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minamo3さんのノルカソルカの長文感想

ユーザー
minamo3
ゲーム
ノルカソルカ
ブランド
郷愁花屋
得点
77
参照数
44

一言コメント

『滅び朽ちる世界に追憶の花束を』が気に入ったなら想像以上に楽しめると思う。テーマが同じ。やさしくて美しい人間賛歌。もう一つの花の物語が描かれている

長文感想

この人のつむぐ話、やっぱり好きだな。
やさしさという温かさというか透明度というか、文章を読むというより道端に咲く花をながめている気分にさせられる。
何の感情もわかない人、時間をさく価値を見出せない人、当然いろいろな人がその横を通り過ぎていきますが、立ち止まり、その何気ない一瞬に心を震わせる人だっている。ありきたりで、当然にそこにあるもので。
それゆえに、いつしか忘れてしまった日常の温かさ、生命の輝き、現在の美しさがつまった路傍の花は、何物にも代えがたい景色として人の心に残ることがある。もう新作がないのが残念です。……復活しないかな、しないよな。


【あらすじ】(公式HPより)
「鬼を探してほしいんだ」
迷い込んだ神社で天狗が言う。
12月22日。冬至。最も影の長い日。動き出す影の住人。夜の鬼ごっこ。
「鬼を探し出してくれたら、願い事をひとつ叶えてやろう」
幸せになりたい主人公、幸は長い夜を駆け抜けていく―――。


【紹介文】
上記からだとわかりにくいですが、簡単に言うと……
不幸で不幸でまるで疫病神に憑かれているかのような主人公が、まぁこれまた不幸なことに、妖怪と遭遇して鬼探しをすることになり、最終的に幸せとは何かを見つけていく話です。おどろおどろしい「妖怪」なんて単語が出てますが、怖さはなくコメディ色が強い。日常にある幸せに焦点を当てていて『滅び朽ちる世界に追憶の花束を』を思い起こさせます。
同じ人が書いたので当然っちゃ当然ですが、考えが一貫していて、滅花が好きなら気に入ると思います。

プレイ時間は4時間程度。フリーゲーム。公式配布は終了。入手するには持っている人からもらうしかないですね。
短編集のFDもあり、そちらでは妖怪や主人公の過去話と本編AFTERがあり、本編と合わせて完成品といった印象。
バラではなく、まとめて出してほしかったというのが正直な感想です。ですので、ふたつそろってやるべし。

公式配布の終了している中、この作品を気にした人はだいたい『滅び朽ちる世界に追憶の花束を』から流れてきた人ではないでしょうか。
迷っている人はぜひやってみてください。テーマが同じなので気に入ると思います。