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merunoniaさんのドラクリウスの長文感想

ユーザー
merunonia
ゲーム
ドラクリウス
ブランド
めろめろキュート
得点
82
参照数
792

一言コメント

シナリオなんて関係ねぇ!!それよりバカ騒ぎしようぜ! そんな良質な掛け合いゲー。終わったあとも彼女たちの会話を見ていた、空間に浸りたいそう思わせてくるれる良ゲーだったと思います。グリザイアの果実の共通パートが好きだった方は是非おすすめします!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 はじめに

 私が、このドラクリウスという作品を買おうとしたきっかけは、
 「グリザイアが好きなら楽しめるよ!」と友人に勧められたこともあり。
 そして、声優がかわしまりのさんの金髪ロリメイド人外物とか
 いつか欲しいなぁと思ったのがきっかけでした。

 結果から言いますと、そういうキャラ目当てで買った私はとても満足して
 82点という点数をつけています。

 その理由を踏まえて、以下の構成で書いていきます。



 前半ネタバレ薄めの

 ①こういった方におすすめ
 ②こういった方には向いていないかも

 ③全体の感想 良かった点(弱ネタバレ)
 ④全体の感想 少し気になった点(弱ネタバレ)


 ⑤各キャラの感想(ネタバレ全開)

 で感想を書いていきます。



 ①こういった方にオススメ

 Q.ドラクリウスは何ゲーであっただろうか

 A.吸血鬼の人外物であり、バトルものであり、伝奇物であり、
  弱グロゲーであり、TSものであり、キャラゲーであり...etc


 はっきり言ってプレイし終わった今、何ゲーかと問われても、
 明確に一つを挙げることはできませんでした。



 

 というのも、このライター、藤崎竜太氏らしい特徴である、
 「雑学的テキスト」と「特徴的すぎるキャラたちが動き回る(下ネタ)会話」
 をうまく掛けたテキストがひたすら続いて行く。

 いきなり日常会話の中で
 「ヴァ○ナってなんか魔法っぽくね!?」
 なんて会話もぶちかましてきます。
 グリザイアでいうマキナと幸の会話みたいな感じです。


 行き当たりばったりな会話で脱線なんてしょっちゅうします。
 くだらないけれど。だからこそ各キャラが生き生きして面白い。
 後の全体の感想で最初にも上げますが、(弱ネタバレのためこちらでは書きません)
 本当に個性的すぎるヒロイン5人の会話が楽しいです。


 以上を踏まえて、このエロゲは、キャラの掛け合いや、時に見せる言葉遊び、
 ちょっとした雑学的知識を楽しむものだと思います。
 
 実際プレイし終わった今でも、いつまでもあの楽しい空間に浸って会話を見ていたかったと
 感じています。
 そういう意味で、このエロゲは主人公とそのヒロインたちの「ハーレム」ゲー
 であったと思います。
  
 ですので、個性的すぎるキャラの掛け合いを楽しむという目的で、このエロゲを
 求めるのであれば、とても満足できると思います。

 とくにグリザイアの共通だったりが好きな方は特に気に入ると思います。
 (他作品を出して申し訳ありません)




 ②こういった方にはあまりオススメできないかも

 逆に、吸血鬼モノだからといって、シナリオメインで買われるのは
 避けたほうが無難だと思います。

 というのも、上記で上げたように、どうしてもキャラの掛け合いがメインになるため
 シリアス場面なんてありません。
 そもそも、設定からして、主人公もヒロインもみんな不老不死ですので、
 死生観のような方向にも作りようがありません。

 似たような設定では彼女たちの流儀などもありますが、そっちとは方向性が
 逆だと思います。

 バトルもありますが、燃えゲーのようなメインでもってくるものではなく、
 やはりキャラたちの動き回る姿を楽しむ、熱いとかではなかったと思います。
 バトル中にも会話が入り脱線などもしますので、人によってはテンポ悪いと
 感じる方もいるだろうなと思います。
 (と言いつつもかっこいいところもありましたが・・)

 あくまでキャラの会話を楽しむエロゲです。


 またもう一つの点として、物語に正当性の必要性を感じる方は避けて無難かと思います。
 というのも、基本、いい意味でも悪い意味でも行き当たりばったりな会話、
 それに、とってつけたような設定に終わり方をするため、納得できない部分が出てくる
 可能性が出るためです。

 このテキストの描かれ方だからこそ許せる部分だと私は思っていますが、やはりシナリオの
 構成なり設定なり気になる重視の方はオススメはできません。


 途中で挟むキャラたちの馬鹿会話(褒め言葉)、時には脱線するこの会話を
 煩わしく思うか、それとも、そのマイペースな独特な空間を楽しむか、
 で評価は変わってくると思います。

 
 以上を踏まえて、藤崎竜太さんらしいエロゲーであったと思います。




 
   以下よりネタバレを少し踏まえつつで感想を書いていきます






③全体の感想(良かった点)

 (1)声優さんも楽しそうに演じる、個性的すぎるキャラクター

 いやぁ楽しかった! ほんとに笑いましたし、みんな大好きになりましたww
 上記でも上げましたが、なによりキャラがみんな楽しかった。

 声優さんの演技が光るノリツッコミにツンデレのトリガーハッピーなリカ、(もとい玉ねry)
 
 実は苛められるの好き疑惑、微M潤様大好きキャラリアンちゃん、(赤メガネ~)
 
 そして従者なのに、リオンさんに突っ込みしたり、変な知識入れたり、
 時にはリオンとリカの主人公取り合いに漁夫の利しちゃったりワンワンのゼノさん
 
 母性満載で、本当にどんな時も主人公を肯定してくれる、生きてるのがつらくなってくる
 金髪ロリメイドベルチェさん

 男の娘超ハイテンション下ネタ全開、主人公大好き幼馴染操さん  

 
 個性的すぎるこの5人を混じえた、日常会話。
 本当に楽しくて面白くて、最後終わる時には、もう終わるのか、と少し寂しくなりました。

 
 なによりも、各ヒロインの声優さんがはまり役でしたね
 個人的には、新堂真弓さんが演じられたリカがもうここまでしていいのかというほど
 しっちゃかめっちゃかな、演技もして。


 (2)ヒロイン視点の、実況風な(地の文も読み上げる)H  


  上記のキャラゲーな面もありますが、
  わたしはそれにつけて、Hシーンがなによりもとてもよかったと思います。

  というのも、このエロゲはHシーンには主人公視点ではなく、
  ヒロイン視点で展開していく、という珍しいタイプでありました。

  たとえば、Hシーンの途中では、
  
 (・・・絶対に屈しない・・そんな言葉言われてもうれしくないんだから・・)
  
 (ダメだ・・頭でどんなにこの男を嫌おうとしても・・身体がこの男を覚えてる・・。)

 (・・ヤ、ヤバイ・・。ちょっと嬉しい・・。)
  
 (触れられるたびに、奥から奥から溢れ出てくる・・・。)

  なんて心の声や、状態などを実況風にヒロインが喋るのがほんとうにエロくて可愛くて。

  実は私自身が、エロシーンだったり、地の文でヒロインが実況したり読み上げるのが
  大好きなので、ここはほんと嬉しい誤算というか、めっちゃ可愛かったです・・・!

  なかなかエロかったのもありますが、それに加えてほんとうに可愛くて
  抜かずに、エロシーンをしっかりクリックで読みながら進めたい
  と思ったエロゲも久しぶりでした。

  特に強情だったりしていたリカが、Hになって溺れてしまったり、馬鹿な声をあげてしまって
  恥ずかしがったり、汗かいてることに恥ずかしがる、なんてウブな姿を見せるときは
  めっちゃ可愛くて、エロくてとても良かったです。

  もっと実況風エロシーン(ヒロイン視点&地の文読み上げ)は増えるといいと思います。

 
④気になった点


  気になった点としては、あまりとやかく言うことではないかもしれませんが少しだけ・・。


  まずは、ライターが変わってしまったため、評価には加えませんでしたが、
  リアンルートの必要性が正直感じられませんでした。

  内容としても、あまりにも突拍子すぎて、つまり何が言いたいのかわからず、
  これならなかったほうがいいかもと正直思います。
  ひとりのライターで書き上げて欲しかったのが正直な感想です。

  あとは、いちゃもんレベルになるかもしれませんが、
  吸血鬼のセンサーのたびにムービーになって止まるのは少し気になったでしょうか・・。


    
  メインシナリオの内容の方ですと、バトルシーンに強引な展開だったり(特に最後)
  会話と同様、方向性も行き当たりばったりには感じられましたが、
  これはこれで、ありだったと思います。

  会話を行き当たりばったりな感じにするためにこういう方向になったなら、むしろ
  お釣りがきます。



  最後に主人公の性格が、後半は好みな強引なキャラになりましたが、
  最初のほうが、少しヘタレというか、リアンに対して特に
  恋なのか憧れなのか、僕たちはもっと知り合う必要がある!と言うところが
  ちょっとだけ気になりました・・・。
  ただ、それもすっきり解決してくれて、特に性格がかわった終章には
  好みな主人公に変わってくれたのが良かったです。



  以上よかった点、気になった点でした。
  後半は、各キャラごとへの簡潔な感想を書いていきます。


 ⑤各キャラへの感想


 (1)リカ

    金髪アメリカガンナー
    なによりも新堂真弓さんの演技が、もうほんとうに素晴らしくて、ファンになりました!
    ツンデレトリガーハッピー
    「べ、別にこれは仕方なく抱かれてるんだから・・・不可抗力よ・・・」
    いや、ほんと可愛い。Hシーンは何回悶えたか。
    
    またバトルシーンでめっちゃ言葉が過激になるのも好きでした。
    「・・マンカスまみれのチーズ臭せぇ手で人のご主人様に触るんじゃないわよ・・
     ぶっ殺すぞ吸血鬼・・」

    リカの一番大好きなセリフで、名シーンだったと思います。
    メイド姿のリカさんマジトリガーハッピー 
    ここの声優さんの演技も素敵でした。

    ただ一番記憶に強いのは「萌えキャラ気取りか赤メガネ~」の歌と
    そして玉ねぎ女というry

    でもキャラとしてはヒロインの中で一番好きです!
 
    最初戦闘法衣を見たときはギルテ○のブリジッ○かとry

 
 (2)リアン

    お嬢様キャラ・・もとい、いじめられっ子メガネギャップ属性持ち。

    彼女もいいキャラしてましたね。
    どうしてもいいところは、戦闘メインのゼノさんにとられがちだったりですが・・
    主人公がリアンを嫁にすることにためらわなくなったあとの、喜びようだったり
    その後の嫁として譲れない!ってところだったりは可愛かったと思います。

    ただ、リアンさんもなかなかに不幸属性でしたね・・・。
    主人公になかなか受け入れてもらえず、しばらく躍起になったり
    敵にさらわれて、目はくり抜かれる、ぐっちゃぐっちゃでしたね。

    一番報われないキャラな気もしないでもない・・・ですが、
    潤様のために健気に頑張る姿は可愛かった。
 
    ゼノに嘘を吹き込まれて嘘ツンデレして、GJされる姿だったり
    ゼノに苛められる姿だったりが好きだったなーと、某氏と話をしてて、
    わたしも思いました。

    「うぅ・・・またそうやって私をからかって・・・潤様のいじわる・・・」

 (3)ゼノ

    もっふもっふ。
    まきいづみ良いクールキャラを演じられていました。

    実は私の中では、まきいづみさんのキャラに当たり外れがあるのですが、
    このクール目な演技はほんとうによかった。
    棒読み突っ込みだったり、そのローテンションからの、ちょっとした照れギャップ
    だったり、怒りに満ちたときの口上だったり。

    そんなゼノはリアン突っ込み担当キャラな彼女でしたが。  
    一番好きなシーンは、主人公に頭を撫でられて嬉しがっちゃう、尻尾ぱたぱた
    振っちゃうところでしょうか。 彼女も可愛かった。
    またちゃっかり漁夫の利狙ったり、自分も主張しちゃう彼女が面白かったです

    最後の戦闘シーンも一番かっこよかったです。
 
   「・・・ここから先は・・!何人であろうと!このゼノ・ジェイルバーン!
    一歩たりとも通さん!!」


 (4)ベルチェ

    母性のかたまり。もう甘えて生涯ととじたい。
    主人公はほんとうに幸せ者だったと感じます。
    どんな時も、どんな場合でも常に主人公の肯定者で居てくれて。

    ただし、それは甘えさせてくれるというのではなく、それが成長の阻害になるなら
    場をわきまえる、ただし、ほんとうに必要なら手を差し伸べる。
    常に受け入れる、ただし、邪魔をするわけではない。

    ほんとうに心地いい距離感であったと思います。
    作中にあった、川に突き当たったなら、橋を架けてやろう。
    という一言がなにげに印象的です。

    またかわしまりのさんの、声の使い分けも良かったと思います。
    成人(?)ベルチェから、子供ベルチェまで、さすがベテランだと思いました。
   
    ロリババァキャラで金髪メイド、見事なキャラを演じていました。

    ただ、個人的には、もう少しベルチェについて掘り下げて欲しかった、
    もしくは、ベルチェルートを作ってくれたら嬉しかったかなと思います。
  
    あれだけ、共通で常にそばで有り続けた彼女ですから、なにかもう一つ
    話に山場か葛藤かなにかをしてくれても良かったかなと思います。

   「馬鹿だな。オマエには私がついているからだ。
    私が付いている以上、オマエに叶わぬ望みはない」

   「とりあえず、何か問題が発生したら私を呼べばいい。
    2秒で駆けつけてすべてを終わらせてやる」

   「当たり前だろう。オマエはわが主人であり、我が子であり、
    私の存在理由でもあるんだからな」

   「主人が私を必要としている。それが私にとっての報酬だ。
    私が主人に求めることは、ただ一つ」  
   「私を捨ててくれるな」

   彼女がいなかったら、きっと主人公は早々に朽ちていた。
   彼女あっての主人公であり、この物語であったと思います。


(5)操

   まさかのTS幼馴染。唯一の人間かと思ったらTS男の娘。
   いやよく考えれば確かに気づかないもないけど。
   最初の女の子かと思って喜んでたら、実は男の子だった時の衝撃がすごすぎて
   なんかもう考えが抜けてました・・ww

   操は下ネタ担当というか・・セリフが時々グリザイアのマキナにかぶったりして。
   でもそんな超ハイテンションな操が会話に混ざる時に安心感もあったのも事実で・・
   操とリアンの日常の喧嘩(?)はほんとうに大好きですw茶坊主・・w

   また彼女は、どんどん非日常になる中で、主人公を日常へとつなぎ止める
   という存在でした。(結果的に非日常側でしたが)

   その証拠とは言いませんが、どんなシーンでも最初から最後まで
   朝のチャイムとともに(気の抜けるような音でした)

  「じゅんくぅぅぅ~~~~~ん。がっこぉぉいこぉぉ~~~」

   という声とともにはじまったり。
   このセリフに安心感があったのも記憶にあります。

  実際に主人公が操を助ける時も、
  操のことを、大事な友達であり、そして自分が吸血鬼になる前の自分を知ってくれるから
  だから助けたいと言っていたこともあり、
  操を通して、主人公が日常を、変わらない世の中を好きだったのが印象的です。

  話は飛びますが、最後のCGで操がいないのは悲しかった・・
  操も書いて欲しかったなと思いつつ。
  
   こう考えると、操だけではありませんが、歪な中で、
   バランスの良いキャラ配置をされていたなと思います。

   このライターはキャラの役割だったり、配置がほんとうに上手だと改めて思いました。

    

 ⑥総評


  吸血鬼モノと、言われたとき。
  無限の命を持ち、人間とは相容れない考えを持つ、そういう方向性なのかな
  とも少し思っていました。

  中身を開けたらなんのその。そんなの関係ねえと。
  まさに勢いに乗せてキャラを喋らせまくるゲーム。

  そもそも、作中の序盤で主人公なりが言ってました。
 >「彼女たちに共通しているのは・・・真剣さの希薄。
   遊びか何かのように接して、怠惰にけだるく・・享楽的に感じる」

 >ゼノ「それだけです。闇の眷属となった者は、例外なくニヒリストですよ」

  登場人物、特にヒロインにとっては、すでに世の中は悟りきってるわけで。
  もうある意味終点なわけで、そりゃもう面白おかしく話をしていくしかないなと。

  彼女たちの流儀だったりは、吸血鬼と人間 という二つの価値観の違いだったりから
  描いていましたが、こっちはそんなことより吸血鬼として面白おかしくやっていこうぜ。
  という方向性で。(作中では、一応主人公の葛藤は中盤までありましたが)

  ここまで潔く作品が作り上げられると、むしろ気持ちがいいんだなと。
  流れを乗せたまま楽しませるのはある意味すごいのではと思います。

  
  実は、シリアスパートだったりの間に水を差すような日常会話ボケを挟むのが
  苦手だったことが多いのですが、この作品に限ってはむしろ潤滑油になってて。
  むしろないと物足りないと感じさせてくれる作品でした。

  ほんとうに何度も言いますが 藤崎竜太ゲーであったと思います。

  このライターの他の作品もやりたくなる。そう思わせてくれる作品でした。
  
  ありがとうございました。