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merunoniaさんの凍京NECROの長文感想

ユーザー
merunonia
ゲーム
凍京NECRO
ブランド
NitroPlus
得点
93
参照数
3665

一言コメント

前半はネタバレなしで良かった点&気になるかもという点。後半は各ルートの感想。演出に目が行きがちですが、世界観や設定を活かすような展開が本当に面白かった。 深見真さんが関わっているということもあって、エチカ主体の百合な楽しさもあって、そちらも嬉しい誤算でした。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 ※前半にネタバレなし 
  後半にネタバレありで感想を書いていきます。

 『君と彼女と彼女の恋。』という、
 今までのエロゲとは一風変わった作品をリリースして2年半。
 
 今作、『凍京NECRO』という、3Dをゴリゴリに使った作品として発売されました。
 結論からいうと、めっちゃ面白かったです。
 戦闘シーンの面白さもさながら、このシステムを利用した世界観と設定。

 一気にTRUEまでやってしまい、その後の充実感は本当に気持ちよかった。
 プレイ後に、どこか思いを馳せるような作品ではありませんが、
 プレイ後に面白かった・・・とアクション映画を見た後のような満足感でした。

 体験版で面白く期待はしていましたが、まさに期待通り答えてくれました。

 こういった点も踏まえ、ネタバレなしで良かった点、人によっては気になる点を上げていきます。

 
 (1)良かった点 


 ①3Dを活かした戦闘シーンなどの演出

 一番今作の売りだと思われる、3Dのアクション映画のような演出。
 まさに映画を見ているような面白さでありました。
 ムービーでキャラが動き、一時停止でテキストによって戦闘描写について挟まれる。
 とてもわかりやすくて、見てておもしろいものでした。

 個人的な話になるのですが、読み物の戦闘シーンって私自信少し苦手意識がありました。
 というのも、戦闘シーンを漫画ではなく、小説などの文章で表そうとするとわかりにくいものがありました。
 「拳を振り下ろす」という一動作にしても、文章とCGだけというパターンだと、CGから想像に任せるしかなかったり。
 丁寧な描写にすると、それだけ文章が長くなってだれてしまったり。
 (そこが文章の面白さでもあるのですが)

 それが今作は、すべて3Dムービーで表現されてとてもわかりやすいものでした。
 一つ一つの動作でも、ムービー後にテキストを挟むため、
 キャラの心情や理由、細かい動作も脳内で補完しつつ、楽しむことができました。



 もともとニトロでは、こういった3Dの演出は「続・殺戮のジャンゴ」や「装甲悪鬼村正」といった
 もので使われていました。

 特にエクスブレインを使った戦闘(一人称視点)は、装甲悪鬼村正の劔VS劔の戦闘シーンを思い出します。
 ただ、村正に比べると、戦闘シーンはより『映画らしかった』と思います。
 
 というのも、凍京NECROの戦闘シーンの場合は思考しません。
 村正の時は、お互いの戦闘にかけて読み合い、相手の思考と自分の思考をお互いに削り合うといった
 独特の緊張感がありました。
 まさに対峙したときの、あの薄氷の上のような緊張感は、本当に面白かった記憶があります。

 それと変わって今回のNECROはエクスブレインという機械が「無意識」を拡張して、機械が指示します。
 キャラが考える前に行動するので、緊張というものより、むしろ「爽快感」だったと思います。
 その分、無意識を拡張とはいっても、キャラの思惑だったりそういったのは描かれていて。
 また、戦闘シーンで、素早く動く中、時にスローモーションになったり、といった工夫は、独特の面白さがありました。
 一つ一つの動作に、被りもなく忠実に丁寧に作られているのも良かったです。


 戦闘シーンを村正の時は、まだ読み物としての楽しさがありました。
 凍京NECROの場合は、「見る物」としての「映画」の楽しさでした。
 ですので、燃える展開、バトルというのも、お互いの戦闘シーンより、
 挿入歌や演出だったりの方向で燃えたようで楽しかったです。
 この映画のような面白さは「続・殺戮のジャンゴ」を思い出します。

 

 こういったこともありまして、ほかの方もおっしゃっていますが、体験版は必須だと思います。
 というのも、こういったムービーを挟むかつテキストを融合した形は、他の作品では
 なかなかなかったと思います。

 村正が楽しかったから今作もいけるとはちょっと違う作品だと思います。
 逆に、このムービー演出が楽しい すごい と感じた人は買ってもいいと思います。
 このムービーを活かした、主軸にしたテキストだったりシナリオで、とても面白かったです。

 紙芝居と言われたエロゲに、新しい風を持ってきた、ニトロらしい作品でありました。





 ②なるほど、そうきたかっ と思わず思わせてくれる世界観と設定(シナリオ)

  ムービーについて目が行きがちですが。
  シナリオ、というより世界観と設定の使い方が本当に上手だった。
  

  ストーリー概要は公式HPみてもわかりにくいので・・・。(公式HP見にくいのが正直だめですね。)
  パケ裏より。

 
     ──“ネクロマンサー” の時代がやってきた。
     主人公・臥龍岡早雲 と 牙野原エチカ は、まだ若い “民間特別生死者追跡者”。
     近接銃術という特殊な戦闘技能を身に付けており、互いにトップクラスの成績をあげている。
     ある日の任務中、早雲は激しい戦闘の末に、ひとりの少女と出会う。
     宝形イリア という名前以外の記憶をすべて失っている彼女は、謎のネクロマンサー集団に身柄を狙われていた。
     硝煙とリビングデッドと犯罪と電脳の凍京。 リビングデッド・ストーカーとヒロインの生死をかけた戦いが始まる。
 
 
  ストーリー見た感じだと、イリアとネクロマンサーの逃亡劇(?)みたいに思われがちですが。。
  ネタバレなしだと何も言えないのであれですが、伏線・設定・世界観ゲーです。

  リビングデッド、都市凍京、パイプライン、エクスブレイン、サブコン、セクサロイド・・・etc.

様々な用語から未来の東京の姿を描かれます。(一つ一つの用語は用語解説あり)
  こうした一つ一つの要素が複雑に絡み合い、社会情勢を描き出し、
  そして複雑怪奇なリビングデッド、ネクロマンサー、コネリン(電子デバイス的な)といった世界観を描き出します。

  こうした中で、一つ一つの何気ない独特な設定にもしっかり意味があったのが本当に面白かった。
  最後には、そのためにこの設定があったのか、となったときの
  まるで伏線がわかったときのような楽しさが、この『凍京NECRO』のもう一つの面白さでありました。

  逆に言えば、戦闘シーンでは『燃える』シーンはあっても、
  シナリオ自体は燃えるというものではありません。
  また、『装甲悪鬼村正』のように、「善悪相殺の呪い」による葛藤だったり、
  テーマ性のような面は比べると強くなかったかなと思います。

  
  >生者が生者を殺し、生者が死者を殺す。
   死者が生者を殺し、死者が死者を殺す。


  こうした世界が当たり前になった世界で、翻弄されながらも
  主人公たちはどのような生き方を選ぶのか。
   
  設定ありきの中での登場人物の姿を描いた楽しさ、
  また、このような設定の中で、どうして登場人物がこのような姿になったのか
  がどんどん明らかになってく楽しさでありました。

  以上より登場人物に感情移入する、またヒロインに対する恋愛要素を楽しむ作品ではないです。
  主人公がなぜイリアを大切にしているのかだったりの描写は薄かったりしてます。

  
  というのも、そもそも今作は戦闘シーンだったり3Dの戦闘シーンを売りにしているのもあって
  途中途中で話を挟みつつ、戦闘シーンのために場面展開がテンポよく進みます。

  登場キャラの心情シーンを丁寧に長い時間かけて描いていくのではなく、
  瞬間風速で勝負する作品という感じでしょうか。
  まさにそういう意味でも「アクション映画」のようでもありました。
  (やっぱりジャンゴっぽいなぁ・・・と思いつつ)



  ③シナリオ(ルート分岐&TRUEについて)

  もう一つ面白かったのが、ルート分岐の方法のアイデア。
  「装甲悪鬼村正」でも、選択肢によるルート分岐のアイデアは工夫されていて面白かったですが。
  今作のシナリオ分岐も面白かった。
  ネタバレになるので、詳しくは述べれませんが、
  「もしW主人公が片方がこうだったら」
   という分岐からifルートで描かれる展開はどれも飽きが来なくて良かった。

  一つ一つの何気ない日常にも、ふとした違いの反応だったり、
  だからすれ違って分岐していくのかという楽しさがあった。

  けっこう一つのルートも長く、どれも異なる展開や異なるボスであったり、
  時には異なるチームバトルであったりもあって、本当に世界観なり設定は練られているなと感じます。

  まだ未プレイの方がいましたら、イリアルートは絶対に最後にしたほうがいいです。

 

 
  ④キャラについて(W主人公&イリアについて)


  メインヒロインはイリア(柚原みうさん)になるのですが。
  このイリアが本当にかわいいんです。

  世界観はどうしても暗くなりがちな中で、ハイテンションキャラ。
  「ジャポニズムだねぇ!」だったり、
  「がおー!」っていう可愛さというか。(言葉にできない)

  セミラミスの天秤をやった方にしかわからなくて申し訳ないのですが、
  「響」もこの方は演じておられますが、あのような可愛さがあります。

  本当に作中はかわいくて、リピートしまくったりしました。

  ただこのイリアというキャラは人を選びそうだなと思います。
  良い意味でも悪い意味でも際立つあざとさがあります。
  自分は大好きですが、この可愛さにはわざとらしさを感じちゃう人もいるんだろうなとも感じました。


  また、W主人公について。
  どのような主人公かになると、
  男主人公の早雲は、クール(無表情)系の村正の景明のような感じ。(ちょっと違うけど)
  女主人公のエチカは、セックス!バイオレンス!の続・殺戮のジャンゴの黒のフランコな感じ(これはほんとそのまんま)

  この二人が繰り広げるアンバランスな相棒な感じは良かったです。
  すでに上で述べたように、戦闘シーンは、ハイスピードな感じで繰り広げるため。
  無機質にすべきことを従う早雲だけだと物足りなかった中を。

  エチカのハイテンションヒャッハーなキャラが本当に良く似合いました。
  戦闘シーンは、細かな描写はかかれないため、冷静に思考する主人公より
  こういった暴力系の主人公が本当によく映える。
  一つ一つのセリフに、
  「やってやろうぜぇ!」と決めてくれるエチカの存在が本当に良かった。
  ここはあじ秋刀魚さんの演技も相まって本当に面白かったです。

     

  ⑤BGM&CG
  BGMもとても良かった・・・。
  コメントしずらいのであれですが、戦闘シーンのアクションなBGM
  蜜魅テーマBGMの和風なBGMだったり、とても良かった。
  挿入歌も小野正利さんの手がける歌でめっちゃ熱いです。

  ここは雰囲気作りとしてとてもよかったかなと思います。

  また、大崎シンヤ氏によって描かれる二人組のCGが本当に綺麗で美しい。
  そのままPCの壁紙にしてもいいくらいには綺麗でみとれます。
  さすがよかったです。


  以上良かった点を5つ上げました
  
 (2)以下に気になった点(人を選びそうな点)を上げていきます。




  ①こだわり(すぎた)設定画面とPCスペックに操作される演出

  公式HPを見たとおりわかるのですが、設定画面なり
  この世界観を演出するために、めちゃくちゃ凝ってます。

  のちにTRUEまでやれば、このこだわりも納得できるものではあるのですが、
  やはり少し利便性にかけてはやりづらかったかなと思います。

  私のPCのスペックが足りないのもあったかもしれませんが、
  セーブするのに20秒ほどかかったり、
  ゲーム起動してから始めるまでに少し時間がかかるのが、ネックだったかなと。

  PCスペックの確認(設定で動作重視にできます)
  は体験版で絶対したほうがいいです。 


  ②3Dについて
   すでに上記に述べたように「映画」のような面白さです。
   バトル、熱い展開とは言っても、読み物のバトルとして期待して買うのは注意だと思います。
   あくまで映画のような楽しさ、
   そしてこの独特の世界の設定、イリアの正体といったものをを期待して買うのが正解です。
   また、3Dの顔はやはりそういった感じになるので、そこに気になるかもと思います。


   以上思いついた二つを上げました。



  (3)総評 

   ニトロは、刀剣乱舞だったり虚淵玄によるアニメだったりで
   エロゲの印象は薄れていくのがありました。
   その中で、コミケのニトロ無料配布冊子の中で。
   「エロゲだからこそ作れる作品を俺たちは作りたい!」(だったはず)
   ということを述べてました。

 
   今作品、「凍京NECRO」はまさにその言葉通りの作品を作ってくれました。
   3Dのムービーは資金潤沢なニトロならではではあり素晴らしかったのですが。
 
   個人的には、それ以上にエロゲでしか描けないバイオレンスさである
   リビングデッド(ゾンビ)物として、グロありきでありながら(言うほどグロイとは思いませんでしたが)
   ニトロらしい独特の世界観を味わえたことが何よりも楽しかったです。

   別会社の作品ではありますが、最近の「Maggot baits」のようにエロゲだからこそのお話がありました。
   18禁だからこそリアリティが生まれ、同性愛、グロなどに説得力が増す。

   続・殺戮のジャンゴ、phantom、村正など、まさにニトロらしく。

   ただ、今までのに比べてテーマ性はよりハッピーエンド調になったといいますか。
   万人向けになったなぁと感じます。

   ともあれ、買ってよかったです。さすがニトロの作品でありました。
   熱中して楽しめる作品に出会えてよかったです。
   今までのニトロ作品が好きな方、戦闘3Dを体験版でおもしろいと思った方は買って損なしです。
   ありがとうございました。



  







   ──以下ネタバレありで各ルートの感想を簡潔に述べていきます──



  (3)各ルートの感想


 ①全体(共通など)について
  
  やはり上記で述べたように設定が面白かった。
  高齢者処分特区、パイプライン、電脳ドラッグだったり、セクサロイドの現実性は、
  攻殻機動隊だったり近未来SFを思い出しました。

  これらの設定も決して小難しいことなく、理解しやすかったり
  テキストも上手だったりと思います。

  また飯画像が気合入りすぎ・・・。
  なんどお腹すいたことか。本当にお金かかってました。

  それとキャラについても、数字オタク(?)な時尭だったり、
  イリアやみつみん、コンスー可愛さ、エチカの男前っぷり、
  早雲の天然ボケとそれに伴うみつみんやイリアとのコンビだったり。

  キャラもとても魅力的でありました。
  時尭のキャラにはなんど笑ったか・・・www

  こうした中での、バトルやリビングデッドの解剖などショッキングなことも含め、
  設定解説がより引き込まれた共通だったと思います。


  戦闘シーンでは、やはり三人タッグだったり二人タッグが熱いですね!!
  個人的には、コーヒーカップでの三人タッグの戦闘が
  互いに足りないところを補うというもので、めっちゃ面白かった記憶。
  こういう3Dはタッグ戦闘がよく似合うと感じました。


  また、上記にこれも述べましたが、
  共通の中で含ませてある、各ルート分岐による反応の違いが面白くありました。
  早雲とエチカがリビングデッドになるかどうかによって話は分岐されました。

  その中の反応で、例えば燎子さんが作ったカレーに対して。
  リビングデッドになったら、普段とは違うと感じる、辛さを感じないことであったり。

  エチカと霧姉が一緒にビデオテープ(?)を見るシーンで、
  霧姉のお母さんについての真相だったりを明かすシーンでも、
  生者のエチカは気を遣って途中でやめさせるけれど、(その先の真相が伝えられず分岐)
  リビングデッドのエチカは感情を失いつつあり、気を遣えないため、
  代わりにコンスーが止めるといったことなど。
  また、エチカがスカベンジャーを奪還するときに
  エチカがリビングデッドかどうかで、都市のリビングデッド化を止められるかどうかの分岐だったり。
 
  他にも、感情があること、失いつつあることによる違いだったりを少しづつ描いていた面白さが
  共通にはあったなぁと感じます。
 
  こうした中での少しづつのズレというものが結果としてあれだけずれていく。
  サブコン視点として、見ていく面白さ。
  ここは、一つ一つの設定などに矛盾がでないように練り込まれないとできないシナリオであったと思うので
  さすがだと思います。
 



 
 ②霧里ルートについて(エチカ生者 早雲リビングデッド)

  
  彼女のルートを最初にやりましたが・・・。同性愛でしたね。
  ってか、W主人公だと思ってなくて、早雲が主人公って完全に思い込んでたので
  びっくりして進めてました。

  原案に深見真氏が関わっているということもあって、
  同性愛的なものがテーマになるのかな とは思ってはいましたが。
  エチカちゃんの霧姉へのまっすぐっぷりは男前だったり可愛かったり。

  百合に対してあまり見識がありませんが、それでもなかなかに可愛くて良かったなと思います。
  遊園地の反応だったり可愛くて好きでした。

  そして、まさかのエチカの父親が愛していたのは早雲の父親だったり。
  なかなかに衝撃的で、ある意味エロゲらしいルートでもありました。

  また、彼女のルートはエクスブレインの設定の活かし方が上手だった記憶が強いです。
  早雲の実は蜜魅を殺さなかった理由について。
  リビングデッド化しても、無意識に毒から麻痺弾になっていただったり。

  エチカの場合でも、エクスブレインに従うかどうかについて。
  父親との対峙について。

   >エクスブレインは「殺すな」
    今やるべきは、自分で未来を決めることだ。
    自分の存在を証明することだ。
    あたしの人生を取り戻すことだ。

    呪いから、解き放たれるために。
    自分が、自分であるために。
    あたしは、オヤジを──


   とエクスブレインとの葛藤の中で。
   あくまで「凍京守る」霧姉に諫められて。

   エチカと霧姉の関係がよく映えたルートだったなと思います。
    
   父親との関係については、最初からより敵としてなってしまった感じでした。
   エチカ&父親コンビの会話だったりがおもしろいのが他ルートであったので、
   最初ではなく、他ルート後にエチカ&霧里ルートをやると
   父親とエチカとの印象が変わったのだろうなとも思います。

   父親世代だったりが渋いエロゲです。

   最後の、「霧姉のお味噌汁が毎朝飲みたい!!」
   がめっちゃ好きです。

   燃えるバトルシーンだったりがよく映えたルートでありました。
   Wチェーンソーだったり、ジャイアントスイングだったりが面白かったな。
   怪物王女みたいだry



  ③蜜魅ルート (エチカ リビングデッド化 早雲 生者)

   
   霧里ルートが燃えるバトルな印象が強かったことに比べて。
   みつみんルートは、とにかくみつみんが可愛かったなぁという。

   特にお気に入りのシーンは、早雲とみつみんのデートシーン。
   エクスブレインに頼るデートの早雲とデートがそもそも何かわからない二人の天然コンビ。
   また、熱が互いにあると勘違いして病院に駆け込むのだったり。

   不器用な二人だからこその可愛さと面白さがあったなーと思います。

   
   シナリオに関しては、一番王道であったと思います。
   早雲が生者として、主人公とヒロインの蜜魅が支え合い、
   生者として生きていく。
   五勝と早雲の戦いであったりも、死者である五勝が今でも忘れない愛を抱いてる中で。
   リビングデッドストーカーとしてケリをつける。

   五勝さんが一番輝いた中で、「もう誰を愛していたかもわからない」という 
   リビングデッド化による悲しさもより描かれていたように感じます。


   ミルグラムを倒すという復讐を終えたあと、生きる目的を失ったという蜜魅に対して。

     >自分は死者のために戦うのではないう
      生きているもののために戦うのだ


   未来へ生きるというおはなしで、綺麗に終わりました。
   
   面白かったです。

 
   また、エチカがリビングデッド化したということもあって。
   彼女の感情を失うことの霧姉といった葛藤もありました。
   その中で、
   
     >とことんまで楽しんでやる。
      とことんまで悲しんでやる。
      とことんまで暴れて、とことんまで──生きてやる。
      最後の最後まで、謳歌してやる。

      それがあたしの生き様で──
      死に様だ。

   と生き方(死に方)に言い切るシーンは本当にエチカらしくて。
   大好きです。
   魅力的で、エチカが一番好きだと、この時改めて思いました。


  PS, みつみんBAD展開はココロ踊りましたけど、
     おもったより薄味だった・・・。(コンスールートだっけ)
     もっとやってほしかry

     みつみん通常Hはめっちゃエロくてよかった



 
  ④コン・スー ルート (エチカ&早雲 リビングデッド化)

   彼女のルートは一番、設定を活かしきった、 
   一番「読み物」として面白かったです。
   
   このルートを終えて、改めて
   「演出だけじゃない、こういう魅せ方もできるのか」
   と思い知らされたルートでもありました。
   
   コンスーが主人公になるルート。
   
   凍京というコネリンを通じて生まれた意識であるサブコン。
   イリアの仮想環境とサブコンの歌という異なる表現がふたりを結びつけて。
    
   こうした中で天知に裏切られて信じられなくなったサブコンに
   コンスーは希望を見せようと、かつての東京の姿を見せる。
   壮大でした。

   何よりも、
    
    >ホットパイプという血液で生きる人間がノードとなり
     巨大なメッシュネットワークのシナプスで結ばれた街 凍京
  
    >無意識したの電気信号のやりとりがある閾値を超えたとき意識が萌芽。
     それがサブスタンスコンセプト
     さらには、生命都市が生きているならば殺すことができる。リビングデッド化にも。

   なんとも壮大でそうきたかっとプレイ中には圧巻でした。
   その中で、コンスーが、友達であるイリアのために。
 
    >イリアをこの世界に呼び戻したい
     彼女に苦しみを背負わせる行為だってことは
     わかっている
     それでも、会いたい。
     イリアにごめんって言いたい
     帰ってきて、ありがとうって、言いたい
   
   イリアを攻略するルートではなく、イリアが主人公として友達のために。
   同じ後悔をしないためのルートでありました。
   面白かったです。



   また、二人がリビングデッド化したことによる死者に対する考えもより印象的でした。

   リビングデッド化したエチカが霧姉に思いを吐露するシーンでは。

    >霧姉・・・・・・っ
     あたし・・・・・・あた、し・・・・・・!
     もっと、もっと行きたかった
     生きたかったよう・・・・・・!
     あたしは寂しかった

   だったり。

   また、エチカ&早雲の会話で。

    >(早雲)ぼくらはなんで、死んだのに生きているんだろう。

     (エチカ)真面目か
          死んだ人間は死んだ人間だ
          死んでるヤツの人生に意味はない

     (早雲)ほんとうにそうなのかな?
         死んでるぼくらの人生に、何か意味があるってことはないのかな?
         ぼくたちにも、このまま感情を持ち続ける希望はないのかな?

     (エチカ)あたしは死んだ人間だ だから人生に意味はない
          あたしがこうやって生きてることに何かの意味があるなら
          多分、生きてるやつの人生のためだ
   
   
   というシーン。この凍京NECROでは、死者は再殺という言葉がキーワードで何回もでてきますが。
   その中で、死者はどうするべきなのかというテーマにこの会話が一番印象的でありました。
   やはりその中でも前向きに振舞うエチカちゃんが大好きです。


     > もう思い残すことはない。
       あたしは生きた。 
       思いっきり、生きて、生きて、生きまくって
       最後に、死ぬ。
       それが、まあ、自然の道理ってやつだ。
       あたしは、はらはらと散っていく霧姉の思い出を、
       懸命に握り締めながら、目を閉じる。
       でも、まさかね。
       最後にこんな青空の下で死ねるなんて。 
       全くすばらしい人生じゃねーか

       エチカちゃんはさいごまで、エチカちゃんなんだぜ!
 
   エチカが人生を全うしたあのシーンは本当に好きで。
   彼女の存在がより生者と死者の意義を明確に感じさせてくれたように感じます。 
   やはり彼女が大好きでした。(n回目)


   コンスールートが一番好きです。
   ナシゴレンのシーンが大好きです。



 
    PS.彼女のルートのエチカ&時尭の掛け合いシーン

    (エチカ)賭けるか?

     (時尭)バカ言え
         数字は真実だ
         真実は賭け事にならない

   のシーンが時尭がめっちゃかっこよくて大好きです。





   ⑤イリアルート (エチカ&早雲 生者)

    イリアルートは一番主人公(早雲)に焦点を当てた、ルートでありました。
    また、このルートの場合はどちらも生者なため、死者と生者の葛藤がない分
    他ルートよりちょっと特殊だったと感じます。

    終わり方としては、主人公たちが生者の分、イリアちゃんがあぁなっちゃってBADENDな感じで。
    この終わり方、個人的には大好きです。
 
    今までのイリアとの関係性があって、そしてリビングデッドという道がありながらも、
    生者としての選択を選ぶ早雲。
    やりきれない怒りを持って、ミルグラムと対峙する。   
 
    かつての父親の姿(死者としてなお母親を愛する姿)をみて。
    リビングデッドのように感情を失いたかった、イリアを愛するのが怖かった過去を持ちながら。
    
    それでも父親は違うと、ミルグラムと決着をつけて。
    そしてイリアと早雲が浜辺の風景でお互いに話して、二人の世界の中で終える。

    綺麗な終わり方でした。

      
    またイリアルートは、エチカと父親の対決もとても良かった。
    「おまえを産まなければ良かった」という父親に対して。

    本気でそう思うならなんでそんなツラをしてるんだよ!!!
   
    と父親をホントは愛してたからこそ、理由を知ったあとだからこそ。
    あのシーンもココロ打たれました。


     
    キャラの心情を描くルートとして、よくできていたと思います。
    
    ってかイリアが可愛すぎた分より映えたルートでもありました。
    霊夢イリアだったりスク水イリアが可愛すぎて・・・可愛すぎて・・・。
    もうイリアちゃんかわいいと何回叫んだかわからないくらい叫んだネクロでした。

    イリアちゃんのスク水H欲しかっry


  
    ⑥TRUE


    TRUEルートは人選びそうですね・・・。
    私はあぁいうメタ展開大好きなので良かったですが。

    今までのマイナスからプラスの数字の展開は
    サブコン視点から見た様々なifルートで。
 
    イリアルートを見たことで、イリアの死を初めてみて。
    そして様々なif展開の中で様々の死をみて。
    死に対する感情が萌芽して。
 
    イリアを助けるために。
   
       イリア死なせたくない
       どうすればいい?
       カノウセイはぜろ
       どうすればいい?
       エクスブレインに介入
       でも早雲はかぶってない!(早雲は、エクスブレインの判断じゃ遅いと判断してかぶってない)
       どうすればいい?光は届かない
    
       サーチ!カノウセイゼロ
       サーチ!カノウセイゼロ
       サーチ!カノウセイゼロ
       サーチ!カノウセイゼロ
  
       サーチ

       答えは、もう一つのエクスブレインにあった
      


    必死に「サーチサーチサーチ!」
    するシーンは、演出とともに、こちら側も鳥肌が立ちました。

    ifルートは実は意味があるもので、こうした中でTRUEの一つを選び出す。
    まさしく大好きです。本当にゾクゾクしました。


    その後のエチカちゃん登場シーンCGには「ktkr!!」と叫びました・・・。
    そしてエチカ&早雲VSミルグラムの戦闘シーンは本当に暑くて・・・楽しかった・・・。

    凍京と大阪の生殖活動はすげー世界観だな・・・と改めて思いつつ。
    最後のイリア&早雲の抱き合う姿はまさしくハッピーエンドで。   
    本当に面白くて充実感すごかった・・・。 
    
    最後には、サブコンからの「ようこそ!凍京へ」から
    「ありがとう!」の言葉、そしてサブコンのEDには本当に拍手でした。

    ネクロマンサーの時代がやってきて、そこから始まった物語は
    こうした結末を迎えて。

    本当に本当に面白かったです。



  (4) ネタバレありの総評
 
    いやぁ・・・ほんとどのルートもめっちゃ面白かった・・・。
    各ルートには違った魅せ方と結末があって。
    本当に飽きがこなかったし、映画を見ているような楽しさと。
    また設定がこんなふうに使ってきたか!という楽しさ。

    そうした中で一番印象的なのが以下のTRUEのセリフです。  
     
 
    >ふざけんな。
     世界は不幸に充ちているかもしれない。
     全てに絶望仕掛けた人間だって、いるだろう。
     でも、オヤジは、笑ったんだ。
     苦しんで、悲しんで、藻掻いて死んでいったオヤジの
     あの死に顔が、あんなにも幸せそうだったんだ。
     オヤジの人生にも、あたしが今ここに生きてるってことにも
     全部、全部意味が有る。
     未来は、希望を胸に生きていく者のために、ある。
     自殺志願者たちのためのものじゃ、ない。
     (エチカ)

    >そう、ぼくたちは生きている。
     今も、そして、これからも。
     それが、とっても、嬉しいんだ!
     (早雲)



     死ぬということの意味が薄くなった世界の中で。
     生者と死者の境界線が曖昧になってきた中で。
     それでも生きるということはなんなのか。
  
     感情すらも作られているかわからない、セクサロイドだったり
     脳科学の発達の中で。
     それでも描かれる感情の重要性とはなんなのか。

     美しい背景とともに、儚さもあって。
     作中の死者(リビングデッド)は全員必ず死んでいるところの一貫性だったり。
     
     死者は死者でしかないという、現実性と。
     それに相反するように、死者は生者の中で生きていて、
     かつ生者の生きることの美しさであったり、感情の美しさだったりを
     それぞれのルートの結末で見せてくれたような面白さがありました。

     村正のように、正義とはなんなのか、殺すこととはなんなのか
     「英雄の物語ではない」
     といったようなものすごい衝撃のあるお話ではなかったです。

     ただ、その中で設定をうまく活かしながら
     この世界をどう生きるのか、どのような結末を見せるのか。
     キャラの魅力とともに、本当にみごとに描いてくれました。


     なんというか、こういった楽しさを味わってしまうと
     次も期待したくなりますよね・・・。
     同時に、エロゲが廃れてきているという話を(まぁいつも聞くんですが)
     よく聞く中で。
  
     こんなおもしろいエロゲに出会えると、やっぱりエロゲってやめられません。

     本当にそれくらい味あわせてくれたエロゲでありました。
     一つのエロゲの可能性を見せてくれました。

     エロゲという界隈に一つの新しい形を出してくれたことに。
     果敢な挑戦をしていくニトロの姿に敬意を込めて。

     あらためてありがとうございました!