これ、多分格ゲーでやったら面白い話だったんだと思います。
状況把握の意味でのナミルート前編。
ABYSSに第三者だけで挑むとこうなる、という温子さんルート。
プレイヤーに肩を貸してみましたという幽ルート。
ABYSSの仲間になってみましたという爽ルート。
主人公の家系の説明がつく琴子ルート。
総まとめであるナミルート後編。
詰め込める要素を各シナリオにばらけさせ、美味く抑えきっていたと思います。
伏線のばら撒き方も好みでした。
ただ最終的に、サスペンスチックな序盤の色が掻き消えてしまったのは残念です。
私は、これはこれで楽しめたクチです。
ただ体験版だったり何だりで得た期待には決して沿うものではなかったので、勧めるのも難しいです・・・。
私が求めていたのは、バトロワみたいな悲惨な追い込まれ方をされるっていうお話でした。
提示されたのは真逆の、テンションで押し切る戦闘話がメインだったのですけれど。
頑張って展開作ったんだと思いますが、正直力のインフレっぷりにはついていけません。
テキストもシーンによっては一人称と三人称が混合している場面があり、読みづらい部分が多かったです。
また主人公の設定の、殺し屋の一族とか・・・そういう・・・。
しょっぱい名称に、ちょっと引いてしまったり。
冗談で妹にちゅーするぞーって言う主人公、対しぽーってなる妹という掛け合いにちょっと引いてしまったり。
シナリオは、いい意味で爽ルートが私の中でのピークでした。
とにかく先が気になり、一気にクリアしたナミルート前編。
温子さんかっこいい温子さん可愛いな温子さんルート。
エロゲらしい設定もよく生きた幽ルート。
読後の充実感は幽のが一番だったかもしれません。
爽ルートは、他のシナリオよりも若干短かった気がします。
それでも、今まで積み上げてきた人間関係が美味く作り上げていたシーンが多く、そういうのを見ていてとにかく惹き込まれました。
これもある種の伏線回収でしょう。
内に入ることで知る鬼塚や聖の事情、爽と幽の仲等キャラの表し方がとにか良かったです。