キラークイーンでは既に達観しきっていた主人公が、まだそこまで到っていない精神状態だったので、作品の雰囲気が結構変わっているように感じました。一般性が増したせいか主人公のキャラ立ち具合が霞んでしまい、残念です。またテキストですが、色々なキャラの心情描写がポンポンいきなり出てくるので、非常に読みづらいものになっていました。本当に、キラークイーンと同じライターが手がけたのか? とい疑いたくなるレベルです。絵も、同じ人物のはずなのに随分と違う印象を受けます。全てにおいて、キラークイーンと比べてしまいました。ただ私が今作に求めていた、「キラークイーンになかったもの」という要素はたくさんあり、プレイ後の満足度は非常に高いです。
キラークイーンのシナリオは、主人公のバックボーンが与える影響がとても色濃いものでした。
主人公が一番ドラマチックな存在で、サブキャラはあくまでサブキャラ止まり。
そういう意味で、ヒロイン達主体のシナリオを要望するという声があったのは理解できます。
しかしそれで崩れてしまった一貫性が、作品の雰囲気を雑にしてしまったように私は思えました。
「クイーンを殺さなければ生き残れない」という設定の重みもペラペラで、唖然としました。
また、今作に関しては主人公が同じ面子とばかり、しかも大所帯となって連るみだすので、章が進むにつれ新鮮味が薄れていき飽きを感じてしまいました。
ヒール側が共闘するにも最大二人、一章に関しては主人公以外のグループが一切の共闘を行っていないので、脅威もダダ下がりです。
緊迫感が無い訳ではないのですけれど、戦闘シーンはすぐに片がついてしまいとっても呆気なかったです。
奇襲から逃げる展開ばかりで、撃ち合いってのが全然足りませんでした。
キラークイーンが、物凄く好きなんです。
大好きなんです。
好きだから比較してしまい、真っ先に批判を並べてしまったのですけれど、今作は今作で楽しませてもらった部分も、勿論多々あります。
上記の通り、私は今作にキラークイーンになかった要素を求めていました。
具体的に記しますと、キラークイーンで不遇な扱いだったキャラにスポットが当たって欲しかったということ。
出来れば、生き残って欲しかったということ。
そういう極端な思い入れをほぼ解消させて貰えたので、プレイ後の満足度は非常に高かったです。
キラークイーンを含めると、このキャラクター達だけで7通りものストーリーを楽しむことができました。
その上で、章ごとのマルチEDを望みたくなるくらい魅力的な設定が溢れていました。
バトル物としては描写が弱く、監禁物としては扱いが緩い。
それでもキャラの魅力に惹きこまれ、エピソード4にて一部のキャラを除き幸せな結末を多くのキャラが迎えられたということ。
私がそれを、望んでいたということ。
望みは叶いました。
ありがとうございました。