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minadukinanokaさんのそれは舞い散る桜のようにの長文感想

ユーザー
minadukinanoka
ゲーム
それは舞い散る桜のように
ブランド
BasiL
得点
85
参照数
151

一言コメント

西又さんの原画、OP曲のお姉さん、笑えるテキスト、星崎希望役の声優さん、これだけ揃えば十分良作。●絵(非常に良い)●音楽(非常に良い:一部素晴らしい)●シナリオ(非常に良い)/ネタバレ度:大

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

●絵について
かなりジャギーが目立ちます。色使いも全体的に地味です。とはいえ、西又さんの描く女の子は相変わらず可愛いです。

●音楽について
良い方の出来だと思いますが、シナリオを食ってしまうほど素晴らしかった前作ほどではないと思います。電子音を多用しすぎで全体的にぼや~っとした感じに聴こえます。
歌は相変わらず素晴らしいです。
「days」・・・前作のOPもそうでしたが今作も格好良いですね。内藤氏は優秀なメロディーメーカーだと思います。歌のお姉さんも相変わらず素晴らしいですね。ちゃんとしたシステムで聴くと音程が気になるところもありますが、声が可愛くてパワーもあります。なにより歌い方がとてもセクシーで、何度も聴きたくなる「魔性の魅力」を持っていると思いますね。これほどの人が表に出ないのが不思議です。
「beloved」・・・声も歌い方もOPのお姉さんに似ています。名義は違いますが同一人物かもしれません。
「dear」・・・前作のEDもイントロが1分近く続く冒険作(?)でしたが、今作は極端に音符が少なく歌いにくい曲ですね。このお姉さんも下手ではないと思いますが、少し苦しそうです。OPのお姉さんがこの曲を歌うとどうなるか聴いてみたい気がします。

●シナリオについて
終盤は端折られているものの、前作より質、量とも上だと思います。やはりというか、メインの星崎希望のシナリオが一番厚く、良い出来で、その次が雪村小町という感じです。CGの枚数や声優さんの出来もそれに比例しています。というか、直接「丘」に絡んでくるヒロインは星崎希望だけなので、他のシナリオは外伝あるいはオマケ(言い過ぎ?)と言った方がよいかもしれません。

問題の終盤ですが、12月以降日付が飛び飛びになっていて、この段階でメーカーが崩壊していたことを感じさせます。「何故ヒロインの記憶が無くなったのか」そして「何故ヒロインの記憶が戻ったのか」が書かれていません。これらは続編に先送りするような内容ではないはずです。

ただ、メーカーの体制に問題がなかったとしても、主人公の「俺が恋なんかしたから世界が狂ったんだ」というセリフから考えると相当大きな風呂敷を広げたようで、上手く畳めたかどうか疑問です。また、朝陽は「ひとを信じるのもたいがいにしておきな。君、また裏切られるよ」と人間を非難していますが、(未完の)作品を見る限りではヒロインに落ち度があるとは思えません。それに、主人公が(ヒロインと同時に)記憶を失わない理由を上手く説明できるんでしょうか?これらの事を考えると、下手に説明して失敗するよりは良かったのかもしれません。もちろん、辻褄が合わせられれば名作になったかもしれませんが。

しかし、(片方の?)ライターの笑いのセンスは素晴らしいです。これほどとは思いませんでした。繰り返しプレイしても笑えるレベルです。