主人公の変化を丁寧に描いた作品。忠臣蔵のような博識がうかがえる雑学テキスト、キャラの掛け合いは健在で面白かった。話の構成もスッキリして、伏線回収もきれいになされているところも高評価。正直イメージしていた作品とは違ったけれど、楽しい時間でした。ボーイミーツガールとして良かったです。忠臣蔵のテキストが好きな方は買われても良いかと。
前半はネタバレなしで
後半はネタバレ込みで感想を書いていきます。
ブランド「インレ」より、リメイクされた今作品。
『僕はキミだけを見つめる』
私自身はリメイク作品をプレイしたことがなく、体験版もしてなかったので
最初からプレイしました。
話の構成から言うと、序章~10章+アフターストーリーで
プレイ時間は15時間ほど。
ストーリーは、公式サイトの説明を要約すると
、
過去に恐れられていたグループのリーダーだった主人公。
あるとき、親友の二人が殺害され、権威も地に落ちる。
そんな中で、ある歌姫のボディーガードを依頼される。
主人公は、復讐のため、利用する目的でボディーガードを承諾する。
というお話。
これだけ聞くと、主人公による復讐劇、
殺伐とした、血みどろなお話かと思ってました。
(公式サイトでも、イチャラブゲーじゃないので注意!ってありますしね・・)
ただ、実際プレイしてみると
どちらかというよりも「主人公と風早永遠のボーイ・ミーツ・ガール」。
主人公が、彼女、そして周りの仲間に出会うことでどのように変化していくのか
といった主人公の心の変化を丁寧に描いた作品。
だから、忠臣蔵のようなこれからどうなるのかというワクワク感だったり、
熱い展開のバトル展開に期待すると、ちょっと違う作品かと。
ただ、短い=つまらない、というわけではなく。
こよーて氏のテキストは健在で面白かった。
例えば、途中で垣間見える雑学的なテキスト。
忠臣蔵でも感じられたこちらも、本作では健在で、思わずこちらも「へー!」
と思える雑学。
こういった博識ぶりは健在、読んでるこっちも、興味が惹かれた。
しかも、説教ぶったりするのではなく、話の流れに自然に組み込むから
違和感も感じない。こういうところはこのライターは本当に上手。
また、登場人物の掛け合いも楽しく、面白くプレイできた。
忠臣蔵であったように、表情もコロコロと変わり、立ち絵もコロコロと動いたり。
立ち絵の差分はかなりあったのではないか。
何よりも永遠ちゃんが本当に可愛くて・・・。
照れたり、ヤキモチやいたり、本当にニヤニヤ終始してたと思う。
ただ、ショッキングなシーンが時々にはありますが、
その後は平和なパートが続き描かれていくので
復讐だったりはあるけれど、殺伐とした雰囲気が主にはならなくて。
シリアスもありますが、どちらかというと心の葛藤だったりがメイン。
忠臣蔵で面白いと感じたバトルシーンも3回ほどで少なめです。
しかしながら少ないバトルシーンではありますが、その分よく動く演出はさすがです。
本当に連続した動きで躱し躱されで動くのは、見ているこっちも面白かった。
主人公に関してはバトルは強いですが。
主人公の成長、変化を描く分、全般主人公かっこいい&TUEEEではなく、
迷ったり、中途半端なことをしたりと、ヤキモキするというのも正直あった。
ただ、最後には納得する結論をだしてくれるので、不快感で終わることはなかった。
この作品の面白さは、仲間と関わる中での主人公の心の変化の描写、ヒロインとの心地よい掛け合い
そして演出や、言葉の真意がわかる伏線の回収だったりだと思う。
また、謎を解明していくという点は、わかりやすい展開
(というより明らかにばれるような描かれ方)
なので、どうなるだろう、というワクワク感は薄めだであると思う。
ただ、前半が平和パートな分、
特に最後の終章からアフターストーリーからの展開の瞬間風速はすごかった。
最後がよければ全て良しという類の作品であったと思う。
それぞれのキャラの配役をしっかり把握して描かれているので、
キャラがしっかり生きているのも評価できる。
一本道だったからこそ、描けたシナリオであったと思う。
永遠の存在は主人公にとってどのような影響を与えたのか
登場キャラにとって永遠とはなんだったのか、
そして永久にとって仲間とはなんだったのか。
確かに、その分短いかもしれない。
ただ、その短いからこそ明確でわかりやすい描かれ方は良かった。
だらだらシリアスをやられたり、ひたすらつまらない描写を描かれるくらいなら
これだけしっかり書き上げられる方が評価できる
短い=つまらない、長い=傑作ではない と改めて感じる。
以上より忠臣蔵のこよーて氏のテキストが好きだった方は、ハマると思う。
博識なライターのテキストは面白く、テンポよく飽きずに読み進めれる良作。
「向日葵の花言葉を知っていますか?」
「佐原拓実は.....私、風早永遠の盾になること......]
「オレは風早永遠の盾になることを誓う」
「花って苦しみから咲く花もあるんですね。
悲しみから咲く花もあるんですね。
でも、逆境から咲く花は逞しく、そして美しいと思います。」
「私の好きな花は.....向日葵です!」
これらの言葉の真意、タイトルの意味を知った時の感動はなかなかのもの。
11月のエロゲはこの一本しかまだプレイできていませんが、
オススメできる作品です。
ありがとうございました。
以下はネタバレ込みでプレイメモ・気になった点でも。
ざっくばらんに書いていきます。
上記でも言ったように、やはり評価したいのは、主人公の心の変化をわかりやすく描いたことです。
最初は、過去に仲間として信頼していたカズとヒサが殺されたことに落ちぶれて。
それでも復讐心もあり、この街にとどまり続ける。
そんな中依頼が来て、主人公は復讐のために彼女のボディーガードになった。
しかし、個性的すぎる仲間とふれあい、いつのまにか楽しい時間を過ごすことで
仲間意識が芽生えてきていた。
主人公自身は友は過去の二人だけとして、仲間意識を否定する。
そう思いながらも、取材の「永遠を利用しろ」という言葉に許せず激昂する。
自分自身が永遠をまさに利用しようとしているのに。
こうした葛藤が上手に描けていたなという印象。
6章7章は平和なパートだったが、だからこそ主人公がどんどん変わっていく様子が対比的に描かれていて
面白かった。
8章からは、永遠の歌を聴き、そして過去を知り。
七里の彼女の声を伝えることが使命だと、知り。
みんなにとっての永遠の存在を知り。
アーマンとの戦闘と脅迫状のあとで、ライブを中断するかしないかの葛藤シーンは印象的。
今まで、仲間のことなど何も思っていなかった主人公が、永遠を危険にさらしたくないと。
命をかけることの方が、ライブより大事だと主張するシーンは、本当に変わったなと感じた。
最初は言葉だけだった『永遠の盾となる』という言葉が真意を持った瞬間だった。
「仲間を失う痛みを知らないからだ、二度とあの苦しみを味わうのはごめんだ」
みんなのことを仲間だと、自然と言葉にしていて、印象深かった。
永遠もみんなに迷惑はかけられないと反対になるが、郁乃さんの柿の木の話で説得されて。
正直アルとの会話もあって説得されるのは主人公チョロイと思わないでもなry
9章のライブイベントはとても良かったです。
ホワイトアルバム2を思い出したり。
あぁいう音楽と一緒にされる演出ってけっこう好き。
その後に明かされる主人公の過去。
OPのあの顔は主人公じゃなくて、主人公に負けた食事での敗者の顔だったんですね。予想違い。
幼女時代の永遠さんが可愛すぎて・・・(やらしかぁ!)
永遠さんとのデートだったりも可愛くて可愛くて。
ほんと永遠さん可愛い。恥ずかしがったり、てへぺろだったり。
公園でのライブは、ちょっと命狙われているのに迂闊では・・と思わないでもない。
おもいでぇと!
終章では美夜さんの過去編だったり。
こんなん美夜さん惚れてしまうのもしょうがない。主人公イケメン。
そしてナツVS拓実 のラストバトル。
戦闘シーンはさすが。本当によく動く。面白かった。
ただその後のナツのエロシーンはいらなかった・・かな。(中途半端だったし)
エンドロールは「そこで終わるのか・・・」と思ったり。
アフターストーリーからが本番でしたね・・。
手紙を破り捨てるCGは好きです。
また永遠編での、声優さんの演技はさすが、すごかった。
声が出せないという難しいキャラながら、喜怒哀楽を上手に表していて。
プロで素晴らしかった。
話の内容も、美夜の死からの決別。
盾となると誓った主人公が、彼女を愛する男になると誓うお話。
また永遠自身が仲間に感謝を込めて歌を送る。
最後の野外ライブからのシーンは本当に鳥肌だった。
観客はひまわり畑になり。主人公は彼女を見つめていくことが生きる証と言い。
そして彼女は、好きな花は、向日葵です。と答え。
今まで何回も行ってきた、自己紹介に好きな花を添える伏線を本当にうまく使っていて。
こよーて氏は、言葉に改めて別の意味だったり真意を載せるのが上手だと感じた。
主人公自身も
復讐→盾→きみだけを見つめる。
と上手に描いていて。わかりやすく、テンポよく描けていて面白かった。
短い作品かもしれませんが、本当に良い時間でした。
好きな作品です。
ありがとうございました。
以下気になった点
・6章の郁乃の電車シーン。あの痴漢シーンは必要だったのだろうか・・・。
それと7章のシャンプーハットは意味をなしてなくて、ちょっと笑った。
・公園でのライブだったり、ボディーガードで命の危険と言いながら、
緊迫感がないのはちょっと違和感あったかも・・。
その分細かいこと考えずニヤニヤしたという意味では面白かったけれど。
ご都合主義感もあったのは、そういうところもあったのかなぁと思いつつ。
まぁ本当にちょっとしたところではありますが、こよーてさんのテキストは好きです。
次回作にもぜひ期待したいです。