フリーホラーゲームの一つの金字塔。
先日10周年を迎えたとのことで、いい機会だと思い挑戦。謎ときにはいくつか場所で苦戦したものの、概ね楽しめました。美術館を舞台としているおかげか、装飾品や照明などを使った演出が巧みで、ホラーとしての出来も十分。中盤のとあるシーンはかなり怖かった。
本作の大きな特徴として、ホラーの探索ものには珍しく(?)、主人公のイヴに同行者がいること。薔薇を使ったライフシステムも印象的だが、途中からは会話システムや視点切り替えなど、フリゲーとしては破格の要素まで持ち込まれ、物語は次第に分岐し始める。エンドの数も多そうで、まだ全然見切れていない。サブイベントなども盛りだくさんで、作り込みの丁寧さ、世界観の奥深さに唸らされた。これは有名作になるのも当然の出来栄えだと感じた。
2012~2013のフリーのホラーゲームブーム(ありませんでした?)における先駆的作品であることを鑑みると本作がこの後の生みだされる作品に強い影響を与えたことは疑いようもなく、そういった意味でもプレイすべき作品で、出来てよかった。
正直、物語としてのまとまり、胸糞だったりシニカルだったりする強烈なオチの付け方なら『魔女の家』とか『マッドファーザー』とかの方が印象的だが、本作は雰囲気ゲーという独特の鎧がある。不可思議な美術館が醸し出す不気味な空間に一時想いを馳せてみてはいかがだろうか。