和物に然程興味はなかったのですが、独特の耽美さには非常に魅せられてしまいました。 遊郭という舞台も新鮮で、派手なシチューエーションも相まりとても楽しめました。目立つのは、そんなインモラルさだったりグロだったりなんですけれど、キャラも立ってて面白いです。 蝶子は素で応援したくなる、とってもいい女です。
主人公、蝶子はそのお店の太夫という人気花魁です。
悪代官に両親を奪われこの店に売られた蝶子は、復讐のためにも力を付けねばと根性でこの地位を手に入れました。
復讐に燃える蝶子ですが、彼女の日常は非常に微笑ましいです。
腹ペコキャラって訳でもないのですけれど、やけにお腹を空かせている描写の多い蝶子。
店の料理番の子の腕がいいからか、朝ごはんへの期待はいつも絶大です。
食べ損ねた時なんかもう、めちゃくちゃ怒ってましたからね。
その時は、蝶子の悪友がみんなで蝶子の分け前を食べちゃったから！っていうのもあったんですけど。
涙目な料理番の子と、彼女のお手伝いをしていた蝶子の禿である鈴がとっても可愛かったです。うふふ。
君達を怒ってんじゃないよーと、慌てる蝶子も可愛かったです。うふふ。
そう。
本作の魅力を語るのに、この鈴って女の子は絶対です。
蝶子の妹分でもある鈴は、まだまだ幼い女の子。
蝶子のことが大好きで、いつも小蝶姐様～と後ろをついてきます。
（小蝶＝蝶子の源氏名）
舌っ足らずな甘い声で使う、ありんす言葉は絶品です。
一人称は「わちき」。
口癖は「みう」「みゃあっ」「みゃう」等。
何この子本当可愛すぎるんですけれど。
体調が芳しくない蝶子に、自分のお小遣いで美味しいものを食べさせてあげたい！と奮闘する姿とかめちゃくちゃ悶えます。
蝶子に気を使わせまいと、蝶子のお姐さん分の花魁から預かった駄賃だと嘘までついて。
ぅゎ ょぅι゛ょ っょぃ。
ちょっと、おい。
何この犯罪級の愛らしさ。
やたらと体の小ささを強調させる文章が多いのも、鈴の体格をよりしっかり説明付けていてどぎまぎしてしまいます。
小さくてふっくらとした手とか。
たまりません。
ドジっ子なんでお仕事の出来は良くないのですが、とにかく愛想がよく可愛らしくで、さすがの蝶子も鈴にはデレッデレです。
鈴が欲しがっていた手鏡をこっそり買ってプレゼントしたり。
甘やかしまくり。
自分に妹がいたらな～、鈴が妹だったらな～と、そんなことばかり考えています。
鈴のことを考えている時の蝶子は、本当に優しさに満ちています。
花魁として生きる以外の術も知って欲しいと言う意味で、蝶子は鈴に台所仕事を手伝わせていました。
体を売ることしかできなくなった自分を反面教師にし、蝶子は鈴に夢を見ています。
せつないです。
蝶子ね、ほんと可哀想なんですよ。
悪代官の罠で父さん目の前で殺され。
母さん奪われ。殺され。
自身は遊郭に売られ。
兄も殺されたと聞かされていたみたいなんですが、何とこの遊郭で再会し。
兄の職業は、花魁に床の技術を教える調教師でした。
この兄様も兄様で狂っていらっしゃって、蝶子に凄まじい偏愛を押し付けてきます。
蝶子は兄様のことは兄としてでしか見ていませんので、迷惑極まりない様子。
蝶子可哀想です。
そんな、遊郭版小公女。
オチのつけ方が蝶子の仇である悪代官を倒すという流ればかりで一辺倒だったのが、惜しかったです。
追加ルートもかなりおざなりで、これはもうちょっと長く作って欲しかったです。
オリジナル版を遊んでいないので比較はできませんが、声優さんの演技はとても板にはまっていたと思いました。
オリジナル版を買い損ねたので、こうして遊ぶ機会を持てたのは本当に嬉しかったです。