ErogameScape -エロゲー批評空間-

merunoniaさんの終わらない季節の真ん中で リメイク版の長文感想

ユーザー
merunonia
ゲーム
終わらない季節の真ん中で リメイク版
ブランド
Lopt software
得点
95
参照数
40

一言コメント

主にリメイク後の追加要素についての感想。リメイク前もプレイ済でしたが、声や新しい話、CGがどれも素敵でより楽しむことが出来ました。このおわきせの『青春という思い出、過去の時間があるからこそ今のあなたがあるんだよ』と優しく肯定してくれる、眩しいほどの青春が詰まった物語なのが、何よりも好きだと改めて思います。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

お話自体の感想は、リメイク前の批評空間ページに掲載していたので、割愛。
https://erogamescape.dyndns.org/~ap2/ero/toukei_kaiseki/memo.php?game=33105&uid=merunonia

主に
○リメイク追加要素について
○2回目読んで改めて

の感想を書いていきます。

○リメイク追加要素について
今作のリメイクによって主に『ヒロイン2人に声』、『新規エピソード』、『新規CG』、『その他設定面等』といった面が追加されました。
それぞれについて、以下備忘録の感想です。

①『ヒロイン2人に声』
一番大きな変化はここだったと思います。ヒロインである『花火』と『ツナギ・ツムギ』の二人にボイスがつきました。
いや~~~~~~良かったですね……。リメイク前の時点で脳内で再生していた声に違和感が全くなくて、すごいピッタリでした。

花火は名前の通り喜怒哀楽がハッキリしている明るめのキャラなのですが、声がつくことによって、より明るさが際立っていました。
普段のハイテンションな所。得意なノリノリの英語トーク。花火やヒマ、海の前で見せるドヤ顔。そして明るい所で「意気地なし……」と照れながらボソッと呟くギャップ。そして告白シーンの笑顔。最後のひまわり畑の約束の言葉。
そのどれもが声が付いたことで、よりキャラのハキハキさ、明るい可愛さがより際立ちました。何度悶えた事か。

ツナギちゃん(ツムギちゃん)はイメージ通りのクールな可愛さですよね……。
後輩キャラでありながら切れ者で、何でもできちゃう。普段は敬語で天使のように可愛いのだけど、時たま主人公(先輩)である祭をからかう小悪魔な可愛さだったり、そのギャップな可愛さがとても良く似合ってました。特に旅行での、布団シーンは本当に良かった……。
またツナギちゃんの場合は、双子ですが性格が正反対(ある意味同じ)なツムギちゃんがいる分、より声が付いたことで、二人の違いがより際立つものだったと思います。後半、中学校授業回でのツムギちゃんのノリノリっぷりは見ていてとても楽しかったです。
声なしの時にはテキストや表情立ち絵だけでしか読み取れなかった二人が、声が付くことでより魅力を増していたと思います。

自分は正直声優(特にエロゲ以外)は詳しくないので、花火役の『峯田茉優』さんとツナギ(ツムギ)役の『富田美憂』さんになじみがなかったのですが(失礼)、リメイクverを読み始めて全く違和感がないほど素晴らしかったです。
(と後から調べたんですけど、アニメにたくさん出演されてたりすごい方々でした……大変失礼。むしろどうやって交渉したのか……すごい……。)

②『新規エピソード』
もう一つの大きな要素としては、リメイク前では見られなかったたくさんのエピソードが追加されました。
いや~~~こちらも全部面白かったですね。Wデート話、ホラー映画&怪談話、上級生達とのドレスコーデ回。リメイク前も沢山の『幼馴染達と過ごす青春話』が詰まっていましたが、追加エピソードは、特に花火やツナギちゃんと祭の恋愛要素も含まれてて、たくさんニヤニヤしました。
特にWデートの、ヒロインどっちを選ぶ?という『選択肢』の反応が本当に可愛くて……。片方を選んだ時のもう片方のガッカリ表情だったりの差分が本当に可愛くて可愛くて、祭君罪作りな男やで!!!
ドレスコーデ回も、花火や葉桜ちゃんのヤキモチな反応がすっごい可愛かったし、上級生組との絡みが増えてすごい楽しかったです。
ホラー映画については、元ネタがすごい気になる……。えっちっちなシーンや、イケメンが崖下に落ちていく所、ユニコーンや最後妖怪大戦争だったり、『キ○ビン』かなと予想……。

また追加エピソードという意味ではとても貴重だった2周目要素のお話。むしろこちらは予想外すぎてびっくりしました。
主な内容は3つ。『ツナギちゃんが理想の世界に来た時のお話』、『祭に「元の世界へ」と答えを出す前の胸中』、『現実世界に帰ってきた後の祭とツナギの話』の3つ。
いやどれもめっちゃくちゃ重要な話やん!!!!!!っていうね。

・『ツナギちゃんが理想の世界に来た時のお話』
この話は、むしろ『理想の世界の祭君の反応』が気になる所。最初ツナギちゃんの姿を見て、『ツナギ』と呼んでいたら『……まさか、ツナギちゃん?』と絶望したような表情で呼び方が変わったり。この後の話で、魔法使い以外の『もう一人の伝達人』は『理想の世界(?)の祭』であり、かつ魔法使いの風鈴先生と知り合いっぽい感じ。理想の世界の祭は全てを把握していて、並行世界を渡り歩いているのだろうか……。もっと壮大な話の中の主人公になっていそう。ツナギちゃんは相棒か。
また、ツナギちゃんが最初に祭に「眠りすぎですよ」って伝えたのも、この『理想の世界の祭君』の助言だったとは……。予想外すぎでした。

・『祭に「元の世界へ」と答えを出す前の胸中』
日時としては、祭が花火に「理想の世界に残り続けるのは反対」と伝える前のシーン。花火の胸中が明かされる小話でした。
──────────────────
「もう終わりにしなきゃだよね……」
楽しい時間はもうおしまい。
マツリの想いを知ったから。本音を聞いたから。
だからこそ、わたしはやらなくちゃいけない。
わたしが終わらせないと。
──────────────────
花火自身も、このマツリとこのまま楽しい青春の時間を過ごしたい。その方がきっと楽しい。けれど、『ずっと見てきた』花火だからこそ、マツリ自身の本音が分かってしまい。そしてこの役目ができるのは、花火自身だと。
ヒマが言っていたように、マツリ自身のことを大切に想っているからの言葉だったと分かるシーンでした。
小話だったけれど、けれど花火自身の想いを知ることが出来る貴重なシーンです。

・『現実世界に帰ってきた後の祭とツナギの話』
一番見たかった話……。現実世界に戻ってきた祭がツナギちゃんに会いに行くお話。それは本編で別れた時に、元の世界で会いに行くと約束したお話でした。
あの最後のツナギちゃんの、あの微笑み。『おかえりなさい先輩』と伝えてくれる姿がもうもうもう……本当に見られた良かったです。

同時に、ツナギちゃんへの考察も出てきてしまいます。なぜ言葉ではなくスケッチブックで伝えるのか。演出かもしれないけれど、今までのツナギちゃんへの情報を見ると『声が出ないから』かもしれないと思ってしまいます。
元々本編中にも沢山のヒントがありました。
理想の世界で曲に歌を付ける姿。中学の音楽の反応。カラオケ等々。
また直接関係なくとも、元の世界ではツムギとツナギが一緒に寝ていない事であったり、ツナギちゃんの家が元の世界だと空き地であったり。テニスシーンでは、『ツナギちゃんが実はツムギちゃん』であることが明かされますが、あそこの会話から、ツムギちゃんはこの並行世界の渡り歩きのことを知っているのかな?と思ったり。
なぜ声が出なくなったのか。(もしくは歌えなくなったのか)
ツナギ・ツムギちゃんが一緒にいない理由。
家の事情でしょうか。まだまだ多くの謎が残されていそうです。

③『新規CG』
追加CG、めちゃくちゃ増えてましたよね。どんぐらい増えてただろう。
と数えてみたんですけど、リメイク前が約20枚強(?)に比べ、リメイク後が48枚!!!
すごい増えたとは思ったけれど、まさか倍になっているとは……。
またこの新しいCGが『ここで欲しい!』と思うような要所要所で使われているのがとても深みが増して良かったです。
花火が祭に「元の世界へ」と伝えるシーン。風鈴先生とのボドゲシーン。
ツナギちゃんとの旅行布団シーン。ツナギちゃんに、祭の選択を伝えるシーン。
花火に告白するシーン。(その後のコメダ撃沈シーン)
これらどれもどれもが、祭にとって物語の分岐点となるシーンの多くで、CGと声がついた事でより物語の深みが増して良くなっていました。
また青春の日常、花火と家デート、ツナギちゃんとジェラートデート等もたくさんあったのもすごい良かったです。
特に、ツナギちゃんと布団シーンのあの笑顔、花火の告白シーンのあの笑顔はもうもう……本当に卑怯……。めちゃくちゃ青春ど真ん中の甘酸っぱさ。可愛かったです。

と主にヒロインの追加CGを書きましたが、(もちろんこれも良かったのですが)個人的にめちゃくちゃ嬉しかったのが「葉桜ちゃんのCG」が沢山増えていたことでした……。そのどれもが、素直な気持ちを出せないツンデレ反応ばかりでもう……本当に……。一番お気に入りなのが、『可愛い服』を着た葉桜ちゃんと祭、ツナギちゃんのシーン。最高に悶えました。
葉桜ちゃんの照れ反応は万病に効く。

これだけ多くの新しいCGが増えることで、一度読んだ物語もより深みが増していくのがすごい素敵でした。
リメイク前から立ち絵の服装差分、表情差分が多くあって、さらにCGが増えることで登場人物達により愛着が増すようになるのが本当に楽しかったです。

④『その他設定面等』
あとはUIなどの設定部分がすごい快適になったのが良かったです。
セーブ数が増えたり、ボイスセーブがあったり、バックログが読みやすくなっていたり。そこも良かったです。
他にもリメイク前とは違う新OP、新EDも素敵でした。
前のEDの歌詞の本編とのリンクも好きでしたが、新EDの『祭と花火』の姿があったからこその歌詞も本当に良かった……。特に歌詞の『いつか会いに行くと決めた笑顔の約束』がもう……本編とリンクして……好きです。

以上がリメイク要素についての感想でした。

○2回目読んで改めて
初見、リメイク前を読んだのが2年前でした。
改めてリメイクverを読みましたが、やはり面白い作品は何度読んでも面白いなぁとなりました。彼彼女たちの青春模様が本当に眩しくて、その時々で描かれる『過去があるから今があるのだ』と。思い出はなくならない過去だからこそ、『この青春の時間を全力で楽しむんだ』と詰め込まれた話が何度読んでも素敵でした。
何度読んでも悶えるものは悶えるんだなぁと。
特に声がついたことで、何度花火やツナギちゃんに悶えたことか……。
それとは別に葉桜ちゃんが本当に可愛くて可愛くてニヤニヤしたことか……。

また2回目だからこそ、風鈴先生や花火の想いを知った上で読めたのも楽しめた点だと思います。
特に風鈴先生の「理想の世界と現実の世界。どちらが良いかと問われたら理想の世界に決まっている。それでも選べないのは、元の世界にも何かしら大切な想いがあるからじゃないかな」と問うシーンだったり。
2回目だからこそより好きになれたシーンだったと思います。
それ以外にも、初見では気付けなかった祭が『過去の時間、過程を大切に想う人間』ということを理解をしたうえで読むお話はより新鮮だったと思います。
祭にとってとても『理想な青春』であればあるほど、その青春への想いは過去があるからだと気付く優しいこの物語が、とても好きです。

あぁ青春物って良いですよね……。(2回目)甘酸っぱくて眩しくて。
あの学生時代にあった、夏の幼馴染達と『何かが起こりそうなワクワク』感を感じられる作品は貴重だと改めて思いました。

久しぶりにこの青春の時間に浸ることができて楽しい時間でした。
まったりやろうと思ったら、あっという間に読んでしまうくらいには好きでした。
以上です。
改めてありがとうございました。