「秋桜の空に」の靖臣を思わせる菜乃のギャグが秀逸ですが、それ以外はむしろあまりエロゲらしくない、現実的な節度が感じられる作品のような気がします。必ずしもそれが上手くいっているとは言えませんが・・・。●絵(良い)●音楽(良い)●シナリオ(良い:ギャグで加点)/ネタバレ度:小
●絵について
ちょっと期待はずれですね。パッケージを見た感じでは(非常に良い)レベルだと思いましたが・・・。ジャギーも目立ちますし、それだけ表示が悪いということだと思います。元の絵はもっと綺麗なのではないでしょうか。勿体ないです。特に背景の塗りや立ち絵の表示を見ると2003年12月発売の作品とは思えませんね。
また、菜乃はフミオ氏の絵では端正すぎてキャラに合っていないと思います。
●音楽について
歌は上手いと思いますが、あまり印象には残りませんでした。曲がイマイチなのかもしれませんし、好みの問題もあるかもしれません。
BGMも無難な出来だと思いますが、あまり印象には残りませんでした。
●シナリオについて
会話主体のテキストでテンポがよく、ギャグも面白いのでサクサクプレイできます。菜乃のキャラ、主人公の名前やメンチカツの件には「秋桜の空に」を感じます。ただ、ボリュームは少なめで、特に後半は展開が急なのでやや物足りない感じがするかもしれません。
キャラは、菜乃以外は現実に居てもおかしくないタイプで、プレイヤーに媚びてはいませんが、その代わり萌え分は少ないです。
Hシーンの会話もリアルで生々しいです。ライターはかなり実戦経験が豊富なのではないでしょうか。女性の扱いに慣れている感じです。とても主人公が童貞とは思えません(^^;
シナリオも、伝説のモミの木の設定こそありますが、それほどご都合主義に陥っているわけではないと思います。雪那シナリオと菜乃シナリオはその設定がなくても成立する話ですし、由紀シナリオと弘美シナリオもすべてが丸く納まるわけではありません。安易に奇跡に頼る作品に対するアンチテーゼなのかもしれません。だからといって感動できるわけではありませんが(^^; 綺麗にまとまってはいますが、もう一押し足りなかったと思います。
私はCG閲覧の順番の通り(雪那→菜乃→摩尋→由紀→弘美)にクリアしましたが、結果的に正解だったと思います。特に最後の二人はネタバレ度が高く、弘美シナリオで伝説の真相がすべて明らかになるので、この二人の順番は固定と思ったほうが良いです。