「北国の桜って、北風に向いて咲くんだって」
※リメイク前とリメイク後、他の国シリーズにも触れた感想です。
「北国の桜って、北風に向いて咲くんだって」
このセリフを、初めてみすずの国(リメイク前)を読んだとき、覚えてはいるけれどあまり印象的ではありませんでした。みすずの国は、国シリーズでも1作目にあたるものになりますが、まだ世界観も分からず読んだ当時、面白くはあったけれど、そこまでのめり込むものではありませんでした。
そして今回、リメイク作品の機会もあり、改めて今作を読みましたが……。いやぁ本当に面白かった。1回目以上に深い満足のある読了感でした。他の国シリーズを読んでいたからこその、響く気付きが沢山ありました。
特に上記の「北国の桜って、北風に向いて咲くんだって」というセリフが、ここまで感慨深いものになるとは。
他の国シリーズ(特にハルカの国)を経て、あえて厳しい環境に置く中で自分の足で踏み歩く美しさを知っているからこそ。この芯の通ったシリーズの面白さを知っているからこその、みすずの姿、台詞の一つ一つが響くものがありました。
また初めて読んだ時には感慨もなかった他作品に触れた言葉の一つ一つも面白かったです。
ハルカの口からハヤって言葉が出たり、ヒマワリがキリンのことをほのめかすような言葉だったり、祐太郎の将来の夢が先生って言葉だったり、他の作品に触れた言葉がめちゃくちゃ「あ~~~~~~!!!!」って。
興奮しました。特にハルカの口から出るハヤという単語が……どれだけこの言葉に重みがあるのか……。
来るものがありました。
それ以外にも、リメイクとしての面白さもありました。
台詞の一つ一つの変化だったり、新規のスチルであったり。
立ち絵で背中の姿を見せることで臨場感が増したり等、魅力もより高まったリメイクだったと思います。
もちろんリメイク前でも良かった所もあって、甲乙つけがたい所があります。
特にリメイク前だと、みすずがひまわりに啖呵を切る立ち絵が本当に好きで好きで
この部分は前の方が好きかもしれません。
ただ、リメイク後の、みすずが一人布団で涙を流すシーン等、よりみすずの心情描写を感覚全体で味わえるような作品だったと思います。
リメイクとしての面白さもありましたし、
それ以上に他の国シリーズを経た後だからこその、所々のシーン、台詞に「この作品から国シリーズとしての根幹があったんだ」と思えるような楽しさが一番面白かったと思います。
みすずの国リメイクやって思う、本当に情景の表現力といい、緩急の取り方といい
神がかり的だと改めて思います。 本当にすごいです。
以上です。ありがとうございました。