前半は、タカヒロ氏らしい『美味しー!美味しー!!』なノリが面白くて、後半は田中ロミオ氏らしい日本神話を舞台にした設定回収の面白さがある一粒で二度おいしいような不思議な作品でした。同時にみなとそふとノリを最後まで期待すると評価が分かれそうとも思ったり。和香様と流々葉様の二人と主人公の突っ込みのテンポがとても面白かったですね……。
※前半はネタバレなしでさらっと感想
後半はネタバレありで備忘録に感想を
お久しぶりな、みなと系列作品。
みなと系列の作品と言えば、やはりタカヒロ氏による、マジ恋や辻堂さんらしいような、年上が主人公をぐいぐい引っ張るような作品が特徴だと思っています。このノリがすごい楽しいですよね。
特に私は年上、姉スキーなので、この部分がハマってすごい大好きです。
また、多くの登場人物が入り乱れながらわちゃわちゃするような面白さも、タカヒロワールドならではだと思います。
今作の『和香様の座する世界』はそういう系統の面白さを持ちつつ、いつもとは違う作品の面白さでした。
一言感想でも書きましたが、前半は、タカヒロ氏らしい登場人物のハイテンポなノリと突っ込み、リアクションが即2コマ完成されたものがマシンガンで来るような面白さが予想通り最高で面白かったです。
特にテキスト。ブラックジョークや小さなネタを仕込みつつなテキストはするする読める面白さ。
ここは田中ロミオ氏らしさでしょうか。さすがです。
ただいつもと違ったのは後半部分でしたね。
後半はキャラの面白さではなくて、設定回収の面白さ。日本神話を舞台にした壮大なお話で、最後に回収されていくお話としては、綺麗な締め方で面白かったです。
よく見たらライターは『田中ロミオ氏』だったんですよね。プレイする前にその情報知らなくて、その方向性で行くのかーー!と思った途中で気になって分かった時には、言われてみればらしいなぁと理解したのが記憶にすごい残っています。
そういう意味では、最初のタカヒロ氏らしいノリを最後まで期待すると、途中で作品の方向性が変わってしまうことに受け入れられるかどうかで評価が分かれそうだなぁって思ったり。
こう割り切れれば面白いんですよね。特に後半のお話は私好みで好きです。
ただ同時に、前半のノリも最後まで見たかったなぁっていう思いも確かにあるので、でも面白かったなぁって感想もあるので、私の中で不思議な作品だったりします。
以下より、ネタバレ込みで、さらに感想を備忘録のために書いていきます。
〇前半の美味しー!美味しーー!!な面白さ
前半で一番面白かったって思うのは、邪神姉妹二人の食事シーンなんですよね。
二人が現世に現れてから、食べ物を食べるたびに『美味い!』『おかわりじゃ!』ってシーンが何度あったことか……全部可愛いかったなぁ。
和香様の、食べ物が絡むと一気にやる気が上がるシーンだったり、流々葉様の不機嫌でも食べ物を食べた瞬間に一気に機嫌がよくなるシーンだったり、二人で『『馳走!馳走!』』ってはしゃぐシーンとかもうううう楽しかった!
主人公との食べ歩きで色んな反応もすごい楽しかったし、主人公の金銭面が乏しくなって、節約料理になっていくシーンとかも、二人の絶望の反応とかすごい大好きですし、もうずっとこの日常で良いんじゃないかな?ってくらいには楽しかったんですよね……。
特にこの部分のテキストが本当に面白くて好きでした。
独特の造語の応酬だったり、選択肢やBGMを駆使した場面の切り替わりの楽しさ、ボケと主人公の心の声の突っ込みも合わせて、全部楽しかったなぁって。
特に、お銀さんが加わったり、都ちゃんが絡んでくると更にそこも楽しくなってきて。
ここら辺は、あ~~みなとそふとらしい楽しさだなぁ~~ってすっごい楽しかったです。
また根津さんと藤子さんの二人のやりとりもめっちゃ好きなんすよね……。
江ノ島の根津さんと拾われた家族のお話はちょっとほっこりして、温まったり。良いお話ですごい好き。
ただ、後半の話にもなりますが、邪神の二人TUEEEも楽しんですけども、この圧倒的強者ノリがもうちょっと見たかったなぁってのが正直な感想もあったり。
また、周りの登場人物たちが増えていく中で、もっとみんなで活躍していくみなとそふとで来るのかなぁと思ったら、ちょっと方向性が違ったのが意外でした。
話のテーマ上仕方ないのですけど、最後までこの規格外な二人の立ち回りが輝くというわけではなく、ここから、そもそものこの世界の舞台裏に巻き込まれていくという話だったのが、良い意味でも予想外だったなぁと思います。
〇後半の田中ロミオ氏による、世界観の回収
話の流れが変わったなぁって感じるようになったのは、百鬼夜行のお話あたりからですかね。
『日本神話』の再演のお話が出てきた辺りから。
方向性が変わったとはいえ、この話の方向性も好みでけっこう好きだったんですよね。
かつての日本神話のやり直し。特に、江島縁起による日本神話の解釈のぶつかり合いは、そういう解釈もできるのかというお話だったりもあって興味深くて。
その後の流々葉様引きこもり()のお話だったり、天照大御神の日本神話の再演だったりのお話もけっこう面白かったり。
ただ、日本神話かと思ったら、写し鏡の話のもって行き方は騙されたわぁ!っていう。
左手の伏線は気になってはいたんですけど、主人公が実は人間ではなく神様の何かみたいな伏線かなぁと思ってたりしたら、実は鏡による世界だったっていうね。ここは騙された。
日本神話も再演ではなくて、存在していなかったため、引き寄せられる形で発動されたというお話。
そしてそこから、これからの世界を作り上げていくのは彼女たちとして
たしかに『和香様の座する世界』の物語。綺麗な締め方でしたね。
特に『ふることぶみ』を再度読んでいく流れから、和香様の事を知って、そして和香様の想いを知って、和香様の笑顔を知って、そして最後のアフターの話へ紡いでいく流れがもうとても好きです。
また最後の流々葉様の反応も彼女らしくて面白くて笑ったり。
彼女たちのさらにアフターな話が見たくなるお話でもありました。
後半も読んでいて疲れなかったというか、程よく読めたのは、田中ロミオ氏の良さだとも思います。
ここら辺はさすがですね
〇総評
面白かったです。
一言感想でも述べたように、一粒で二度おいしい不思議な作品でした。
同時に、方向性が全然違うから評価分かれるんだろうなぁって思ったり。
もっと彼女たちのTUEEEだったり、魅力的な登場人物の多さはタカヒロ氏らしさがさすがだと思うので、そういったところがもっと見たかったなぁって感想もあったり。
でも同時に田中ロミオ氏らしい日本神話の知識を総動員した仕掛けのお話も面白かったなあって。
日本神話のことがより知りたくなる作品でもあったりして、知識的な面白さもあったり。
とても異色な作品だと思います。
とそんなごちゃごちゃした感想より、和香様可愛い!流々葉様可愛い!!ばんざーい!!
なエロゲでした。
以上です。ありがとうございました。