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merunoniaさんの夏恋ハイプレッシャーの長文感想

ユーザー
merunonia
ゲーム
夏恋ハイプレッシャー
ブランド
スミレ
得点
88
参照数
1081

一言コメント

私はキャラゲーで一番嫌いなことがある。それはルートに入った瞬間に一気に二人だけの世界が構築され、  今までいた男友達やヒロインがいなくなることだ。いきなり二人っきりだけのイチャラブ空間は胸焼けがする。  下手なシリアスなんてクソくらえ。  打って変わって今作では、「賑やかで楽しい学園生活」という  コンセプトの元丁寧に最後まで作られていた。私がキャラゲーに求めていたものがそこにあった。長文感想はネタバレ無しの詳細でよかった点、   人を選びそうな点、総評で書いていきます。後半はネタバレ込みで各ルートの感想です。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想


 スミレより発売された「夏恋ハイプレッシャー」
 OPがAiRIさんという元気系な曲で印象があり、ムービーが好きで覚えてました。
 同時に、元気の出るキャラゲーがやりたいなという気分だったので、欲しくなって買いました。

 結論から言うと、楽しかった。
 公式サイトのコンセプトどおりどんな時も周りの連中とワイワイ青春ど真ん中!で、
 最後まで笑って終えることができました。
 ヒロインの萌えるような要素もしっかり抑えてて、
 個別ルートに入っても下手にシリアスで引っ張ることもなく簡潔に解決して
 下手に正義を振るうようなそういった方向でもなくて、
 まさにキャラゲーで欲しい要素をしっかりこなしてくれた作品でありました。


 以下は、このように楽しめた理由を、良かった点、人を選ぶだろうと思われる点を含め
 ネタバレなしで要素ごとにまとめていきます。
 

 (1)青春高気圧、接近中!のコンセプトのもと丁寧に作られたキャラゲー

   公式サイトの引用より

     ”ヒロインたちの可愛さやイチャイチャはもちろん、
      それにプラスしてみんな仲のいい青春真っ只中の空気感を!
     
      今作ではそれをコンセプトに企画・製作して、賑やかで楽しい学園生活の空気感を大切に演出!

      可愛いヒロインや友達とバカをやって笑う空気。
      毎日が賑やかで楽しい空気。
      その中でいろんな経験をして大人になっていく瞬間。

      そんな大人になるための青春時代が、夏恋ハイプレッシャー!”
      (http://s-mi-le.com/natsupre/concept.html)

  

   実際にプレイしていて、まさにその通りでありました。
   共通ルートでは、個性的なキャラのヒメ、パグと、逆キャラ二人を中心に笑えるシナリオと。
   個別ルートに入った後は、そのヒロインごとのイチャラブも楽しみつつ、
   最後には二人っきりにならず他のキャラにやじを飛ばされたり介入されたり、
   それでも祝福してくれたりといった感じで。

   みんながいてこそのお話に仕上がっていました。

  
   
   今作の青春ラブコメとしての特徴は、ギャグキャラの「ヒメ」・「パグ」という二人が
   基本ギャグキャラとなって、その状況にヒロインや主人公が突っ込む形式でした。
   
   この「ヒメ」というキャラは金田まひるさんが演じているのですが、
   どのようなキャラかというと、まさに『つよきす』の蟹沢きぬが当てはまる感じです。
   (つよきすがわからない方大変申し訳ありません)

   クソガキ的なキャラなのですが、どこか憎めない感じで。
   行き過ぎた言葉には、妹(ヒロイン)のマリアや冴子先生に制裁を加えられる流れで。

   またパグは自虐的で少々あれなのですが、主人公となかなかいいコンビをしていたのではないでしょうか。
   その他にも、学園長や、主人公自身の特徴である言い過ぎの一言に突っ込まれる形、
   主人公と羨ましがる男子クラスメートの童貞ノリなど
   安定してました。
   男子クラスメートのノリは、同ライターのストロベリーノーツを思い出します。    

   こうした循環が本当に面白くて、安心して見ていることができました。
     
   
   ただし、こうした空間が出来上がっている分、二人っきりの空間は長続きせず
   二人っきりのイチャラブ甘甘空間という方面は少なめであったと思います。

   そういう意味は、最後までラブコメを楽しみたい人向けで
   SMEE作品といったとにかくヒロインと甘甘になりたい!という方面は弱めだと感じます。
   (イチャラブ要素も一応水準はあったとは思います。)



  (2)主人公マンセーではない、どこか憎めない、ギャグ主人公系。

   
    個人的に良かった点として、主人公が下手に持ち上げられてない点でした。
    今作の主人公の立ち位置は、ツッコミ役と同時に、一言多すぎて突っ込まれるタイプの主人公でした。
    (良い例えが思いつかないのですが、バカテスのような感じというか、他作品の例え申し訳ありません)

    下手に主人公かっこいい!というふうにはならずに、みんなにツッコミを喰らいつつも
    しょうがないなぁという感じで周りに仲間が集まる人徳があるタイプでしょうか。

    ギャグもこうした主人公だったため笑ってプレイすることができました。
    下手な違和感もなかったと思います。


    ただ、こうした主人公でちょっと惜しかったなと思う点。
    それは主人公がヒロインに惚れる要素がよくわからなかったなーという点です。
    共通最後に、一応主人公のかっこいい姿が書かれるのですが、それだけで弱かったかなと。
    今まで、普通に接していた主人公に、いきなりイチャラブになる感じがちょっとだけ違和感。
    

    キャラゲーなんだし、下手にシリアスされるよりは良い!っていうのはその通りなんですが、
    もう少し主人公のかっこいいところも見たかったかなと思います。(贅沢かもしれませんが)
    そうすれば、他ヒロインがどうして惚れたかに納得が行き、かつ、
    他ヒロインがあっさり諦める(個別√に入って友達というポジションでいる)ことに
    すごい自然に感じられる気がします。(考え過ぎかもしれませんが)
   
    ですので、かっこいい主人公がみたい!という人には物足りないかもしれません。


   (3)シリアスなんてない、まさに簡潔なキャラゲー

    個人的に嬉しかったもう一つの点がここ。
    正直キャラゲーで下手にぐちゃぐちゃしたシリアスとかやられても、個人的に困ります。
    こうした点で今回の夏色ハイプレッシャーはシリアスを簡潔にしてくれたのが嬉しかったかなと思います。
    たしかに、個別√に入ると、他のヒロインの主人公への思いがあっさり解決するところの矛盾は
    感じないこともないですが……。キャラゲーなのでこれでいいと思います。


    (4)その他
       
     あとはヒロインとのピロートークが完備してあった点、
     俺の彼女はかわいいいい!!!と主人公とシンクロできた点など、
     こういったイチャラブ面もよくできていたのではないでしょうか。

     また普通ならFDに回しそうなアフターストーリー、サブキャラとのHも用意されていたのが嬉しいです。

    

    ②以下は人を選びそうな点&惜しかった点

   (1)パグとヒメという二人に逆キャラを絞った点と偏りがあるギャグ。

     すでに上記でも述べましたが、ギャグキャラを二人に絞ったのが特徴的。
     そしてヒロインは主人公へのツッコミや萌える立ち位置として分けている感じでしょうか。
     これは逆に言えば、ギャグキャラにヒロインが食われているとも表現できるのですが。
     ただ、主人公にツッコミを入れるなどで介入できてるので影薄いとかはおもいませんでした。

     ただ二人に絞っているぶんこの『ヒメ』と『パグ』というキャラが合わないと、ほとんどのギャグが合わないのできつい。
     ここは体験版で、しっかりと確認することをおすすめします。

     個人的には面白くありましたが、ヒメのだらしなさ、パグの自虐&糞ネタ、学園長のハゲネタと
     ギャグの内容はけっこう偏りがちです。
     ちょっとハゲネタなどはくどく感じました。

     
   (2)温泉施設が舞台でありながらヒロインの温泉入浴シーンがない
 
     なぜ!なぜないのか!なぜないのか!
     温泉という絶好シチュエーション!
     アニメだったら温泉回というものが高確率で作られる中、
     ヒロインたちとキャッキャウフフ、お互いの胸の大きさを比べながら羨ましがったり、
     ときには揉んじゃったり、主人公抜きで主人公の印象を語ったり!
     そういうイベント!みんな大好きなイベントのはず!
     
     ヒメ&マリアにはかろうじて二人だけのものが用意されてはおりましたが、
     全員分のものが欲しかった……。

     今思えば、こうした女性ヒロインだけ同士のふれあいというものが少なかったなァ……。
     必ず主人公を絡めるというコンセプトだったため、主人公抜きになるこういったシチュエーションが
     作りにくかったのかもしれませんが。
     それこそ、よくわからないけど一人孤立してしまって、という状況でもいいので欲しかった。
  
     Hシーンなどでは着物Hなど温泉がうまく活用できていただけに、共通パートでもうまく生かして欲しかったです。


   (3)学園ものでありますが、学園要素は少なめでどちらかというと、働く施設でのお話多め。

      今作の特徴の一つでありますが、学園ではありますが、同時に職業学校でもありました。
      ですので主人公は温泉施設で働くのですが、こうした働くことでのギャグだったりが多めかと。
      テーマのもう一つである大人になる瞬間というのもあったのかもしれませんが。
      
      学園要素も今思えば、テストといった要素ぐらいだけだったなと。
      ですので、学園生活のイベントを期待している方は注意だと思います。

  
   (4)大人になる瞬間というコンセプトがあまり感じられなかった

      まぁ個人的にイチャラブ、笑えたので別になくても良かったのが正直な感想ですが。
      今回は主人公が大人になる瞬間というもので、一種の成長もテーマになってます。
      ただ、こうした成長が感じられるような話じゃなかったなーというのが正直な感想です。
      

   ──総評──

   以上良かった点、気になるだろう点を、上げていきましたが、
   結果的に私が求めたキャラゲーの良さがしっかりでてて、余計なものもなく、
   キャラゲーの点数として88点としました。

   まさに、シナリオゲーなどといったものと違う、
   笑って、ヒロインに萌えて、そして簡潔に笑って終えれる作品、
   キャラゲーにおける良作であったと思います。
 
   ただ、キャラゲーという点において、ヒロインとのイチャラブを重視したい方であったり
   二人の空間を味わいたい方には物足りない作品かもと感じます。
  
   つよきすのカニが好きなら買いです。(ピンポイントで申し訳ない)


   私自身の好みにバッチリあった作品であったものでした。


   以下は、各ルートをネタバレ込みで書いていきたいと思います。 
   未プレイの方はご注意ください。

   

  ①月ルート


   「あいよー!まだまだガンガン行きまっせー♪」

   ハイテンション幼馴染。いやぁ可愛かったなぁ……。
   彼女のお話はなによりも嫉妬イベントが可愛かった。

   エロ本が見つかったりした時などのイベントなど、
   「他の女の子をえっちな目で見てたり、わたし以外のこと考えてされるなんてイヤだもんっ」
   なんてときにはもうニヤニヤしっぱなしでしたね……。

   
   一番好きなシーンは月が主人公にバシって言ってやろう!って決意したシーンですね!

  > 月「でも空ちゃんも空ちゃんだよね?ここは彼女として最初にビシッと言っておかなくちゃ!!」
    空「ただいまー。ごめんね、月。待たせちゃって。いい子にしてたかい?(なでなで)」
    月「うわーい!おかえり空ちゃーん! もっともっとなでなでしてー♪ちゅー、ちゅー♪」


    切り替えの速さにほんと笑いました……www
    可愛かったなぁ。
    あとは髪型をお団子などいろいろ変化させたりするイベントなど、
    あのイベントを作ったことには本当にグッジョブ。

    ただ、彼女のルートで欲しかったのは、幼馴染との距離感を感じさせるようなイベントでした。
    選択イベントでは、
    「わたしたちだけの思い出だねぇ。なつかしいなー美咲ちゃんもマリアちゃんもしらない空ちゃんだ」
    と幼馴染ならではの話を感じさせながら、
    個別ルートはそこまでだったかなぁと。
    可愛さだけなら言うことなしですがそこがあったらもっと良かったです。


   ②マリアルート

    「お姉ちゃん!そんなデタラメ言わないでください!!」

    彼女はヒメとのルートでありました。
    個人的にはヒメの金田まひるさんが好きだったので面白かったですが、
    マリアさんが影薄くなりがちかな?と思ったら。

    いざルートの話になりますと、案の定マリアさんも逆キャラっぽい立ち位置に変化していきましたね……ww
    野菜への吹き替えの話だったり、エロゲスキーな設定だったり。
    個人的には野球ボール当てられて鼻血だしてるのが印象的です。

    アサプロのヒロインのように容赦するなという感じ。

    メインの話はヒメからのお姉ちゃんとしての祝福でしたっけ。あれ覚えてないぞry
    ただヒメはなかなかにいいお姉ちゃんしてたのでは。(いきなりなと思わないでもないですが)

  
   ③美咲ルート
   
    「じゃあ最後まで意地貼り通したら、お望み通り可愛く褒めてあげるわよ?
     ほーら、頑張れ頑張れ男の子♪」
 
    姉さん女房!!
    お世話してくれるヒロインが大好きなわたしには、もろど真ん中でした。
    看病してもらうシーンでは何度羨ましいと思ったことか。    

    友達としての距離感ながら、お互い似た者同士で惹かれつつ好きになっていく。
    一番距離感を描くのに上手だったのではないでしょうか。
   
    主人公自身も余計な一言を言っちゃう感じで、それと突っ込む形で。
    一番お似合いな感じだったなぁと思います。

    一番好きなシーンはしらたま(だっけ)を主人公に作ってあげたシーン。

   > 空「じゃあスマイルください!テラ盛りで!!」
     美咲「スマイルって……」
     美咲「……お持ち帰り、ですか……?」
     空「……」
     美咲「……ゴメン、今のナシで……お願いします……」

    あの美咲さんがここまでデレルとかもう破壊力半端ない。
    可愛すぎかと、萌え死にました。ニヤニヤしっぱなしでした。

   
    他にも、自転車で坂を下るシーンの頑張れ男の子♪だったり、
    ピロートークも素晴らしい出来で。
    着物Hも最高にエロくて。
    一番萌えた大好きなヒロインです。
    
    個別ルートの話はちょっと急展開だったかなと思わないでもないですが、
    まぁまぁ良かったと思います。(ちょっと大げさかなと思わないでもない)

    まさに良い姉さん女房のキャラでした。


   ④夕真ルート

    「そんなぶちくらいとこはいやじゃあああああああああ!!
     もうちいたぁましな明るい職場にしてちょうだいやぁぁぁああああああ!!(抱きっ)」


    広島弁みやびん!
    まさに本場の広島出身なこともあって方言が独特でしたね。
    正直に言うと、最初は方言に違和感があったのですが、慣れてくるとこのギャップが可愛くありました。

    可愛かったです。

    ただ、話の内容が夕真自身があまり介入できない問題であったことがちょっと残念だったかなと。
    最後なんて3人組の旧友が全部持っていきますし。
    学園長のハゲネタもちょっと過剰すぎた感……。
 
    彼女自体は可愛くて好きです。
    自身がないところも、主人公のおかげでどんどん明るくなっていくというgoodだったかなと思います。


   ⑤サブキャラ

    なによりも冴子先生!
    もう可愛くて可愛くて。こういう処女先生大好きすぎて。
    主人公の言い過ぎた発言に、冴子先生のツッコミが大好き。

    また最後のCGの
    「……もう少しだけ、恋人の時間を過ごそっか?」
    ってセリフにはもう死ぬかと。
    
    なぜ正ヒロインじゃないのか。いやサブキャラでもHシーン用意してくれたことにありがたいけど。
    可愛かった。

    また朱鳥ちゃんも良かったですね。元気系水霧けいとさんのキャラ。
    ユミナのような感じでしょうか。
 
    なにごとも猪突猛進、低身長巨乳キャラ。
    なかなかに可愛かった……。

    サブキャラもいい味してました。


    
   以上でルート感想終わりです。
   総評で言いたいことは言いましたので。これで終わります。
   改めてキャラゲーの良作だと感じております。

   ここまで長い感想を読んでくださった方ありがとうございました。