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merunoniaさんのシンソウノイズ ~受信探偵の事件簿~の長文感想

ユーザー
merunonia
ゲーム
シンソウノイズ ~受信探偵の事件簿~
ブランド
Azurite
得点
81
参照数
525

一言コメント

ミステリーADV のようで 本質は、心の声が聞こえる少年を中心とした中で、 人間の本質でもある、『羨望と嫉妬』、『愛憎』の表裏一体の心の脆さを描きながら、それでも前に向かおうとする、青春物語だと私は思います。ミステリー物として期待してはいけません。 むしろ人間の心の脆さ、矛盾さ、儚さ、それでも前に進もうとするお話が好きな方に読んで欲しいです。切ないけれど綺麗で、むしろ後半の方が好みだったりするくらい好きです。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

不器用でどうしようもなくて
格好悪くて、でも人間のこうどうしようもなさを受け入れながらも
一つの答えを出そうとする作品だったと思います。

主人公が名探偵っていうポジションだけど噛み噛みだったりかっこよくない感じなんですが……。
この作品自体が、学生相応の姿を描いて、同時に学園生らしい青春と心の脆さだったりを描きたいと思えば そういう人物像になるよなぁと思います。
完璧人間だったら後半描けないと思いますし、むしろそうした中で描かれる人間関係をも含めた心の機微を楽しむ作品だと思いました。

だから作中ではもやもやしたり、ちょっと嫌だなと思ってしまったり、どうしようもなさにどうしてこう不器用なんだろうと思ってしまうシーンもいくつかあります。
でも同時にそうした、表裏一体さを描きながらも、登場人物彼ら自身が彼らごとに答えを見つけようとする物語は、私にとって面白いものでありました。

モモは主人公のかっこよさに憧れ。自分が考えて話をしてこなかったことに悩み。
主人公はモモの人間の本質を見抜く姿に羨望し、そしてその感情は嫉妬へとつながります。
夏希やさくらは、他人の幸せを妬んでしまう感情を抱きながらも、同時に仲間を想う気持ちを持ちます。
彼ら以外にも、それぞれの登場人物に、人間がどうしても抱いてしまう負の感情があったりしました。
それらが心の声を通じて聞こえてくるものは、自分にも該当することがあったりして、少しトゲになって刺さったりします。

でも、こうした、正の感情、負の感情どちらも抱いてしまうのが人間であり、少しのきっかけで行動してしまうのが人間であり、それでもやり直せる、前を向くことができるのが、このシンソウノイズのTRUEの終わり方としてとても大好きです。
それらを踏まえてもなお、みんなのことが好きになる、あの3班のみんなと主人公の関係性が何よりも好きです。

その分、さくらendの深層に潜る終わり方もとても切ないものでありましたが。
さくらの悲痛の想いを知るだけに、このendも切なくて綺麗で、特別な想いがあります。

でも社浦は許さない。

プレイできて面白かったです。
今の流行りとは逆行してそうなんですけど、久しぶりにこういう感じのプレイできた気がします。
こう人間の心の在り方 簡単なことで食い違ったりするような脆さと儚さとそれでもこうありたいと思う願いと 
こういうのってほんと綺麗ですよね。
良かったです。

それとは別にね!!!!!!!!!!
声を大にして言いたいのはね!!!!!!!!!!!!!!
エロシーンがくっそエロイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
何がエロイかって、心の声が聞こえること!!!!!心の声が聞こえること何ですよ!!!!!(二回目)

心の声が聞こえることで、エロシーンで女の子視点が加わることでよりえろさが増すんですよ!!!!!!!
どうしても主人公視点だけだと、エロシーンでヒロインが喋ることからしか情報が入らなくて、
しかもセリフがどうしても実況ぽさになりがちなんですよ
そこで、心の声が聞こえる系だと、女の子の視点から感想が聞こえることで、より煽情さ(?)というか、えろさが加わるんですよ!!!
女性視点大好きな私はもう歓喜ですよ
例えば、ヒロインはエロシーンでえっちな声が出ちゃいそうなところで我慢しているところに、心の声では感じまくちゃってたり、主人公には恥ずかしくて何も要求できないのに、心の声で恥ずかしがりながら要求しちゃったりとかね!!!!!!もう!!!!!えっち!!!!!!!

エロシーンだけじゃないんだけど、デートシーンとかでもね、夏希ルートとかね、心の声が聞こえてきてどんだけ可愛かったか。
逆に大鳥ルートは、心の声がきこえるからこそ、表の顔と裏の心の声がうまく作用してて良かったですね。
あぁやっぱり心の声=女性視点が加わるのはよきものだと 思った次第でした。

以上です。
ありがとうございました。