本作の一番挙げられる特徴として視覚的、精神的にくるグロ要素。しかし、一番楽しめたのはむしろその後の設定が回収されたあと、最後に問われる「あなたは誰で、そしてわたしは誰なのか」そして最後の結末がなによりも楽しめた。これはハッピーエンドだったのだろうか。声優の迫真の演技も楽しめる逸品です。Vitaの追加シナリオもそもそも「呪いとはなんなのか」と補完できる内容でした。追加シナリオが一番個人的にきつかったです。ひぐらしが楽しめる人なら、同じように楽しめると思います。あなたはこの作品の結末を「ハッピーエンド」だと思いますか?
ネタバレ全開です。
この物語、ハッピーエンドだったのでしょうか。
みなさんはどう思いますか。
白昼夢、霊障によってみんなとずっと一緒にいられる涼と雛形。
涼がいなくなった最後、部活を存続させるかどうかの議題が上がります。
莉里杏と鼎は部活から抜ける、休止すると言いました。
これ以上部活に在籍すると、いつまでも涼の悲しみに引きずられるから。
涼だったら、自分のことで悲しみを引きずるより、笑顔でいてほしいと願うからと。
椿子と十重は部活を存続させることを願います。
奇跡を待ち続ける。1000年の奇跡を待ったのだから、涼の帰る場所を待ち続けると。
そんな椿子と十重のことを莉里杏は、強い人間だと言いました。
わたしにはそんな風にはなれないと。
物語の結論は、十重の溜め込んだ1000年分の奇跡が叶いました。
それは、雛形が溜め込んだ煤をみんなに分け与えることで、あえて霊障にあいやすくなり、
雛形と涼の姿を霊障として見ることができるようになる。
白昼夢をずっと見ていることで一緒にいられるようになる。
これこそが、もう一つの別の世界、涼が、睦と鈴女に幸せな結末になって欲しいと願ったあとの二人による
奇跡の恩返し。笑顔でいられること。
これをハッピーエンドだと思いますか?
それともいつまでも続く、呪い(祝い)だと思いますか?
きっとヒロイン達はこの白昼夢によってずっと涼に囚われることになり、
新しい生活に踏み出すことはできないでしょう。
それどころか、この霊障は他の人に認知されることができず、彼女たちだけの世界になるでしょう。
今までの霊障と同じように。
追加シナリオの雛形のケースがありました。
自分以外誰にも認知されない霊障は、不気味で迫害の対象となりました。
彼女たちの世界で完結されており、彼女たちの中で幸せなのならたぶんこれはハッピーエンドなのでしょう。
永遠のハーレム、永遠のハッピーエンドの世界がそこにある。
改めて問います。あなたはこれをハッピーエンドだと思いますか?
そんなメリーバッドエンドを突きつけた今作品は、私のにとって記憶に残る作品となりました。
呪いによって自分の弱さに気づかせてくれたあなたに感謝を。
呪いによってあなたがトラウマで苦しめられていることに気づかせたことに感謝を。
呪いによって、あなたに出会えたことに感謝を。
破邪顕正。・・・・・・邪悪を打ち破りて、正しきを示す。
ちなみに私が一番大好きなシーンは、涼によって問いかけられる
あなたは誰なのか(十重なのか、鈴女なのか)というシーンです。
1000年遅い恋の問いかけ。大好きです。