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miED703さんの恋ではなく -It’s not love, but so where near.の長文感想

ユーザー
miED703
ゲーム
恋ではなく -It’s not love, but so where near.
ブランド
しゃんぐりらすまーと
得点
88
参照数
466

一言コメント

それは恋ではなく

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

構成がうまい。
単なる恋に収まらない二人の関係・思いを主観的に3つのストーリーの中で描いておいて、
グランドルートに入ると一気に第三者視点が増えてくる。
本来、所謂一般的恋愛感では理解しづらい二人の機微が、上記の前提によって客観的な視点からでも納得できるようになっている。
まさに群像劇をうまくあつかった作品。

やらかしてるのは基本的に祐未ばかりなのも印象深い。序盤こそ高嶺の花として見えるが、実態は本人も言っているように馬鹿な人間なのだ。
ちなみに一番琴線に触れたのは関谷先生編である。
扶を振った後、典史に撮ってもらえなかったことが一番動揺しているあたりにまさにであった。祐未にとっては大切なのは、典史でもまして他の誰かでもなく、典史と自分との関係だからだ。

ライターの早狩武志さんが「僕は恋愛を、人生の中で二番目に来るものだと思ってるんです。一番目は仕事であったり趣味であったり、人によって順位付けは違うと思います。でも二番目に来るのは共通して、自分の傍らにいる人間であったり、恋愛だと。」とおっしゃったらしい。
しかしあえて僕がこの作品について言うなら「それは恋ではなくそれに近い何か、だけどその中にこそ恋があるのだ」
好敵手と書いて親友と読むように、それは決して恋とは表現できないものだけど、けれど恋でもあるのだ。