非常にクオリティの高いラブコメ。ストーリー、テキスト、キャラ立て、Hシーンのどれもほとんど隙がない。
今回は前回丸戸氏が手掛けた「ままらぶ」のように、
捻りの利いた巧みな台詞回しはあまり見られませんが、やはりテキストの面白さが際立っています。
キャラ立ても素晴らしく、サブキャラを含めて、みんながきちんと会話に関わって、
魅力を見せつけてくれるのも、丸戸シナリオらしい点だと思いました。
個人的にはもう少し男キャラの出番を増やして欲しかったところですが。
また、今回は各ヒロインのルートの出来にショコラのようなムラが無く、
全体的にクオリティが高いモノに仕上がっていると感じました。
特に里伽子シナリオは他のシナリオでの伏線を綺麗に回収して見事にまとめた、大変秀逸なものだと思います。
ノーマルエンドすら伏線として使われていたのには恐れ入りました。
Hシーンも回数は1人当たり3回と最近の純愛ゲーでは標準的なものですが、
1シーン当たりのCGは2~5枚となかなか贅沢に使われており、差分もそれなりの数がありました。
ただ、丸戸氏の関わったソフト全般に言えるのですが、
地の文での描写に主人公の感情の描写が多く、実際何をどうしているのかがあまり描写されないため、
やはりどこか物足りなさがあります。
ねこにゃん氏の絵柄にも問題があるのかもしれませんが。
その他では、前作で大いに不満だったシステムが改善されて、
むしろとても扱いやすいものになっていたのが印象的でした。
イベントシートで分岐条件や起こるイベントなどを確認できますし、
セーブロードを画面を切り替えずに行えるのも、とても便利です。
スキップが速く、動作が軽いのも好印象でした。
音楽を流すタイミングや止めるタイミング、テキストの流し方などの演出も実にしっかりしています。
前作で足を引っ張っていたシステムは、今回見事にゲーム自体を盛り上げてくれたと思います。
ほとんどケチを付ける部分が無いというのが正直なところです。
敢えて言うならば、一部声優の演技が微妙というところですが、個人的にはそう気になりませんでしたし。
もともと丸戸氏のシナリオと相性が良いのは分かっていましたが、今回は完全にやられてしまいました。