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merunoniaさんのピュア×コネクトの長文感想

ユーザー
merunonia
ゲーム
ピュア×コネクト
ブランド
SMEE
得点
89
参照数
1069

一言コメント

何よりも素晴らしかったのは用意された二種類の告白シーンが、とても丁寧に描写されていて素敵でした。SMEEというブランドの素晴らしさを味わえたエロゲでした。やっぱりエロゲって萌えゲー楽しい。そう感じさせてくれました。隣で支えようと願う主人公がかっこよかったです。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

①良かった点
②気になった点
③総評


①良かった点

(1)随所で見られた丁寧なイベント(告白、晴れ着姿、両親への紹介、デート、ヒロインの嫉妬姿等)
ピュア×コネクト、ヒロインが5人いるわけですが、どのヒロインにも必ずイベントが丁寧に用意されています。
・主人公からヒロインへの告白
 または、ヒロインから主人公への告白(詳細は後述)
・初詣のために晴れ着姿のヒロインを見た主人公の感想(各ヒロインの晴れ着姿が本当に可愛い)
・デートシーンの、いつもと違った服や、遊園地といったデート。
・全ヒロインの主人公への嫉妬の姿

これらが、ヒロインの良さに合わせてとても丁寧に描いているんですよね。

そして、何よりも素晴らしいのが告白シーン。
今作のピュアコネは
○主人公からヒロインへの告白(公園)
○ヒロインから主人公への告白
とふたつが用意されているわけですが。
どちらの告白も描かれ方が本当に、噛み締めるように丁寧でした。

前者では公園での告白。雪降る公園で、ヒロインの顔がアップされ、瞳のハイライトがより強調されます。

主人公がヒロインを呼び出す。(緊張)⇒雪の降る公園で主人公がヒロインに告白をする。なぜあなたが好きなのか、を一つ一つ丁寧に告白。⇒ヒロインが一つ一つに対して丁寧に頷く等反応。⇒ヒロインが告白に対する答え⇒主人公の反応。

事細かに上げましたが、これらの順序が本当に丁寧に丁寧に描いている。
なぜ主人公がそのヒロインじゃなきゃダメなのか。なぜあなたじゃなきゃダメなのか。
それに対して、ヒロインはゆっくり頷く。
そしてヒロインはそんな主人公のその姿が好きなのだと一つ一つを答える。

だから、主人公の一つ一つのまっすぐな想いと真摯に答えようとするヒロインの姿に、応援したくなる。
良かったね……。良かったね……。と見守るようにとても染み込んでくる。

特にもえみんと志帆さんの告白がほんとに素晴らしいのです。


「でも、でもさ、ほんとうに私なんかでいいわけ?」(もえみん)
「俺はもえみんがいい」(主人公)
「・・・・・・・っ!!」(もえみん)

もえみんは、自分が恋をするとは、まわりの可愛い女の子とは違うと決めつけていました。
志帆さんは、仕事一途で周りに若い子もいるし、自分にとって恋愛をするとは思っていませんでした。

その二人が自分でいいの?となるヒロインに、主人公が「あなたじゃなきゃダメなんだ!」と言い切る姿、どうしてあなたじゃなきゃダメなのかと、答える姿が本当にかっこよかった。


後者のヒロインから主人公への告白
これは逆にヒロインの抑えられない気持ちの吐露だったり、ヒロインらしさ全開だったり様々でした。
もえみんの場合は、「私立候補していいかな……」って姿が可愛くて。
空さんの場合は、「私にしときなよ、返事は? へ ん じ」っていう幼馴染みだからこその告白で。
志帆さんに限っては、「あした告白するから」とまさかの宣言で笑いました。

主人公⇒ヒロイン、ヒロイン⇒主人公の告白とどちらも堪能できるシステムは素晴らしかったと思います。
どちらも、それぞれの良さがあって。見ていて楽しくて面白くて、ほっこりした。


また、この告白終えた後の次の日の主人公の反応が良いんですよね。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」と悶えたり。
会った後にどうやって話そうと緊張したり。

告白による一区切りの変化の描き方が上手。こちらも、告白したことによる重きと変化がとても印象的に残って。
告白の描き方は、さすが萌えゲーブランド真骨頂だと思いました。

(2)主人公のかっこよさ
告白シーンでも触れたんですが、何よりも主人公がかっこいい。
普段はsmee独特のギャグノリでふざけているのだけど、決めるときは決める姿。
また、大事な場面でふざけようとする姿も、ヒロインが主人公に甘えやすくする配慮だったり。
バイトシーンでメガネくんにちょっかいをかけたりするシーンなども、顕著ですよね。
この性格だからこそ、ギャグノリを損なわず、またギャップ効果で主人公のかっこよさが浮き出て。
ごちゃごちゃ言いますが、何度も言いますが、とにかく主人公がかっこいいので見ていてイライラしない。
理想的な主人公出会ったと思います。

(3)ギャグのノリ
下ネタだったり、意味不明()なノリだったり、ちょうど良い塩梅で繰り広げられるから読んでいて飽きない。
それは個別√入ったあとも健在だったのがよかったです。
共通がバカゲーで、個別入ったらおとなしめになるエロゲとか多いのですが、今作に限っては、イチャイチャする所、感動する所、笑う所が抑えられていて。さすがsmee面白かった。

(4)エロシーン
乳首の差分好きでした。

(5)好感度による反応の変化
最初はメールから始まるのですが、次第に声が聞きたくなって電話をする、一緒に帰るようになる。
これらの変化が、どんどん距離が近くなる様子を描いていて良かったですね。
今作の思う弱い点の一つで、告白に至るのが少し唐突に感じて、なぜ主人公(ヒロイン)がヒロイン(主人公)を好きになったのかの過程が弱いところがありましたが、こういった好感度が徐々に上がって行くところはとても良かったのではと思います。



②気になっていた点

(1)実妹の扱い
香里奈さんの扱いがあまりにも不憫だったかなあと。
主人公が実妹嫌い、実妹なんてありえないという立ち位置で、香里奈さん自身も「クソ兄貴!」という姿なのであれですが、もう少し扱いを良くしていて欲しかったかなぁと。
ちょっと不憫で、笑えなかったシーンがあったかなと感じます。

とまぁ気になっていた点ってほとんどなくてこれぐらいなんですが。些細な点と言われればそうかもしれません。



③総評(各キャラの感想)
いやぁ久しぶりに萌えゲーをしたがめっちゃ楽しかった。

○もえみん

もえみんは、共通からのギャップが本当に可愛くて。
共通時点は「こんな私が恋愛するはずがない」と自信がない姿だから、主人公のまっすぐな想いに赤面する姿が、もおおおおおおおおおおおおおおおおお、めっちゃ可愛かったぁ!

さらにはもえみんルートの良さの一つで、テーマが「家族」っていうところなんですよね。
もえみんが自分に自信がないのは、どんな時でも「家族を優先してしまう」からと作中にあります。
遊園地デートでも家族のことを優先してしまう、こんな私が恋愛なんてするわけがない。女として見られるわけがない。

この彼女の姿に、主人公は「家族を優先するもえみん」だからこそ大好きなのだと。
自分のことを大切にして欲しいと。かっこよすぎた。

更には姫良梨と健太の存在も面白くて素敵でしたよね。
「ちくび出しなさい」「いーやーだーよおおおお」にはいっつも笑いました……ww
でも二人はお姉ちゃんのことが大好きで。もえみんの二人のことが大好きで。
家族としての団欒がみんな幸せに描かれていて。

最後のシーンは本当に「よかったね……。幸せになって良かったね……」と少し涙ぐみました。もらい泣きでした。
恋愛と家族は両立できるのだと、どちらも幸せになれるのだと、とても好きなお話です。
一番乙女なルートでした。


○ 彩里沙
子犬のような彼女でしたね。もりみそさんの本領発揮というか。
共通ではcoolな彼女のデレた時のギャップがなんと可愛いことか。
また主人公へ依存するところが可愛くもあり。

話の結末も、母親には私の「ライバル」としてかっこよくしてて欲しかったから
そして母親からは彩里沙にどうしたらいいのかわからない、
という姿からの終わり方は綺麗で良かったのではと思います。

こう、彩里沙さんをからかったりするときの反応が最高でしたね。
もりみそさんこういうキャラほんとすばら。

○空
幼馴染の彼女。
彼女の大好きなシーンは、翔子との会話

「空ね、ずっと昔から……あんたが誰かと付き合って幸せそうにしているところを……
その……ずっと、眺めていたかったんだってさ。
簡単な話よ。あの子にとって、やっぱり昔からあんたは……特別な存在だったのよ」

主人公のことが大切だったから、あえて一歩引く彼女の姿。
いつもはおちゃらけてて、自己中でわがままだったりするのに、心の奥底では「本当に私で隼人には良かったのかな」と不安になったり肝心なところで臆病になる彼女が可愛くて。


幼馴染の空さんは、告白も上記のとおり良かったですが、幼馴染でしか味わえない距離感が素敵でしたね。
各ルートに入ったのに変化があまりなかったり、周りには冗談と信じてもらえなかったり。
でもそんな中で小さな変化があったり。 そんなルートでした。
少々自己中感が強いので、同時に人を選びそうかなとも思いました。

○あゆみちゃん
鍋将軍あゆみちゃんには大爆笑でした。
もといエロっエロなルートでしたね。
他のヒロインがギャップなりが強かった(空除く)として、あゆみちゃんは一番まっすぐなルートであったと思います。それゆえに少し他ヒロインに比べると方向性が違ったように感じました。
ただ、仕事姿のエプロン姿がもうエロすぎですよね。トングでメロンパンをつかみたい()

また、「んもーお兄さーん!!」「お兄さんエッチです……」だったり拗ねたりする姿がめっちゃ可愛い。
だから主人公があゆみちゃんをからかいたくなる気持ちがシンクロしてて、見ていてニヤニヤして楽しかった。

あゆみちゃんみたいな子に足コキしてほしかった



○志帆さん
お金持ちの社会人、ヒモになりたい。
それはそれとして
彼女は共通で、笑顔でマジギレしたり、年齢ネタを自虐していくのが面白かったなぁ……。
28って全然BBAじゃないっすよ!
また金づかいの粗さがまた面白くて。通販、一五万服一気買い、惣菜買い、マンション購入の話とか面白くてめっちゃ笑いました。

それとは別に。
仕事に一途な社会人。それは自分に厳しく他人に甘い彼女のかっこよさ。
そんなかっこいい彼女だからこそ、主人公にだけ見せる甘えた姿があぁ可愛かった……。可愛かった。

「私弱くなっちゃった……」(志帆)
「違うよ、それだけ余裕ができたってことだよ」(主人公)

弱い姿を見せてしまう志帆さんが、主人公に「こんな私でごめんね」と素直になる姿に何度悶えたことか。
普段かっこいい年上のヒロインが、主人公にだけ弱さを見せるのって良いですよね。
そんな志帆さんにどんどん飼いならされていく主人公もある意味新鮮で面白かったですしね。
Hに奥手だったり恥ずかしがる志帆さんも可愛すぎて、なんだこの年上ヒロイン最高か。




また、このルートでは主人公のかっこよさが素敵でした。
初詣後に主人公の大学に出向いたシーン

(主人公)
「この間みたいに、もし急に不安になったり、悲しいことがあれば。
 遠慮なくすぐ側にいる俺を、頼ってくれると嬉しい
 だって俺、普段仕事に一生懸命なあなたも、今日みたいに一緒にはしゃいでくれるあなたも。
 俺、やっぱり心の底から……。
 志帆に夢中だから」

志帆ルート最後のシーン

「俺は、いつも仕事に夢中な志保さんが好きなんだ 。
 だからどんなに店の方を優先したって、俺は志帆さんのこと嫌いになんてならないよ。

「あなたは、自分のやりたいことをこれからも好きだけやればいい。
 ただし、人のことなんか気にしないで、もう少し自分のために頑張る人になってもらえたら……。
 俺もオーナーも、そしてこの店のみんなも、きっと安心して、支配人の頑張りについていけると思うから」

仕事に一途な志帆さんだから、仕事・甘える姿どちらも大好きだからって受け止める主人公
さらにだからこそ自分を大事にしてほしいと、自分に厳しく他人に甘い志帆さんへのこの言葉が本当に主人公イケメンすぎてさ。
ほんと、志帆さんの隣にいたいって思う主人公の想いが伝わってきてさ。
めちゃくちゃよかった。
ここはもえみん同様素晴らしかった。
大学生×社会人ヒロインってめっちゃいいですよね。


④総評
ピュアコネクトって、ヒロインごとにテーマが設定されてるんですよね。
ここから以下は勝手な解釈です。こじつけです。

空『恋をするのがめんどくさい』
もえみん『恋より家族が大事』
彩里沙『この人だ、と思う相手がいない』
あゆみちゃん『恋なんて、まだ先の話だと思っている』
志帆『仕事が恋人』

それぞれのまだ恋愛をしたことがないヒロインたちが見せる純粋(ピュア)な姿が本当に可愛くて。
そしてそれを受け止め隣でいようと決めた主人公のかっこよさがまっすぐで。この主人公の姿も純粋ですよね。
この二人を繋げた時の恋愛模様が、ピュアコネクトでまさに面白かった点だったのかなと思います。

ヒロインごとの良さ、そのヒロインごとに合った主人公のかっこよさ。
何度笑ってニヤニヤして感動したことか。ほっこりしたことか。
SMEEは、ヒロインごとの特徴づけと、なぜこのヒロインが魅力的なのかをしっかり丁寧に描写するところと、そしてそのヒロインの魅力を主人公が受け止めしっかりと支えていくという書き方が上手で。
だから主人公に読み手もシンクロしていって、見ていて楽しいんだなと。そう感じたエロゲでした。

今までいろんなエロゲをやってきましたが、萌えゲーの中ではトップクラスだと思います。
良作です。
一番好きなヒロインは、もえみんと志帆さんのツートップです。

ありがとうございました。