ErogameScape -エロゲー批評空間-

mil2さんの殻ノ少女の長文感想

ユーザー
mil2
ゲーム
殻ノ少女
ブランド
Innocent Grey
得点
90
参照数
1052

一言コメント

 推理パートの存在や選択肢の多さと複雑さが相まって 難易度高めだと思います。 

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 ミステリー的に考えると微妙? でもそれは全体を見たからそう言えるだけで、読み進めている最中の雰囲気作りはものすごいです。 BGMが上手く使われてますし、CGもこの方向性で考えるならば最高峰じゃないでしょうか。 基本、ヘッドホンでやっているので、BGMと血の演出と共に鋸とかの音がしたりで生々しいったらありゃしない。

 あまり触れられることも無いかもですが、相関図や証拠品の手帳システムも雰囲気作りという点で良い味を出していた気がします。

 登場人物の中では、個人的に綴子が好きなキャラだったので、どう進めても殺されてしまうと知ったら悲しかった…。 初めてそのシーンに差し掛かったとき、具体的には主人公が指輪をプレゼントしたら綴子の指から抜けなくなっちゃったイベントのところ。 殺人とか出る作品でこういうイベントったら、「顔とかがグチャグチャになって誰の死体なのかが分からないんだけど、その前のイベントの事で誰の死体なのかが分かる」みたいなフラグまんまじゃないですか。 読み進めながら 「あぁぁー、まじかぁぁぁー…」 とか 「この流れは…もしかしてここで行方不明とかなっちゃうわけ?」 とか思ったわけですよ。 で、更に読み進めたら案の定殺人シーンお馴染みのウィンドウ変化が起きて、ボールギャグ咬まされた絵と、その差分で白目向いたところなんかもう生々しくて見てられなかったです。 ぶっちゃけ一番印象に残ったシーンかも。


 カルタグラに出てきた高城夫妻が出てきたのは、素直に嬉しかったですね。 展開によっては彼らが幸せにも不幸せにもなりますし、選択肢次第で展開の 『 if 』 が見られる推理ゲーならでは! だと感じました。

 初音はシナリオに密接に関わる立ち位置ではないのでそれほど重要では無いのかもしれませんが、読者の立場として何回も癒されました。 こういうのって鬱展開作品のアクセントとして結構重要と思うのですよ。 中弛みを防げる感じで。 帰る場所があるっていいなぁ(笑)


 冬子。 ATOKだと「とうこ」で変換しても一発で出ないから困る。
 どう頑張っても完全なハッピーエンドにはならないのがなんとも…。 恐らく一番核心に近づいている重要なエンディングは流れるループバック的に考えても、finが出る事からも最後に見る瑠璃の鳥のルートだと思うんですけど、なんか後味が悪い…。