タイトル通りの『生まれたせいにして生きていく』弁証法のような思考の構築が気持ち良かったです。癖がかなりありますが、最後に導かれる哲学的なお話の気持ち良さが確かにありました。
可能性がある時には希望さえあった『不安』というの肥大化の絶望。
どうせ最後には『死ぬのだから』という徒労。知ってしまったがゆえのの怠惰。死による無効性の正当化。
そこから導き出される生きる意味の無さを定義しつつ、しかしそこで逆にその『無意味さ』こそが生きる理由になり無限の可能性にもなりえる。
それは生きる無意味さは『何を為すこともできる』ということでもあり死んだって意味はないことでもあるから。
人生はむなしくて、生きることは最終的には意味を為さない、無意味なものかもしれない。その意識こそがまさに生きる理由、唯一の理由にもなりえるのだという、まさに『生まれたせいにして生きていく』弁証法のような思考の構築が気持ち良かったです。
特に3つの世界を渡り歩くことで、これらの考え方が最後のこの意識に繋がっていく気持ち良さが確かにありました。個人的には、2つ目、嘘のお話の主人公にとっての嘘とは、王様に思った苦悩とは彼だけのものではなく自分自身のものであったという『事実』に対する嘘であったのだと理解できたりするところとかが結構好きでした。
今回はリメイク作品ということもあって、本編クリア後に独白部分が追加シナリオとして用意されましたが、そのお話がまた理解がしやすいお話なのも良かったです。
特に最後の少年の独白は、まさにこの作品の肝となる内容だったと思います。
正直癖は強い作品だと思います。
しかし、一つの『生き方』としての思考のお話として残る物がありました。
(しいて言うなら、バックログがもう少し見やすいとなお良かったなぁ……)
唯一性のある面白さがあったと思います。
以上です。ありがとうございました。