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minami06さんのL@ve once -mermaid’s tears-の長文感想

ユーザー
minami06
ゲーム
L@ve once -mermaid’s tears-
ブランド
Maid meets Cat
得点
70
参照数
184

一言コメント

ごくごく一部で物議を醸したギャルゲー。この溢れ出るG’s臭。ハピレス・シスプリ世代にしてみれば、ささきむつみというイラストレーターの動向はいまだ気になるところ。内容の出来は、キャラクターの性格や声優さんの演技は悪くない、けれど、その他のクオリティーが現在の水準を満たしていないという結果に。特に酷いCGならびにBGM班は、何というかもう切腹すべきだ。モーションポートレートシステムもWHITE ALBUMとは雲泥の差。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

キャラ・シナリオともに、一番興味を掻き立てられるのは和翠じゃないかと思うのです。類似する作品はなかなかないように思えます。
導入部では彼氏とうまくいっていない様子を描き、そんな彼女に対して主人公は慰めつつ、親身になって接します。そうしていくうちに、主人公の人柄を好きになったという具合。「好きになった理由」としては筋が通っています。
心は移ろうものだから。確かにそう。よく聞く言葉だし、何より実感としてある。僻みみたいに何でもかんでもビッチって言っちゃあいけない。ただ、ついこの間までは元彼に甲斐甲斐しくお弁当を振舞っていたり、ノロケ話をしていた姿を見聞きしていて、その変わり身の早さに困惑してしまうのは当然の心理だと、主人公を見て思います。
和翠の熱烈なアピールは、嬉しいという気持ちよりも、気持ちを受け入れた後、元彼のときのように何かの拍子で醒め、捨てられしまうのではないかという方にどうしても目が向いてしまう。
信じられないのだ。和翠が好きだと訴えかけてくればより一層、その本気度っていかほどなの? と疑ってしまう。
今は本当に好いてくれているのかもしれない。でも未来はどうだろう。「この恋は二年契約なんで、二年後にはこの関係解消でもよろしいか。気が向いたら契約更新するかもね」という話だったら悩む必要は全くない。そんなものはそれこそ主人公が言ったように「軽い」もので、お断りだビッチで終わる話。
人魚云々の設定を抜きにしても、恋愛は「永遠」を約束する・信じさせてくれるものでなければならないと痛切に感じます。
これで疑心暗鬼に凝り固まったプレイヤーの心を払拭させるだけの展開が用意されていたら完璧だったのですが、納得できないまま、一方的に和翠の熱意にほだされる形で話がハッピーエンドに収束していったのが非常に残念。