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minoruさんの真剣で私に恋しなさい!の長文感想

ユーザー
minoru
ゲーム
真剣で私に恋しなさい!
ブランド
みなとそふと
得点
85
参照数
499

一言コメント

各ヒロインがルート内だと凄く可愛いのに、他のヒロインルートだとギャグキャラ扱いなのがびっくりしました。あくまで脇役といった立ち位置に留まっており、キャラの見せ方が多面で最後まで飽きることなくプレイできて良かったです。相変わらずの記号的な日常シーンもとっても楽しく、 ヒロインというより周りの皆でワイワイする様っていうのがこの製作チームの特徴だと改めて思いました。もうそれがメインです。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

私は美少女ゲームが大好きです。
可愛い女の子見るとときめきます。
凝ったキャラ造型の上で成り立つ可愛らしさは、魅力満点です。
でも、それが表面だけのペラペラ感が強かったりですと、何だかんだで不満は感じてしまいます。



キャラの濃い薄いっていうのは、ヒロインを描写する全ての空間に関係してきます。
例として、一つイベントが、発生したとしましょう。
そこで何かが起こり、それを見たヒロインがどう思ったといったような、主人公の目線から語られないような感情の流れが生まれたとします。
それが後にしっかりと影響してくるような構成でないと、そのイベントにその子が同行していた意味が消え失せます。
また構成されているシナリオに影響を受け、そこでヒロインがどうしていったかという彼女達の過程、これも後に繋がらずその場その場の1盛り上げイベントになってしまったら、その場では楽しくても、プレイヤー自身そのイベントの重要性というものに注視しないでしょう。

ブツ切りのシーンの連続では、その重要性すらも持て余してしまいます。
ヒロインと過ごす毎日は全て大事な宝物。
これは言いすぎでしょうけれど、それでも無駄なイベントというものはないはずなんです。



私はこの製作陣のゲームをつよきすからプレイしたクチですが、正直つよきすもきみあるもこのモヤモヤ感が最後まで拭えませんでした。

キャラは可愛いんです。
シナリオも読んでいて、とっても面白いと思います。
テンションの高いコミカルなテキストはかなり肌に合いました。
でもどこかで、軽薄さを垣間見てしまうんです。
そこが不満でした。故に、素直な高評価も下せませんでした。

そういう意味で、このチームの作品でここまで満足したのは初めてかもしれません。
総まとめ的な最終ルートの存在が、シナリオの一体感を大幅に引き上げたんだと思います。

難を言えば、はっきり言って凝りに凝っているソフトだと思うのですけれど、もうちょっと追加して欲しかったという要望的なものをちょこちょこ感じてしまった所でしょうか。
それだけ個人的な好意を向けているという証拠になるのでしょうけれど。
例えばクリスルートで発生したまゆっちVSマルさんのシーンが、丸々カットされていたりとか・・・。
状況は分かりますが見せ場となり得るシーンをカットしてしまうというのは、残念です。



それと本作で驚いたのが、主人公の幼馴染である男の子達三人のシナリオが用意されていたことでした。
攻略対象としての触れ合いではなく、あくまでその子達がメインのお話という外伝的な位置付けだった作りはかなり新鮮です。
その中でも、キャラとしてはモロが一番印象強かったかもしれません。

大人しい性格だけれど友達思いで、友達のことになれば引くことなく真正面で戦えるモロの姿勢には好感が持てます。
優しい気質だからこその激情が炸裂するシーンは、かなり見応えありました。
仲間に対する意識は京まではいかないものの、かなり強いと思います。
京と違ってそこに節度があるからこその清清しさが、たまりません。

また女の子が苦手っていう設定なんですけれど、京やワン子とは普通に接することができるのにスイーツとか相手ですと目も合わせられないっていう内気部分には、かなりニマニマさせられました。
仲間と女の子は違うっていう線引きがあまりにも明確で、面白かったです。
それこそ新規メンバーであるクリスやまゆっちに対しても、かなり普通の態度を取っていましたし。
不思議なもんです。「女の子」という対象に捕らえていないんでしょうね、仲間は。

女の子は苦手、仲間なら大丈夫。
だからと言って、仲間でも異性として意識していないわけではない。そんなモロの男心。
京に応援されてめっさ頑張ろう!ってやる気見せるモロに、めっさ萌えますた。