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merunoniaさんのイノセントバレット -the false world-の長文感想

ユーザー
merunonia
ゲーム
イノセントバレット -the false world-
ブランド
CINEMATOGRAPH
得点
75
参照数
584

一言コメント

シナリオゲーと見せかけたキャラ萌えゲー(いい意味でも悪い意味でも)。キャラが可愛いと思ったなら買ってもいいかと。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 HP見たり、でキャラが可愛かったり、サンプルCGが好きだと思ったら損はないと思います。
 逆にシナリオ期待、銃火器期待と思い買われる方は、ちょっと待ったほうがいいかもしれません。



 (1)悪かった点(シナリオ)
 (2)良かった点(キャラゲー萌えゲー)
 (3)キャラごとの感想
 (4)まとめ
 (5)雑記(どうしてシナリオが薄く感じたか)
を述べて感想を書いていこうと思います。





(1) 本作を買われるお方は、おそらく、銃火器による戦闘や、
 マブラヴや創世奇譚アエリアルといった、侵略者に対する人類の生き残り
 が描かれる世界観を期待してお手に取るという方が多いと思います。(私もそうでした)

 しかし、開けてみれば「いい意味でも悪い意味でも」良質なキャラ・萌えゲーでした。
 以下その理由を考えていきたいと思います。





 ①日常と、戦闘のシリアスシーンの落差が大きすぎる点

 その理由の一つとして、このエロゲの話の進み方があると思います。
 この話は、敵との戦闘と、ヒロインとの日常シーンを交互なシナリオでした
  

 戦闘or訓練→日常→戦闘→日常→日常→戦闘
 
 と進むのですが、この日常と戦闘の間がぶつ切りすぎる点があります。
 そのため、ヒロインとイチャラブするのは良いのですが、
 敵による緊迫感と、イチャイチャがギャップがありすぎて、
 話が薄くなってしまっているのがあると思います。
 はっきり言って、シナリオの繋げる間が雑に感じました 

 
 ②設定がしっかり作りこまれた、説明がされることなくご都合主義で進む点

 はっきり言えば取って付けたような感じでしょうか。
 この作品のメインである、特異点という能力、敵である指定三号といった対決で話が進みますが、
 正直説明しきれないところや、矛盾しているような内容が見られるのがありました。
 (特に最後にかけて)

エロゲでは増えてきた、世界観を説明するための用語説明の機能も用意されていました。
 しかし、それを含めても、強引だったり、薄っぺらい設定に感じてしまいました。


 大きく分けて、以上二点のような感じでしょうか。声優といい設定といい素材はいいのに
 中途半端でシナリオを仕上げてしまった感じです。











(2)とここまでだったら、私も人にはおすすめできないエロゲとして終わるのですが。
 予想してない方向での、副産物がありました。
 それが「キャラゲー萌えゲー」として、とても良質な作品だったことでした。

 先ほど①で、日常と戦闘がぶつ切りになっていると説明しました。
 その効果もあってか、むしろイチャイチャ部分は重視されているようで。
 ヒロインどの子も個性があってとても可愛くて、2828しました。

 原画も上手で、声優もベテランが多く、服装・下着も可愛い。
 Hシーンの構図も上手でエロイ。シチュエーションもグッド。

 ヒロインは3人しかいませんが、どれも可愛くて良かったです。


(3) 以下ヒロインごとの感想を書いていきます。 

 
 1.愛ルート

 感情の失った少女の物語。車の人の演技も相まってとても可愛かったですね!
 無表情でスキップだったり、無表情でのボケだったり、笑ったのも彼女関係が
 一番多かったと思います。

 また、無表情ながらの、人の真似をしてみました、というギャップだったり、
 自分が知らないうちに祐爾を好きになる過程だったりも可愛くて良かったです。

 個人的には、下着選びのときの下着シーンがすごい可愛くて。
 それと「祐爾 という字は難しいけど書いているのが好き」というシーンが
 本当にお気に入りで大好きです。
 入院で出会えないことへの愛からのもどかしさだったり、悶えました。

 「はい、あーん」と無表情でするカフェのシーンもお気に入りの一つです。
 
 車の人の演技力の高さが伺えるルートでもありました。


 2.早苗ルート

 「ここが・・・カフェ・・・・!」
 
 白髪眼帯少女!(巨乳)

 厨二病キャラではありませんが、清純キャラでもちょっと腹黒い。
 二人のヒロインに比べれば尖ったところはありませんが、なかなかに可愛かったと思います。

 縦セーター?パイの私服も良かったし、Hシーンも可愛くて so good
 巨乳をふんだんに使ったHシーンが多くて良かったです。

 映画のシーンだったり、初めてカフェに入るシーンも良かったですね。

 個人的にお気に入りのシーンは
 早苗「もしも生まれ変わったら・・・お嫁さんにしてもらますか?」
 主人公「うん・・・絶対約束するよ」
 早苗「ほんとですか!? じゃあ生まれ変わりました!」

 というお茶目なところが可愛かったです。

 
 3.莢香ルート
 
 「・・・そうね。美味しいものを食べるときは、美味しさに集中しないとだめ。
  美味しいことへの『幸せ係数』が減るわ。(真顔)」

  彼女はルートに入って、ツンデレパワーが発揮されてからが本番だと思います。
  付き合う=妊娠的な発想なウブです。
  恋愛も知らない彼女が、どんどん恋愛の楽しさを知って
  主人公とラブラブになる過程は本当に可愛かったです。

  共通部分ではあれだけしっかりしているのに、天然なところもあったりして。
  他と違って、主人公がグイグイ引っ張るところも見られたりするのも良かったですね。
  
  一色ヒカルさんのツンデレ演技がとても素敵でした・・・

  個人的にはクレープの食べたいけど、我慢したいときの、言い訳だったり
  意地っ張りなところが本当に可愛かったです。

  また彼女に限っては、トラウマを克服するシーンが描かれており、
  そこも、シナリオに限っては面白かったです。
  ヒロインの中では一番好きなお話でした。 
   

  とある方とお話させていただきましたが、
  私服の緑のジャンパーが彼女の雰囲気ととても合ってて可愛かったです。

  他二人にも言えますが、この作品は私服姿が可愛くて、そこもポイントが高いです。

    

  






   (4)当初の目的は正直、「銃火器戦闘」だったり、シナリオをメインにして買いました。
   開けてみれば、違う料理が出てきた。けれど美味しかった。 
   という感じでしょうか。
   
   なにげに、挿入歌やOPだったり、BGM(特に firing pin)がかっこよかったりと、
   良かった点も多くあります。

   ゲームの作る方向性を間違えた、宣伝する方向が違う作品だと思います。
   (メーカーはシナリオメインで作りたかったのかもだけど)

   以上を踏まえて 75点にしました。
   
   純粋にキャラの可愛さ、Hシーン、ヒロインとの日常を抜き取れば、満足度は高いです。
   予想違いでしたが、結果的に楽しめました。
   ありがとうございました。


   (5)雑記
    
    以下は、根拠もありませんが、個人的に思ったことを書いていこうと思います。

    本作品でどうして、シナリオがばらばらに感じられたのか。
    正直、「この作品でなにを伝えたかったのか。」
    ライターが意図していることがよくわからなかったのがあると思います。

    例えば、「侵略者に対する人類の反抗を描きたかったのか(マブラブ)」
        「能力に対する秘密と陰謀を解明したいのか」(結果的にはこれでしたが)
        「仲間との絆、仲間の死に対する主人公の葛藤」
  
    といったものがあります。
    これらは、現象が起こったとして、触りとしては描かれますが、
    一つ一つの事柄が、つながっていないからなのかなーと思います。
    
    ①があった→日常→②があった→日常
  
    とそこで完結してしまってて、ただ見せられている感じになってしまう感じでしょうか。


    私は小説なり書いたことがないので、偉そうなことは言えませんが、
    一貫したテーマが感じられないのがありました。
 
    このエロゲの箱の裏にも書いてある宣伝文
    
    「鈍色の銃を手に、偽りの運命を穿て!!」
 
    というのも、最初は運命を乗り越える作品なのかな?と思いつつ
    抽象のまま終わってしまった感じです。


    せっかくの素材、豪華(特に男性は豪華すぎる)声優、レベルの高い原画、BGM
    と揃っているのに、惜しい作品だと感じました。

    結果的には楽しめましたが、シナリオがあったら名作になれたかもしれない
    と感じています。