正直分かりません。
セカンドノベルは一応、True Color,と繋がりのあるお話、ということだったと思うんですけどね。
あまりにも。
あまりにも、ネタ的な部分がダダ被りでして。
True Color,のHPには、村上春樹のノルウェーの森を引用した文言があります。
セカンドノベルも、ノルウェーの森意識している節があります。
これTrue Color,をセカンドノベルに作り変えちゃったんじゃね的な。
不安が残ります・・・。
一応別物で、あくまでリンクしているだけ! と名言はされていたと思うのですけれど。
それではTrue Color,はいつになるの的な。
待ちますけどね。ここまで来たら待ち続けますけれどね。
セカンドノベルは全年齢対象。
True Color,は年齢制限対象。
年齢制限がかけられるからこそのシナリオってのにも、期待は込み上がってしまうのです。
で。
それはいいとして。セカンドノベルですね。
ヒロインの綾野さんは、高校生の時に負った事故で脳に記憶障害を得てしまいました。
落ちたのです。学校の屋上から。
その一週間程前、綾野さんの幼馴染であるユウイチという少年も屋上から落ちて死亡していました。
綾野さんは後追いしたのではないかと、当時は囁かれていたそうです。
主人公は、綾野さんとユウイチの共通の友人でした。
親友でした。そんなポジションでした。
しかし事故のことで疎遠になり、進学や就職で地を離れてからは全く連絡を取らないでいたみたいです。
久しぶりに地元に帰って来た主人公は、綾野さんと再会を果たします。
綾野さんの記憶は15分しか持ちません。
15分で、リセットされます。
綾野さんの記憶は、高校生の当時のままで止まっています。
勿論それでは支障が出るので、綾野さんも現状をすぐに把握できるよう必要なことを書いた手帳を持ち歩いています。
なので、日常という意味でコミュニケーションを取るのに問題はありませんでした。
ただ事故に合った近辺の記憶は曖昧になっている模様で、結局ユウイチの自殺や綾野さんが飛び降りた理由が判明することはありませんでした。
そんなある日です。
綾野さんは、お話を語り出します。
それは彼女が在学時代に作っていた、物語だそうです。
彼女の物語に出てくる主要人物は、彼女の周りの人をモデルにしているみたいでした。
主人公だと思われる女子高生、アヤノ。
その幼馴染のユウイチ。着かず離れずの、距離。
物語に、主人公は登場しませんでした。
綾野さんが話すことを主人公がメモり、15分でリセットされるごとに
それをまとめカード上にしたものを綾野さんに見せ、物語を理解させます。
理解させ、その続きを促します。
その創作の中に、五年前の事故の真相が含まれているのではないかと、二人は作業を進めるのでした。
綾野さんにお話を語らせるストーリーモード。
そのお話をまとめ、ぱっと目で内容が分かるようにカードにまとめるフラグメントモード。
この二つのモードを順番に進め、綾野さんのお話を完成に促すのが主人公の役割です。
ただぼーっと読み進めるだけでは、先に進むことはできません。
きちんと綾野さんや主人公の会話を聞いていないといけないんです。
チュートリアルもあり、彼女等の会話もヒントを飛び越し「このカードを出せ!」っていう解答ど真ん中のものもあるので、難易度はそこまでは高くないでしょう。
攻略見ながらではなく、自分も一緒に作業することで話の中に溶け込むのが一番楽しめるスタイルだと思います。
書淫が難しく、自力攻略諦めたら結構すんなり終わっちゃったーーーーの二の舞を繰り返さなかったこともあり、私かなりのめり込みましたぜ。
いえ、それでも結構詰まってましたけれど。お恥ずかしい。
綾野さんの語るお話自体は、到って平凡なパターンが多いです。
もうすぐ夏休みだね、とか。
テストの点どうだった、とか。
物語とは言え、アヤノさんとユウイチとがイチャイチャくっちゃべっている様を見ているだけとか、主人公悲惨ってレベルじゃありませんね。
勿論この主人公は、綾野さんに惚れていました。どどんまい。
そんな平凡さの中、必ずキーワードとして上がってきていたのが学園の七不思議的なものでした。
あとコックリさんとか。そういう、非科学的なの。
それによって、悲惨な結末が待っていたりもしました。
中盤からの強いミステリー色にはドキドキさせられました。
怖い的な意味でも。わるいこたべられちゃう。
お話には、いくつもの終結法がありました。
選択肢は綾野さんの裁量で増やされます。
みんな綾野さん任せ。
少しずつ増えていくヒントを現実に寄せていく緊迫感も、たまりません。
何が伏線って言われたら全てが伏線とも言えちゃうので。
自分で色々考えるのが好きな人は、大喜びの内容でしょう。
逆に全ての事に対し具体的かつ分かりやすく教材的解説がないとイヤ! ってタイプのお方には合わない内容だと思います。
深沢さんの作品みんなそうですし。どどんまい。
EX1、EX2でがっと増えた情報量の中、何を正解とするか。
主人公、プレイヤーの役割を担っていた直哉の欺瞞で歪められた、綾野さんの作った物語。
それは綾野さんの物語に対する、セカンドノベルとなります。
その直哉の物語を、さらに視点を変え練り直したもの。
それは直哉の物語に対する、セカンドノベルとなります。
創作とは何か、深く考えさせられました。
相変わらず面白い着眼点だと思います。
ちなみに本作、True Color,含め氏のゲームを遊んでいたり知っていたりすると、かなりニヤつく場面も多々あります。
っていうか目立ちすぎて浮いて浮いてで、逆に私は顔をしかめてしまいました。
ひどい内輪ネタ!
不満点としては・・・うーん・・・。
高めようと思えば、残虐性はもっと上を狙えたでしょう。
PSP媒体だから仕方ないのですが。
ぬるいっちゃぬるいです。
中盤以降は結構頑張っていますけれど。
また綾野さんのお話で分岐した後から前の展開を見たくなった時、もう一度選択肢まで戻って全てをやり直さなくちゃいけないっていうのがとても面倒でした。
一発でそこまでジャンプしたかったです。