ノベルゲームを“進化しない紙芝居”とか揶揄する人こそやって欲しい作品。
何分プレイしたのが三年近く前なので記憶が朧気なのだが、ノベルゲームという媒体の一つの進化系として本作を語ってみたい。
ヒューマノイド技術が発展し、ロボットが人間と共生する近未来を舞台に、高品質な物語が展開される。視点者は三人(三体)で、物語が進む度に切り替わる。面白いのが、膨大な選択肢のチャートを辿る要素がメタ的な視点で視認できることだ。全体の中でどのあたりにいるのか、進み具合なども分かるようになっている。選択肢に明快な正解はなく、酷い運命を辿ろうが物語は網の目のように広がり続け、拡大し続ける。
ノベル形式ではなく、探索や映画のような高品質なムービーを見たり、はたまたアクション要素だったりと、ゲームとしての面白さもちゃんと持ち合わせているのだから脱帽である。大変面白かった。
なによりプレイヤー自身が物語を編んでいるという感覚が直に伝わってくるのが良い。惜しむらくは一周だけして売ってしまったのだが、濃密なストーリー展開が楽しめたので満足度はかなり高かった。
人とロボットの格差や共存の問題も巧みに扱っており、けしてチープな出来にはなっていない。社会をちゃんと書いているし、(舞台がデトロイトというのがもう凄く挑戦的)世界設定も巧みで、実質に在りそうとまで思えてしまう。ゲームは進化し続けるのだなあと確信した。