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merunoniaさんの続・殺戮のジャンゴ ─地獄の賞金首─の長文感想

ユーザー
merunonia
ゲーム
続・殺戮のジャンゴ ─地獄の賞金首─
ブランド
NitroPlus
得点
90
参照数
3089

一言コメント

怒涛の展開にはお見事。ブラックラグーンが好きな方におすすめしたい。エロゲのモチベが下がった方、お手軽に楽しみたい方に進めたいです。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

※前半にネタバレ無し
 後半にネタバレ有りの感想を書いていきます。


 虚淵氏のコンパクトかつ重厚な密度で繰り広げられる西部劇が舞台のお話。
エロゲで読み進めるというよりも、映画を見ているような感じでした。
 
 物語自体にそれほど難しい内容はなく
頭を空っぽにして楽しめる作品でした。ある意味馬鹿げー

 話の内容は、萌えなんてものは全くなく、むしろビッチばかりです。
清純なんてものは存在しません。「チェリー マスをかく、100人食い、ねじ切り」なんでもござれ。
ですがだからこそ面白い。
 テンポよく、いい意味で破天荒にどんどん話が進んでいくので、
飽きずに読み進めることができます。

 どんな作品か?と言われると、なかなか難しいけれど、
世界観や登場人物の作風を他の作品で言うなら
BLACK LAGOONの世界観や
前半や戦闘での破天荒さは、レヴィとかが当てはまるかなぁと思います。(西部劇だけど)
(勝手に他作品すいません)


 話の作中にある、命の軽さといい、自己中心主義な登場人物達といい
はちゃめちゃなアクション、戦闘シーンといい、そしてエロゲならではの
ちょっと陵辱目なHシーンといい、(基本みんなビッチだから抵抗はなかった)
まさしく西部劇の面白いところを、通した作品でした。

 ただ話の終着点は、けっこう筋の通った話で終わり、
特に最後の語りからの終わり方は、読み終わったあとに十分満足できるものでした。
こういう意味ではバカゲーだけど最後をきっちり通す作品、

 ただコンパクトにまとめあげる分、最後にどうなったのか、とか
懇切丁寧に細部の設定まで、内容が説明されているわけではないので、
そういうところがつい気になってしまう方はあるかもしれません、
私自身は勢いに乗って広げられる話で面白かったので良かったです、

 プレイ時間は私的には7~10時間?ほどで一本道の物語、
エロゲのモチベが下がった方、お手軽に楽しみたいなんて方にはおすすめできます。

 虚淵氏のシナリオをまとめあげる能力の高さを改めて思い知らされた作品でした。



 ※ここからはネタバレありの感想になります。


 いやぁ本当に面白かった。なんで面白いかって言われると言葉がなかなか上手く出てこないけれど
久しぶりに集中してのめり込んでしまい、一気に読みすすめてしましました。
 

○登場人物たちについて


 やっぱり続・殺戮のジャンゴ の一番の面白かったポイントはここだったと思います。
出る登場キャラみんなが破天荒、ビッチ、自分の欲望に素直なキャラばかりで、
まさに西部劇の荒くれな世界観にあってたことに惹かれました。

 これだけの破天荒ぶりなため、登場キャラに心情を重ねるというものは基本ありませんでした。
こういう面でも、アクション映画を見ているような気分だったと思います。


 ・(イライザ)
 イライザ(黒のフランコ)のはちゃめちゃな行動にビッチっぷり、卑猥な単語がもう飛び交う飛び交う
「マスをかく」なんて表現を見たのは久しぶりでした。
 自分のお金への欲望のためへ素直な行動っぷりには気持ちのいいものでした。

 これだけの前半の破天荒ぶりに、後半の特に反乱・死刑の中で歩いていく姿。
銃で撃たれても、ただ前を見据えて、英雄たらん姿を見せるためにただ歩く姿。
今でもとても印象に残っています。

 前半、英雄の名を利用して、挙句には担ぎ合わされ、
また反乱のお金ではなく革命だけを信じて、命をも投げ捨てていく姿を見せられて。

 後半、当時忘れていた「黒のフランコ」への思いをおもいだして、
英雄としての姿を、自分が果たして見せるという姿はかっこよかった。

「英雄は死なねばならない。
 そう、その末路を人々にみせつけ、語り継がせてこそ、英雄は伝説として完成する。」

 ある意味英雄の物語でもあったのだと思います。

 なにより最後の告白?での教会のCGが本当に可愛かった・・w

・(名無しの女・金髪)

 作中はイライザの物語でもありつつ、この名無しの女のための物語でもあったと思います
作中ではこの名無しの女が一番好きでした。金髪ガンマンってかっこいい

 イライザに負けないビッチっぷりで、100人切りもさながら
マン○でイチモツをねじ切るシーンはさすがに笑ってしまいましたwwwww

 話の内容自体も、イライザとは方向性が違いましたが面白かったです。
むしろ、復讐心だったりもあるので、こちらのほうがより西部劇、ガンマンらしい
お話でもあったかなと感じます。
 
 特に最後、600ドルで買われた金貨を弾に変えて、
その弾で最後の復讐を果たすというお話は、凝ってて好きです。

「あの時、あんたが手にした金貨で、あたしは、自分を買い戻す。」

 イライザがちょっとおバカなノリだけど、貫き通すかっこよさなら
こちらは、ある意味正統派なかっこよさだと思います。

 

 ○シナリオについて
 コンパクトにこれだけ詰め込んで、話を進めるのはさすが。
最初の名無しの女とイライザが組んで賞金稼ぎを荒稼ぎしていた話は、やられた。の一言でした
あの展開は予想してなかった・・・

 また裏切り裏切られ、勢力が転々と変わりつつ繰り広げられる展開も良かったです。
欲望に素直だからこそ繰り広げられる話というか。
 

 そこまで多くの銃撃戦があるという展開ではなかったけれど、一つ一つに爽快な戦いだったり
はちゃめちゃなものだったり、それこそ西部劇な決闘のシーンだったり、面白かったです。
 個人的にはやはり400人VS3人でのシーンが一番お気に入り・・・です。

 BGM一つ一つも西部劇っぽくて、上手く演出していたし、
挿入歌も上手く使われていて良かったです。

 ○システムについて
 VS400人での、エンターキーおしっぱで倒していくシステムは良かったですねw
あのシーンの爽快感を表しているようで楽しかった。

 背景CGに3Dポリゴンっぽさは気になりましたが、
この作品自体が2007年のものなので、そこは気になりません。
 同様テキストの小ささなどいろいろありますが、特に不満はありません

 あえてあげるならfateのようなBADEND回収系なので、QSQLが欲しかったなぁと思います。

○Hシーンについて
 そういう目的ではないので、特にコメントもあれですが
SFらしい触手だったり、ヒロイン側がむしろ男を食うビッチだったり
けっこう特殊になります
ただ尺自体は短いのでおかずとしては使えるとは思いませんでした。
 
○総評

 これだけの作品を作り上げる虚淵玄さんの作品、さすがニトロプラスでしょうか。
高評価なのも頷けます。

 まさか購入して二日でクリアするとは思わなかったです。
この作品のシナリオ自体が他に比べると短いというのもありますが、
むしろ、これだけコンパクトにしっかりまとめあげることに満足しています。

 何も考えずにただ楽しめるエロゲってありそうで難しいとも思うので
そういう意味ではプレイして楽しかったし、本当に良かったです、

 息もつかない怒涛の展開、キャラ達も魅力的で素晴らしい作品でした。
ありがとうございました。