【しあわせ】になりたいと願う双子のお話。予想以上に軽いノリで楽しめるお話でした。特に深紅編が好きでした。
前半の桔梗編では、とにかく彼女が幸せになって欲しいと思いながら読みました。
『深紅ばかりいつもいつもずるいずるいずるい』と語る桔梗さんが
最後結婚を目前にして幸せになるためにしあわせを行うのがとても好きでした。
後半深紅編は、桔梗編だけでは分からなかった深紅の心境の変化が分かるのが好きです。
なぜ、しあわせの一つで深紅は自爆じみた行為をしたのか。
⇒それは、母親が自分たちを忌子だという真実を知っていたから。一緒に居なくなった方が幸せだと思ったから
なぜ、深紅は桔梗の事を銃で撃てなかったのか。
⇒それは、真実を理解していく中で、本当の妹(姉)である桔梗の事も幸せになって欲しいと思ってしまったから。
なぜ、その後、深紅は桔梗の事を撃つことができるようになったのか。
⇒それは、月城との関わりを通して、自分と月城の幸せのためにもう一度生きようと思うことができたから。
といったような、桔梗編だけでは分からなかった心境が分かるようになっていくのがとても好みでした。
また、話の中心となる『双子要素』も新鮮でした。
二人で一つの体を共有する、『結合双生児』はニュース等でもたびたび放映されたりするので、そういった現象は知っていましたが、これらを題材にする物語は初めて読んだように思います。
話を読み進めるにつれて、二人の真実が理解できるようになっていく真相の面白さも好きでした。
二人の両親、年齢等。
双子から双子が生まれ、そして双子が生まれる。親の因果が子に報い。
こうした真実を理解した上で、桔梗と深紅の二人が言葉にする『私が姉(お姉ちゃん)なのに!!』という言葉が、ただ私の方が上なのにという意味だけではなくて、私が主体なのにといった意味であったり様々な意味合いが込められていたのが分かる構造もとても好きです。
特に最後の語りによって明かされる、二人の溶け合う想いはある意味お洒落でした。
最初に期待したような方向性ではありませんでしたが、ある意味新鮮に楽しむことができました。
面白かったです。
以上ありがとうございました。