悪くはありませんが、普遍的なテーマなだけに表の世界の作品にはかなわないと思います。表の世界の名作に触れている人は感動できないのではないでしょうか。●絵(良い)●音楽(良い)●シナリオ(良い)/ネタバレ度:大
●絵について
上手いとはいいませんが下手というほどでもないと思います。ただ、顔が可愛くないですね(^^; 中途半端にリアルで不気味ですが、それでも加奈は比較的マシな方です。
かなり前の作品なので、塗りや背景はこんなもんかな、という感じです。
●音楽について
なかなか良いと思いますが、いつも同じ曲がかかっている印象もあります。数が足らないのでしょう。歌は声が出ていなくてイマイチですね。
●シナリオについて
6通りのエンドがありますが、共通ルートが長いので全体的なボリュームは少ないです。
まず、知的ルートのエンドを3つに分けたのは失敗だと思います。「加奈の日記」や「ペンダント」といった折角のアイテムを小出しにするのではなく、一気に畳み掛けたほうが良かったのではないでしょうか?最初に第三エンドを見ていれば感動できたのに、先に第一エンドや第二エンドを見たせいで後にプレイする第三エンドのインパクトが薄れてしまい、結局どのエンドでも感動できなかった(もしくは感動が弱まった)、ということが起こりそうです。
また、ベストエンドは最後に見られるようにルート制限を設けるべきだったのではないでしょうか。この作品のメインテーマは死生観なのでしょうから、最初にベストエンドを見てしまっては間抜けな感じがします。ベストエンドというよりもハッピーエンドというべきで(私は「ベスト」ではないと思います)、最後に見てこそ感慨が深くなるエンドだと思います。
テキストがたまに変だったり、シナリオもたまにかなり不自然な展開(入院中の加奈が夜中に下着を取りに家へ帰ったり、空き缶が突風で舞い上がったり(^^;)があったりするのが気になりましたが、心理描写は丁寧で主人公に共感できる部分が多かったです。ラストの「ペンダント」や「加奈の日記」はこの手の作品にはありがちな感じですが、涙腺の弱い人なら泣けるかもしれません。でも、私は病室でのみんなとの別れのシーンでちょっとウルっときた程度でした(^^;
また、所々に出てくる加奈に異性を感じる瞬間の描写が印象的で、妙にじらされているような感じがしてよかったです(^^;
●システムについて
バックログは少し使いづらいのですが古い作品の割には充実しています。既読スキップがあるだけでも有り難いです(^^;