何度も絶望して、希望にすがってまた絶望して、それでも最後に迎えた結末が見れてとても良かったです。あらためてさささぐは私にとってどのような物語だっただろうと考えると色々な想いが浮かびます。『最悪なる災厄人間』に捧ぐ物語として、面白かったです。辛くても、でも先が気になってしまう展開力、クロの可愛さがもう素敵でした。
前半ネタバレなし
後半ネタバレあり
で感想を書いていきます。
私にとって『最悪なる災厄人間に捧ぐ』(略称:さささぐ)は、ケムコの2作品目になります。
1作目でプレイしたレイジングループがあまりに面白くてドはまりしたところ、「さささぐ」も良いですよ!と教えていただいたこともありプレイしました。
結論から言えば、とても読み進めるのが辛かったけれど、読了感素晴らしかった……。
体力が削られたとはいえ、最後までプレイして良かったと言えます。
もう何度何度心が折れて中断しかけたことか……ほんと辛かった。
でもクロ可愛いし、先は気になるし、心は削られるのに、折られるのに、読み進めてしまう面白さはさすがでした。
何よりも素晴らしかったのは、展開力に尽きます。
ここはレイジングループと同様の魅力でした。
あぁクロ可愛いなぁ、どういう話なんだろうと引き込まれたと思ったら
「あぁぁ~~~そういう話なのね、これはつらい」と思わせてくれたと思ったら
さらに「いやそういう話だったんかい!うぅぅぅぅこれはマジかぁ」と、希望と絶望を同時に運んできたと思ったら、さらに
「うぐぅぅぅぅそういう話だったのかよぉいやここまでやるんか」といった感想を繰り返してくれるような展開力。
読み進めるのが辛いのに、でもちょっとした違和感、伏線が気になって進めてしまう面白さでした。
そして迎えた最後の真相、追加シナリオの結末まで見れて、良かったなぁと思わせてくれる作品でした。面白かったです。
まだ未プレイの人は、鬱要素は多めですが、ノベルゲームの面白さを兼ね備えた作品だと思います。徐々に真相が明らかになっていくお話が好きな人だったら合うのではないでしょうか。
こういう作品は、大好物なので、苦手要素もありながらでも好きだったなぁと思える作品でした。
ネタバレなしはここまでになります。
以下はネタバレありで詳細な感想を書いていきます。
ネタバレが致命的な作品になりますので、未プレイの方はご注意ください。
ネタバレ感想では、私が面白かった、辛かったと思う点を箇条書きにします。
また、さささぐ私にとってどのような物語だったかの感想は、最後に総評に残します。
①クロの可愛さ
②鬱要素、胸糞展開が本当に辛かった……。
③辛くても読み進めてしまう展開力。印象的なシーンの感想。
④12章、そして追加シナリオへで補完されるお話の感想。
⑤リーダーちゃんの存在
⑥エンド1を用意してくれたことに感謝を
⑦総評
①クロの可愛さ
もうさささぐの魅力と言ったら、外せませんよね!
クロの可愛さがこの作品の大半を占めている要素の一つだと言っても過言ではないと思います。
幼少時代のクロの可愛さ、ちょっとしたことで驚いて手を両手にあげる立ち絵、どんなことでも素直な可愛さ。豹馬君を守る!と盾になろうとする姿。
成長して個性が出てきた後のクロ達の可愛さはさらに魅力的。
みんなそれぞれに可愛さがあってどのクロも印象的。一つ一つの立ち絵が増えて、その姿が彼女たちの特徴をさらに表現してて、本当に可愛いんですよね……。
この可愛さがあったから、作品を読み進めることができました。
でも同時にこの可愛さがあったから、鬱要素、胸糞要素が本当に辛かった……(後述)
そして、この可愛さがあったからこそ、豹馬君に感情移入することができて、だからこそよりこの作品が辛いんですよね。
クロが、豹馬君が幸せになってほしいと思わせてくれる要素として。物語を読み進めたいと思わせてくれる要素として。
この可愛さがあったからこそ、作品にのめり込むことができた重要な要素だったと思います。
②鬱要素、胸糞展開が本当に辛かった……。
私にとって、印象深いのがこの要素です。
もう何にしても、塾の友達も辛かったけれど、クロの母親の話、もうこれが本当に辛かった。本当に本当に辛かった、辛かった……。
ループを繰り返す、クロが死んでいく姿も辛かったけれど、ここは物語の真相を追う面白さもあって許容できる(?)面白さの一つでした。
ただ、塾のいやがらせだったり、クロの母親のあの描写は本当に無理……。何度もここで読み進めるのが辛くて、中断を何度もしちゃって。首輪を外す話とかねもう辛くて。
特に8章の、みーメインのお話、クロの母親再登場の時なんてもう今更何しに来たの!?っていう感情がもううううううすごかった。
変わらないクズっぷり、もう豹馬君に感情移入しきった私には、憎悪の感情に完全同意でした。もしループ解除の条件が、母親を赦すことだなんて展開になったら、間違いなく端末機を投げつけたと思うくらいには、もおおおおお(ry
でも8章の結末は好きです。豹馬君は、母親が憎い、彼女を許すことができないと認めた上でクロの想いを受け取った上で話を進めるお話。
でもこれだけ憎く思うのも、クロが本当に可愛いんですよね。だからこそ許せなくて。
そしてだからこそ、12章の『おかあさん』の代わりとして彼女を育てていくお話はもう本当に感慨深くて、さらに追加シナリオの幽霊視点がもうさらにね。
あまり、マイナス感情のことは残さないのですが私にとって忘れられない要素の一つなので箇条書きの一つに残します。
プレイ終えた今でも、塾の友達とクロの母親は許さないから
③辛くても読み進めてしまう展開力。印象的なシーンの感想。
もっともよかった要素としては、『展開力』がずば抜けていたと思います。
ここはレイジングループしかり、さすがでした。
最初は、クロが可愛いと思ったら、災厄によるループを引き起こしていく展開。
いかにループを抜けるためのお話なのか、と読み進めながらも自殺を決断することが正解の選択肢だった時の、どういうことなんだって感想。
と思ったら、幽霊となって次の世界へとつないでいくお話。
なぜ黒いもやが増えるのか、ループの条件とは何なのか、幼少期のA、B、Cの存在。幽霊の正体。真相探求のための次の世界へつなげていく。
ハッピーエンドを迎えるのはもうすぐだと思わせたところで、幽霊の真実を明かされて絶望して。ここまでするのかとやり直しを見せてくれて。
そして最後に迎える12章。その裏真実を明かされる追加シナリオ。
何度『あっそういう話だったのね……』という、はっとさせられた思いになったことか。
ここの構成、展開力が本当に面白かった。
その中でも印象的なシーンを挙げるとするならば、
中盤、各クロたちと過ごす中でも、なっちゃんと過ごした世界のお話がめちゃくちゃ刺さったなぁと。
なっちゃんと言えば、テストのお話しかり、かまってほしいと、自分と遊んでほしいとわがままで可愛くて、な性格でした。
でもそのなっちゃんから『私たちは本当に恋人同士なのかな』というお話。
お互いは『依存しているだけじゃないのかな』と諭されるシーンがもう辛かった。
クロが可愛くて、でもそれは『クロが可愛いが全て』と本当の意味で生きていないと。その間、クロは豹馬君の盾となって、どんな悪口があっても、豹馬君には伝えなかった優しさ。
クロが本当に望んでいる、豹馬君に『生きてほしい』という本当の意味合い。
それは、周りのみんなと関係を持ちながら、普通の人間のように生きていてほしいと願う姿。
本当の人間に戻りたいと、かつて母親とクロの話から見ていたはずなのに。自分自身は、本当の人間として生きるという意味合いを諭されたのが辛かった。
豹馬君に感情移入しきっていた自分には衝撃すぎて辛かった。
そして、このなっちゃんの話が、12章の追加シナリオにつながっていくんですよね……。あのリーダーとなっちゃんの対比がすごい好き。
リーダーちゃんについてはまた後述します。
また、10章-5のお話も一番刺さりましたね……。
全てがハッピーエンドになったと思ったら、それでも世界が再構築され。
幽霊と同じクロの合わない世界を過ごし。幽霊の真実を知らされ。
「死ぬことで次につなげることが正しいことだと?」と幽霊に諭されるシーンなんかはもう衝撃がすごかったです。
中盤のお話、ループを止めるために、真相を探求するために、自殺をする豹馬君の姿。
感覚が麻痺して、自殺、死んでも次の豹馬君やクロがいるからと、彼、彼女たちの姿はかっこいいと、思ってしまった。豹馬君だけじゃない、読み手である私も思ってしまった。だからこそ、その部分を否定されたときは、とても私自身も刺さって辛かった。はっとさせられた。彼女たちを個で見ずに、『減った』と思ってしまったことに、うっとなってしまいました。
いつからか『死ぬこと』を肯定にとらえてしまった自分がいたなぁと。
そして、『自分の存在が最低だから消えてしまうべきだ』と主張する幽霊(豹馬)
『自分の存在が最低で最悪な人間だからこそ生きて変わって』と主張するクロ(にゅー)
その後のクロの言葉が本当に好きなので、下記に記載。
クロの言葉
──────────────────
君が最低だって事はよくわかったよ。……でも、それで死ぬのは違うよね。
だって、今の話を簡単に言うと、『自分がダメな人間だから死にたい』って事だよね。でも、それって逆だと思う。
ダメだから……問題のある人間だからこそ、生きて。残って。消えないで。
そのまま死んでしまったら、君は君の言う、『最低で最悪な人間』のまま終わってしまうけど……それでいいの?
変えようよ。問題を放棄しないで。少しでも良い自分になって。
君が変えようとするのなら、私は君の味方だよ。
君が失敗しても、落ち込んでも、ダメな人間でも笑わない。
どこからでも君を見守っているよ。
他の誰が君を罵っても。君自身が君を罵っても。……その分だけ、私が君を誉めるよ。
さわれないけれど、膝枕も、頭を撫でる事も、抱きしめる事もする。君が安心できる空間を作って見せる。休憩する場所を用意して、待っている。
だから、もう少しあがいて。……可能性を捨てないで。
(中略)
君は、本当に死にたいの?
(きっと、俺は……生きたい)
──────────────────
今までの話で、死んで真相を探すことがかっこいいと思ってしまった。
でも、死ぬことは、逃避で。
このお話は、死ぬことではなくて、『生きる』ことを願うお話だと。
そしてそれは、今まで中盤で見てきた、豹馬・クロの決断を否定するお話。
同時に私にとってこのシーンは、さささぐの印象を決めたシーンでもあります。
※詳細は総評に
この転換期が一番の衝撃でした。
そしてその後、それぞれのクロに『生きていいんだよ』と明かす姿は本当に良かった。みんなが生きて一緒にいられると笑顔になった時には、あぁ生きてくれてよかったとこっちも思わせてくれる11章が本当に素敵でした。
④12章、そして追加シナリオへで補完されるお話の感想。
上記で述べた上で、さらにつながるのが、12章。
この12章もめちゃくちゃ好きなので、感想を。
12章で明かされたのは、『クロが豹馬君と関わることなく生きる世界』のお話でした。クロが、『おかあさん』に支えられながらも、小学生、中学生と過ごしていく姿は本当に感慨深くて、ちょっと泣きそうでした。
おかあさんありがとう!と喜ぶ姿には何度癒されたことか……。
ランドセルを背負う姿とかもう最高すぎません????
大豆食品詰め合わせソフトクリームを美味しく食べる姿を見た時には、もうもうもう感情が極まってあぁぁぁ~~~ってなってのがすごかったです。
クロも幸せになってほしいという想いがずっとあったから、彼女の幸せな姿がみれて嬉しかった。
近づく災厄を回避しながらも、天井で、クロが『生きたい!』と強く願う姿、
そして豹馬君の『生きてくれてありがとう』という言葉、最後に繋がるシーソーのシーンはもう本当に卑怯で、そんなTRUE END。良かった。
でもでもでも、本当の意味で最高なのは、追加シナリオを読んだとき。全てを理解した時がも~~~~~面白かった。
確かに12章、すごい楽しかったんですけど、違和感があったんですよね。災厄が起きた時に、災厄が回避されているシーン等々。『おかあさん』として豹馬君がどのように助けているのかのシーン等。
それらを全て補完してくれているのが、追加シナリオ『最悪に捧ぐ』でした。
自殺して幽霊になった豹馬君視点で明かされるお話。
(あまりにも衝撃的すぎたのはリーダーの存在でしたが、彼女のお話は後述)
至るまでの内容は割愛しますが、その幽霊豹馬君とリーダーを踏まえた上での12章が本当に良かった。
クロ支えようとする二人の豹馬君。幽霊豹馬君の、徐々にクロに惹かれていく姿。
あぁ幽霊豹馬君も、豹馬君なんだなって思わせてくれるような内容で。
そして災厄の日での屋上シーン。数々のクロの『生きたい』と強く願う姿。
かつての5人のクロが登場してもうあっ無理……ってなりました。
そして豹馬君が『生きてくれてありがとう』と伝えるわけですが、この言葉、ただの豹馬君だけじゃなくて、幽霊豹馬君からも出た言葉だとするならば。
クロと関わらなかった豹馬君の世界でも幸せになることができるという証明。
それは、豹馬君とクロがお互いに依存関係ではなくて、人間として生きたいと願うことができるという証明。
最低で最悪な人間かもしれない。
きっかけに彼彼女の存在は必要かもしれない。
それでも、本当の意味で『生きることはできる』というお話として。
12章と追加シナリオのお話が本当に素敵でした。
⑤リーダーちゃんの存在
追加シナリオで衝撃的な要素なのが、リーダーちゃんの存在ですよね。
いや、あそこまでヤンデレ()だったのが本当に衝撃的すぎて……。
豹馬君は神だからね!と言い切るあの姿が衝撃。
豹馬君が全て正しいから、苦しめる役立たずなクロは死ねばいいよ!と笑顔で言い切る彼女とか。可愛い。
『だって『豹馬君』だから!最低なんかじゃない!
豹馬君は私を愛してくれる!私を大切にしてくれる!私を見てくれる!』
10章で、豹馬君を『最低で最悪な人間』として認めた上で生きてほしいと願ったにゅーの姿とは対照的でした。
確かに少し違和感はあったんですよね……5人目の最後の豹馬君が自殺したBADEND。
リーダーちゃんの最後の言葉、悲しむ最後の言葉があったと思ったら、一気に元気な声色になって『私だけはずっと覚えているからね……』って言葉だったり。
いやここまでだったとは……。
幽霊豹馬君が、5人世界の豹馬君を殺すたびに、やっと殺せた!と喜ぶのが、達成感よりもリーダーちゃんからやっと逃れられるっていう嬉しさだったシーンなんかはもう一番笑ってしまった。
またリーダーちゃんの真相を知った上で、彼女のセリフをもう一度読むと意味合いが一気にがらっと変わるんですよね。
例えば、10章の最後の自殺前の言葉
『考え直してよ!もう、君だけなんだよ!?
今、生きて、動いている『豹馬君』は君だけ、っなのに……!』
この言葉、本編プレイ中は、豹馬君に生きてほしいと『豹馬君のことを想って』の言葉だと思ったら、これは
『私のために』豹馬君に生きてほしいという言葉だったんだなぁって。
この部分以外も読み返すと、今までのイメージが全部変わって面白い。
彼女は救世主かキーパーソンだと思い込んでいた序章や中盤が、一気にがらっと変わるんですよね。
でも、リーダーちゃんの存在はとても好きです。
リーダーちゃんのあの姿は、『豹馬君に依存する姿』として、かつての『クロに依存する豹馬君』の姿と同じで。
彼女の場合、依存するがゆえに豹馬君は全て正しいと思い込んで、『彼の最低で最悪な部分には目がいかない』
それは、クロも普通の人間と同じなんだという事でとても好きです。
(単純にヤンデレクロも可愛いというのもありますが)
物語中のクロ、確かにめちゃくちゃ可愛いのはもう疑いようもないのですが、彼女の弱みだったり悪い性格部分ってのは本編中全く出てこないんですよね。
常に豹馬君の盾となり、彼の事を思う姿。素敵だなと思うがゆえに、最低な姿もあると認めた豹馬君と比べると、彼女の姿は完璧すぎて。
けれど、リーダーちゃんの姿は、クロも人間らしく醜い部分もあるんだなっていう証明で安心した部分があるんですよね。
豹馬君だけじゃない、クロも豹馬君に依存する弱さがあるのだと。
なっちゃんの『この関係は恋人同士じゃない』と諭されたときの怒り。
同じクロなのに理解できないと怒る姿。
また10章で、にゅーの説得に自殺を止めた豹馬君のシーンに対して、同じクロに『嫉妬』したリーダーちゃんの姿。
このクロの姿が見れたからこそ、12章のクロの『生きたい』という言葉は、豹馬君と同じように『依存』ではなくて、本当の意味で人間らしく生きたいと願う姿だったんだなと思うことができて。
そして何よりも、この物語は豹馬君だけじゃなくて、『豹馬君とクロの二人のための物語』と思わせてくれる。
だからリーダーちゃんの存在が大好きです。
⑥エンド1を用意してくれたことに感謝を
エンド1『彼女の幸福に捧ぐ』
このお話、追加シナリオをプレイしても意味合いがわからなくて、
同時に全てを理解したうえでこのエンドを迎えた時の、衝撃がもうものすごかった。
私、こういうノベルゲームって最初から攻略サイトで選択肢の正解を調べてしまうから、エンド1をプレイ序盤に見てしまったんですよね。
彼女に話しかけるを7回タッチ軽快に押すわけです。
そして迎える唐突なよさそうなエンド、正直意味が分からなかった。
なんか老衰で、幸せそうだったんだなぁ程度の感想。
そして、全てをプレイをしたうえで、もう一度このエンドを見たわけですよ。
はぁ~~~~~~~~~そういう意味合いだったのね……。って。なるわけですよ。
彼女に話しかけるか、話しかけないか。この選択肢でここまでの意味があったのかって。プレイ当初は思わなくて。
もし、幽霊豹馬君が、彼女に話しかけることができたなら。
その後の結末を描いてくれた、お話。『彼女』の幸福に捧ぐ。
もう衝撃がすごかったんですよね(2回目)
ノベルゲームの選択肢って色んな意味合いがありますよね。
単純に√を決めるものから、ちょっとしたサブイベントの分岐。
今回の選択肢は、『彼女に話しかける』を7回選ぶ必要があるのですが。
それは、ありえなかった結末を見るためにそれだけ試行する必要があって、それだけ読み手である『私』が望まないと見れないお話。
その意味合いは、全てを理解したからこそ、その『選択肢を選び続ける』意味合い。その選ぶ行為にすら重みがあって。
ノベルゲームの選択肢のギミックとして、本当に素敵だった。
だから、この結末を、選択肢を用意してくれて感謝。
彼彼女たちの幸せな姿に感謝。
⑦総評
面白かった。本当に面白かった。
何度絶望して心が折れかけて、それでも希望を持ちながら読み進めて、また絶望して。最後の結末が見れて本当に良かった。
こうして読み終わった今、改めて、このさささぐとはどのようなお話だったんだろうなって考えてしまいます。
クロと豹馬君の成長の物語
クロと豹馬君が、依存ではなく本当の人間として生きるための物語
クロと豹馬君の長年の絆、幼馴染ともよべる関係だからこその信頼の物語
どれだけ最低で最悪な人間であろうとも、生きる物語。
自己肯定感を、生きるための考え方を変えるための物語。
どれもが正しくて、どれもがぴったり合うような合わないような
というのが正直な感想です。
『最悪なる災厄人間に捧ぐ』のタイトルから考えると。
読み手である私には、豹馬君やクロの姿は、最低で最悪な人間だとは思いませんでした。むしろ母親の姿等のほうが最低だった。
でも、本編中のクロの姿は、周りではなく、『自分が一番最低な人間なんだ』と決めつける姿がとても辛かった。何度そんなことないよ、と思ったことか。
幽霊豹馬君が、自分は消えるべき存在だと決めつけたシーンしかり。
豹馬君がクロに、クロが豹馬君にお互いに思うように、そんなことないよと、一緒に思ったことか。
けれど、自分のことを『最低だと決めつけてしまったら』それは誰が何と言おうと、自分が一番『最低最悪』な人間で。
きっかけがあったとしても、最終的に誰かが決めつけるわけではなくて。でもだからこそ自分の思い込みは強くてなかなか変わらない。
だから、10章のにゅーの言葉が刺さります。
『君は最低で最悪な人間だね。でも生きていいよ』と。
その事実を受け入れた上で、でもそれでも生きていいよと言ってくれるにゅーの存在がどれほどありがたかったことか。
だから、私にとってのさささぐは、
『最悪なる災厄人間』は自分の心の中での自分の存在で。
『最悪なる災厄人間』としての自分は消えるべきと決めつけるわけでなくて
『最悪なる災厄人間』に生きてほしいと願うための物語だったと改めて思います。
そのまんまな気がするけど、気にしない!
そして何よりもこのお話が、『豹馬君』だけじゃない『クロ』にとっても、『最悪なる災厄人間』に含まれた『二人のお話』として良かったです。
面白かったです。クロ可愛かったです。
ありがとうございました。