安楽椅子探偵物。元々が携帯小説だったものを同人ノベルゲームというものであり、1話1話の区切りがよく読みやすいです。内容としても、一見ただの女子中学生の主人公が爽快に謎を解いていく爽快感と、変人(超人)な周りの登場人物達の中で、ひときわ「巴さんもやべえよ……」と頭角を現す面白さがありました。様々なミステリー知識も豊富で、続きがもっと読みたくなる良い導入巻でした。(こんな中学(高校)生がいるかーーー!とツッコミながら読むのはお約束)
「主な部活は推理をするコト。
だって『探偵』は 推理をするモノでしょう?」
聖学少女探偵舎シリーズの1巻目となる今作。
自分自身ミステリー物にあまり触れないこともあって、新鮮で面白かったです。
勿論様々なミステリー物ならではのトリック等の仕掛けも面白かったですし、作者さんがとても知識があられることもあって、様々な分野のお話がとても面白かったです。
特に、個人的には、2話の不完全密室の話だったりが好きでした。
王道のミステリーというのが自分の中で全くないので、全部新鮮でした。
また、一つ一つがちょうどいい長さなのも良いですね。
前編後編と別れて、1時間弱で読める分量なのが、すごい読みやすいです。
また登場人物達がまた良い味を出してるんですよね……。
リアクションが大げさで、でも元気を与えてくれる赫田部長。
メカニック、科学捜査、分析に天才的なカレン。
姉妹がそろえば、精密測量、超記憶と超絶特技を持つ、宝堂双子。
学業優秀に、美人、性格温厚で高身長(コンプレックス)に祖母は天才的な探偵社初代部長だった香織先輩。
何でも暴力で解決する、超行動派、倫理観&正義感ぶっ壊れ黒髪ストレート先輩、知弥子先輩。
これだけ濃いメンツの中で、真面目大人しい、小心者と思わせて、キレッキレの抜群推理を披露する、我らが主人公巴さん。(女子中学1年生)
こんだけ濃いメンツに何度「こんな中学生(高校生)いるかーーーーー!」と叫んだことかと思いつつ
登場人物が増えるたびに、関係性が深まっていくのが、もうすっごい楽しかったです。
特にこの中なら、今の所宝堂双子がすごい好きです。
5話の話でもう虜になりました。二人(3人)の真実。
その後の二人の服装等が徐々にお互いに違っていく描写も、もうすっごい好きです。
幸せになって欲しいです。
また巴さん自身もすっごい好きでした。
様々な事件を、少しのヒントで解決に導く『安楽椅子探偵』としての爽快な面白さがまず良かったですよね。
2話の不完全な密室殺人の話で、先輩たちを前に爽快に解いてしまう姿もワクワクしましたし、
6話、知弥子さん初登場回では、高校生な二人が必死に謎を解こうとする中で、巴さんが真実に辿り着いてしまう姿に知弥子さんが興味を示すシーンだったりもすごい爽快でした。
(その後の8話だったりで、知弥子さんが巴さんの安楽椅子探偵の姿よりも先んじて暴力で解決する下りだったりもすごい好きです。ある意味巴さんの真逆、天敵(敵ではないが)のような立ち位置の知弥子さんもすごい好きです)
また巴さん自身が真面目なのもあって『探偵として真実を暴くこと』=善いことなのか
と、戸惑う姿が、ある意味年相応の姿もあってすごい好きでした。
彼女自身のまだ明かされていない過去も関係がありそうですが、
ただ無責任に謎を暴くのではなくて、「自分の行動にどのような責任があるのか」
と悩み、時には自己嫌悪をしてしまう中で、ただそれでも謎を解決しようとする姿が、
とても丁寧に描かれていてすごい好きです。
またまだ1巻目という事もあって、本格的に登場人物達の過去に触れていくのは次巻以降と思いますが楽しみです。また、巴さんがどんどん頭角をメキメキ現していって、活躍していくのを見たいと思います。
以上です。
ありがとうございました。