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merunoniaさんのもっと 姉、ちゃんとしようよっ! アフターストーリーの長文感想

ユーザー
merunonia
ゲーム
もっと 姉、ちゃんとしようよっ! アフターストーリー
ブランド
CandySoft(きゃんでぃそふと)
得点
95
参照数
141

一言コメント

もっと姉、ちゃんとしようよのFDとして最高の作品でした。無印にあった主人公のメンタル部分等の欠点が改善されており、どのお話も無印からつなげるお話としてとても楽しかった。不快点が全くなく、姉さんたちといちゃらぶを楽しみながら、家族愛としての絆を感じるお話。文句なしの最高でした。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

一言感想で述べたように、最高の一言です。
無印版ではどうしても主人公の辛い過去等による、メンタルの弱さが目立ちました。
意気地なしだったり、迷走するシーンは見ていて不快になってしまう部分もありました。

しかし、今作FDでは、そういった部分が一切ありませんでした。
むしろ、成長後のアフターのお話のため、主人公である走馬が、お姉ちゃんたちを支えていくと、覚悟を決めるシーン等、どの√でもかっこよかったのが素敵でした。本当にここが良かった。

どの√のお話も、無印であった結末部分のお話をさらに補完する形としてとても良かったと思います。
特に、双子√、ミサ√では、明日原家の問題を解決されながら平和な日常が見れるお話として、これが見れたのが本当に嬉しかったです。

そして何よりもまわりの暖かさ。家族としての見守ってくれる暖かさ。
親友である千鳥をはじめとした、主人公を信頼してくれる暖かさ。これらをより感じられたことが何よりも面白かったです。
(何よりも千鳥さん、ほんと最高の幼馴染。最後の最後の走馬と千鳥で笑いあうシーンなんかもうね……!!)

FDとして文句のない出来でした。
この日常が見たかったんだ!と満足できる作品でした。
かずきふみさんの凄さがわかる作品でもありました。

以下は、各ルートについて、備忘録の感想です。(プレイ順)

〇楓子姉さん√
みんなの頼れるお姉ちゃん。でも以外と子供っぽいところもあって、そんなとこが可愛いお姉ちゃん。
お家芸でもある、ミサ姉との言い合いだと子供の喧嘩っぽくなっちゃうのは今回も健在で、
プリンに慌てるシーンだったりも可愛くてすごい和みました。

そんな彼女のお話は、一人立ちして大人へと成長していく走馬に、置いて行かれるのではないかと焦燥するお話。今まで、長女として弟第一に考えていた楓子姉さんだからこそのお話でした。
弟は成長するのに、ミサと楽しそうにお話をして嫉妬しちゃう自分に嫌悪する楓子姉さん。
『ミサと楽しそうにしてるのが、いや……っ、どんどん大人っぽくなって、私をたよってくれなくなるのが……いやっ、いやだったの』

でも不安な楓子姉さんに、主人公がもてる最上級の感謝の言葉を伝えてくれた姿が何よりも良かった。
『不安にさせて、寂しい気持ちにさせて、ごめんなさい。
いつも鈍感な僕だけど、こんな僕を愛してくれてありがとう──』

本当にこの時点で、主人公めっちゃかっこいいじゃん……って一気に走馬さんが好きになりました。

『たまには甘えてね。なにがあっても、ぜ~ったい、私たちは一緒。ふふ、離さないんだから。ねっ?』

かつての主人公の弱い部分が成長して、でも楓子姉さんの元から離れていくのではなくて、二人でずっと一緒にいようと誓うお話。とてもすてきなアフターでした。

〇澪緒√アフター
話の内容という意味では、澪緒ちゃん√のお話が一番刺さったかもしれない。
本編であった、『ずっと同じ早さで一緒に歩いていく』という恋人関係になってからの延長戦上のお話。
澪緒ちゃんはどうしても精神年齢が幼く、どうしても姉ではなく妹として見られがちなところがありました。無印版でも、それは母親の形見のお話から続くものでしたが、アフターでは、『主人公である走馬が改めて澪緒ちゃんの恋人としてありたい』と奔放する姿が良かった。
女性らしさを求める澪緒ちゃんの葛藤する姿も可愛かったし、それらの悩みを一緒に考えてくれる、幼馴染や親友組も素敵でした。

『みおは~、まだまだこどもだけど、そうちゃんのおねえちゃんで、こいびとだ~』

まだまだ子供なことを受け入れた上で、主人公と一緒に歩いて行けることを確認できたお話。
アフターとしての内容で素敵でした。アフターの中では一番好きなお話でした。

〇アルル&クララ√
明日原さん家の双子事情。双子のお話アフター。
彼女の√は、他√と違い二人同時に愛し合うというお話もあり、テーマも二人と付き合うことについてでした。
アルルも、クララも、互いに互いを想いあっているからこそ、自分がいると不幸になってしまうと心配不安になってしまう彼女たち。
この√で良かったのは、何よりもその彼女たちに心配させまい!と奮闘する走馬の姿でした。
明日原家のミサ姉様、お父さんとに宣言するシーンからの、花嫁衣裳姿はもうね……。
彼女たちの幸せを宣言する主人公からの流れは本当に素敵。
また、どこまででも主人公の味方だからなって言ってくれる千鳥さんのなんて頼もしかったことか。

走馬『どんなことがあっても……連れていくよ。三人で生きていける場所に。二人を、絶対幸せにする』

明日原家の問題を解決するお話として、家族愛が感じられるお話として素敵でした。


〇クローディア先輩√アフター
ただひたすらにいちゃらぶ√。
クローディア先輩が完璧すぎるのもあって、もうひたすらいちゃらぶでした。
特に、家にクローディア先輩が挨拶に来るシーンは、無印を思い出すシーンでめっちゃ笑いました……ww

また彼女の√は、シャンティのお話がアフターで補完されていました。
シャンティさんとクローディア先輩の主人公の取り合い。
最後の、諦めずにかかってきなさい!の姿勢はクローディア先輩ならではでしょうか。
彼女らしい終わり方だったと思います。


〇境姉さん√アフター
彼女の枠は、姉ちゃんとしようよの伝統枠ともいえる、伝奇物をテーマにしたお話。
そのお話のアフターということもありましたが、甘えるのを恥ずかしがったり、我慢しちゃったりの境姉さんの可愛さがも~~~~~!良かった。
また、センの存在。マガツヒがコマのような犬の存在になったというお話でしたが、このセンが可愛い。
走馬大好き大好き!って懐くシーンが最高に可愛くて。
挙句の果てに、センが懐いている理由が、境姉さんの心境の裏返しとかもうどんだけ可愛いのか。

また、彼女の√アフターは、境姉さんが『女の子扱いしてほしい』っていうささやかな願いが本当に可愛かった……。『普通』を願う彼女らしいアフターな終わり方もあって。とても良かったです。


〇灯華姉さん√アフター
社会人お姉ちゃん(学園理事長)と主人公のお話。
こっちもひたすらにいちゃいちゃらぶらぶ。
特に、仕事を頑張った時の、走馬に『にへ~ほめてほめて~~』って甘えてくる灯華姉さんにも~~~~どれだけにやけたことかたまりません。

まさに、無印のお話が、お互い『甘え合う関係』になれるための物語であったがゆえのアフターでした。
『少しは僕を頼ってよ……』
という背中合わせのシーンは無印でもよく覚えていますが、それを反映する形で
『ずっと一緒にいられるように、私生活でも仕事でも姉ちゃんを支えられるようになってみせるよ』
とアフターで宣言したところが、主人公のかっこよさ全開でとても良かったです。
ん~~一番にやけた√かもしれない……。


〇ミサ姉様√アフター
ミサ姉様!マジカリスマ!
ミサ姉様が完璧すぎるので、主人公のかっこよさという所は抑え目なんですよね……。
その分、ミサ姉様の期待に応えよう!とする主人公と、なんだかんだ走馬を愛してることがわかる描写がとても良い関係……なお話。
Hシーンも、どれもミサ姉様が主導になりつつ、走馬が頑張ったりとらしいシーンで。
でも選択肢で体操服とセーラー服と選べるのはきゃんでそふとありがとな!!!

また、ミサ姉様√アフターの場合は、明日原家の問題をすべて解決済みの状態でスタートするので、姉妹(弟)たちの平和な日常が見られるのもとても良かった。
特にルル姉&ララ姉が、ミサ姉様を、お姉さま!と慕うシーンが見られるのが、またそれでミサ姉様がすごい安堵してることがわかるシーンだったりがね……本当に良かった。

ミサ『自分のために、ここまで尽くしてくれる男がいる。胸が高鳴らない女がいると思う?』

彼女らしいお話でした。ミサ姉様素敵。

〇鈴音姉√アフター
待ってました一番大好きな√アフター。
もう鈴音の存在自体が最高に面白くて卑怯なんですよね……どの√でも登場してきて笑いを奪っていくなんかん彼女(めっちゃ好き)

そんな彼女の√アフターは、アイドルのマネージャーとして奮闘する主人公。
彼女の√前半は、倦怠期に突入するところから色んなHに挑戦するだったりも面白くておなか痛かったりして。でも後半の、主人公が鈴音の良さをプロデューサーに訴えるシーンは熱かったり。
そのおかげでテレビ出演ができるようになる流れは熱かった……。
また、テレビ出演できるようになった後の、不安になる鈴音を、主人公が必ず幸せにするからと宣言するシーンもかっこよかったです。

何より、彼女の√は、家族の応援するみんなが暖かいんですよね……。
最後の最後、テレビ出演するところを、家族みんなで、ひだりんだー!って言いながら応援するシーンの暖かさと言ったら、最高でした。

『心に響けっ!あたしの歌声っ!!』

鈴音の存在は面白くてギャグ担当!って感じになりますが、でもだからこそ彼女の照れたところなんかが可愛くて。そして夢を追いかける彼女らしいお話であったと思います。


〇TRUEアフター
全てのお話のアフター。それはみんなで温泉旅行に行くお話でした。
もう今まで上記で述べたお姉ちゃんたちの良さをいかんなくつめて、そして平和な日常が過ぎていく
と思わせてくれるお話でした。

旅行中の日常は、それぞれ彼女たちがいきいきと過ごす日常が見れて。
何よりも良かったのが千鳥の存在。
最後の最後、桜の下で花見のシーン。主人公と千鳥が笑いながら肩を組むシーンなんてもう。
千鳥さんが真ヒロインではないのだろうかと思うくらい最高でした。
今思えば、√アフターの全部とは言いませんが、多くの√で、千鳥やきりんじだったりの存在があって
主人公が支えられながら、でも主人公も姉さんたちを支えていく構図が多かったりで。
そんな集大成の形がアフターで見られたのが、もう何よりも良かった。

そして、最後の最後にはみんなで集合の花見の姿。
あぁ終わってしまったなぁ、という気持ちと同時に、彼女たちの良さが全て詰まったこのCGにはもう
寂しさと楽しかったという気持ちが全て詰まったような気持ちになりました。

素直にとても素敵な終わり方でした。


〇総評
あぁ本当に最高でした。素敵でした。
最初でも述べましたが、何よりも主人公が安心して見られるほどかっこよかったのが良い。
そしてそんな主人公だからこそ、お姉ちゃんたちとの姿が安心して楽しめる。
元々下地は最高に良かったので、その後のアフターが安心して見られる出来。
かずきふみさんらしい、家族愛が感じられるお話は、そのどれもが楽しかった。

あぁ終わってしまった充実感と共に寂しさを覚える今ですが、
このようなお姉ちゃんゲーに出会えて本当に楽しかったです。

また時間が経った後に、プレイしたいなあと思わせてくれる作品です。

ありがとうございました。