中学編、学園編、アフター編と、約10年にわたってヒロインとイチャラブし、その可愛さに癒やされるゲーム。ひたすらイチャラブでそれ以外は期待しない方が吉でしょう。
同ブランドの星織ユメミライ(以下、前作と称する)では学園編、アフター編とありましたが、その構成に感銘を受け、銀色、遥か(以下、本作と称する)は、発表されたときから期待を寄せていました。
本作は予約して発売日には購入していたのですが、最初に椛ルートを終了させてから、半年以上積んでしまっていて、残りのヒロインは一気に攻略しました。
中学編、学園編、そしてアフター編までとなると、ゲーム内では約10年の月日が流れ、その分主人公とヒロインとの間にも多くの思い出が積み重なっていき、一つのルートがかなり濃厚であるため、一人攻略するとなかなか次のヒロインに行くのに大きなエネルギーを要するように感じました。
しかし、本作も前作以上の出来であり、同じ、いや、それ以上の感動を得ることができました。
ヒロインとの日常イチャラブを楽しむキャラゲーとしては、最高峰の作品ではないかと思っております。
◆主人公について
主人公『新見雪兎(名前変更可)』
はじめに、主人公について、思ったことを書きたいと思います。
本作のようなヒロインとのイチャラブを堪能するゲームの主人公ならば、感情移入しやすいようあまりクセのない性格の主人公が適しているとは思いますが、雪兎はあまりにもそれが顕著な気がしました。
各ヒロインの√によって部活が変わるし、将来就く仕事もヒロインに大きく影響されて各√で変わってきます。
お前には自分ってものがないのかと、そう言いたくなりました。
そして、中学編からすでに中学生らしからぬ人格者でした。特にベスリー√の雪兎はストイックと言うよりもはや聖人レベル。いきなりボランティア精神全開で、こんな中学生いるか?というのが正直な感想です。
主人公に感情移入してプレイする人ならこの雪兎のようにクセのないタイプが良いのかもしれませんが、第三者視点で客観的に物語を楽しむ私としては、この主人公はあまりにも退屈でした。
◆各ルートの感想
◯共通ルート
共通ルートから、攻略したヒロイン順に感想を書きたいなー、と思ったのですが、共通ルートをやってから相当時間が経ってしまっているので、細かいところまでは思い出せないっていうのが正直なところです。ちゃんとプレイ中にメモしておけばよかったと反省しております。
椛ルート終わらせて、再開するときに、時間が経っているし、最初からプレイしようと試みたのですが、少し退屈に感じてしまったのと、個別ルートの長さを考えて個別ルート分岐点から再開してしましました・・・。
結論でいえば、共通ルートにおいてはそれほど印象的なイベントなどがなく、各ヒロインとの出会い、そして交流を深めるきっかけとなるワンルーム学級が始まったくらいでしょうか。あと、妹(義理)の雪月が主人公のことを「おにーちゃん」と呼べるようになった、ということくらいしか覚えていません。
下記は、各ヒロインの個別ルート感想になります。攻略順に書いていきたいと思います。
ただし、椛ルートに関しては、かなり前なのであまり覚えてなく、ほとんど書けませんでした。
◯名白椛
演劇に憧れる主人公のクラスメイト。
第一印象は、ベスリーと双璧をなす第二のヒロインだな、という感じでした。実際共通ルートでも、ベスリーと同じく雪兎のクラスメイトとして、物語の中心的位置にいたかと思います。
椛ルートは攻略してからこの感想を書くまでに、かなり時間が経ってしまっていて、細かいところまで思い出せません。すみません。
◯如月瑞羽
主人公の幼馴染の1つ年上のお姉さん
中学編では、幼馴染ということもあり、付き合う前から結構イチャラブしています。水族館でデートするシーンや、雪兎の部屋で一緒に音楽を聴くシーンが印象的でした。
お互い恋人が出来たときのことを想定して、練習という体で水族館デートするのですが、恋人として隣を歩いているのが自分以外だったら嫌だという感じで、お互い両思いであったということに気付きます。ここのシーンはとても良かったですし、悶ましたね。
学園編では怪我をした瑞羽を支えるため、料理部に所属して、栄養管理、リハビリについて調べるなど、将来の進路に影響を与えるきっかけに出会います。前にも書きましたが、各ヒロインのルートで所属する部活が変わるのがちょっと気になりました。
アフター編ではオリンピックに出場し、子供のころから約束していた金メダルを獲得するまでのお話です。金メダルを獲得して、終わり方としては綺麗だなと思ったのですが、その後アリサはどうなったのか等、少し描写不足なのかなと思いました。
あと、佐野コーチは出番の多さ的に立ち絵があっても良かったのではないでしょうか。
◯新見雪月
主人公の義理の妹。再婚した母親の連れ子である。雪兎とは本当の兄妹みたいになりたいと思っている。
中学編での雪月は、雪兎と本当の兄妹になろうと色々努力しています。手を繋いだり頭をなでてもらったり、傍から見たら恋人だろってことをやっているのですが、兄妹なら普通だよという謎理論が発揮されます。次第に、お互い兄妹という想いではなく、恋愛感情に気づいていくのですが、ここで急に雪兎が、「兄妹では普通こんなことしないよ・・・」と雪月にマジレスするシーンがシュールで笑いました。電波塔の展望台で告白するシーンはCGも美しくとても良かったです。
学園編では、雪月と雪兎は量子部に所属し、お菓子作りをやります。洋菓子についていろいろな雑学が出てきて、ためになりました。学園編で、ベスリー達や両親に付き合っていることを告白するのですが、シリアスシーンは一切なく、「そんなの知っていた」程度で済まされます。義理とは言え一応兄妹なのだから多少なりとも反対されて、世間体と恋愛感じぃうに葛藤するシーンを期待していたのですが、そういうシーンがまったくなくて肩透かしを食らった気分でした。しかし、料理部で亡くなった雪月の父親が出演している番組のビデオを見るシーンがあるのですが、そこはものすごく感動してしまってボロ泣きでした。
ラストの方のクリスマス市で、雪月が母親の優子に将来パティシエールになりたいと告げるシーンは結構泣きましたね。やはり家族が絡んでくるとどうも涙腺が緩くなりがちです。
アフター編では、主な舞台がイタリアのローマに移ります。パティシエールとして修行する雪月が、雪兎と協力して自分のお店を出すために奮闘する姿が見られます。仕事も恋愛も挫折すること無く成功し続けていくので、もうちょっと山あり谷ありでも良かったのでは?と思ってしましました。パティシエールの修行だってそんなに簡単なはずではないはずです。あと、雪月の師匠であるチューザレさんの出番がもうちょっと欲しかった気がします。雪月の父親の師匠でもあるので、そこをもう少し掘り下げても良かったのではないでしょうか。雪月アフター編では舞台がローマなだけあって、いろいろなイタリアンスイーツが出てきます。聞いたことないスイーツばかりだったので、プレイ中調べたりしました。最後のコンペティションのところで、雪月がトラブルに遭ってしまい、雪兎が大声で励ますシーンでは、中学編からのお菓子作りの思い出が生かされた演出だったと思います。本作の中でもかなりのお気に入りシーンです。
雪月ルートED曲、佐咲紗花さんが歌う『sweet wish』は、お菓子がテーマの雪月にぴったりなポップでキュートな印象で聴いていて楽しくなる曲でした。
◯蒼井雛多
主人公の一つ下の後輩で雪月の親友。明るい性格で誰とでも仲良くなれそうなギャル系ヒロイン。
雛多ですが、本作が発表されてキャラのビジュアルが出たとき、一番自分好みのキャラだったので、早く攻略したいなあと思ったヒロインでした。結局ベスリーを最後に攻略しましたが・・・。
中学編ではワンルーム学級の中心的人物としてみんなを牽引していきます。雪月の親友ということもあり、雪兎の家にかなりの頻度で登場し、雪兎の部屋で一緒にアクセサリーを作ったりします。そしてお互いだんだん惹かれあっていく、といった感じです。雛多は誰とでも仲良く、クラスの男子にも人気があり、雛多が男子に告白されるシーンがありました。これは他のヒロインのルートではなかった展開だったですね。男子から告白されたことで、雛多は自分の、雪兎のことが好きなのだという気持ちにはっきりと気づき、ワンルーム学級の教室で勢いよく雪兎に告白します。ここら辺は勢いがあって学生らしくて良いなあと思ったポイントです。中学編ラストの、雪兎の卒業式のシーン、雛多が勢いよく抱きついてキスするシーンが素晴らしかったです。
学園編では雪兎と雛多が自分の将来について考え始めます。いろいろやりたいことがある雛多、動物セラピーに興味を持ち始める雪兎、といった感じです。そして、学園編からいよいよエッチシーンが出てくるのですが、雪兎たちは度々ラブホテルに行きます。他のヒロインのルートでは割と品行方正で紳士的な雪兎が、ラブホ通いとかDQNかよ・・・と思いましたね。まあ家には雪月もいるでしょうし一番安全な方法なのかもしれませんが。ラストの方の雛多のセリフで、「人生にまわり道なんかない」というセリフが、本作で一番心に残っています。
アフター編では、大学時代をすっ飛ばしていきなり社会人として活躍する雪兎と雛多のストーリーが始まります。獣医となった雪兎と、専門学校を卒業してアパレル店員として働く雛多、という設定から始まります。2人は同棲を開始していて、かなり甘々なイチャラブとかが見られますね。欲を言えば、雪兎が獣医になるまでの過程とか、少しでも良いので見たかった気がします。最後の、雪兎、雛多、2人の子供と新たに生まれてくるであろう2人目の子供(雛多が妊娠している)CGは、とても幸せな雰囲気で見ているだけで心が温かくなり、この家族の幸せを願わずにはいられませんでした。
◯ベスリー・ローズ・ディズリー
カナダからの留学生。中学編ではパイロットである父親の仕事の都合で日本にやってきます。前述の通り、ベスリールートの雪兎は聖人さながらで、積極的にプール掃除などに参加します。まず、そこが気になりました。中学編後半で、雪兎がベスリーに告白するのですが、一度振られます。しかしベスリーも自分の気持ちに気づき、再開を約束してカナダに帰っていきます。
これと言って印象に残っているシーンがないのですが、プール掃除後に二人でシャワーを浴びているシーンと、ベスリーが雪兎に、初めて唇にキスをするシーンは良かったです。
学園編はベスリーが留学生として再び雪兎達のところにやってくる1年間が舞台となっており、雪まつりへの参加がメインとなります。雪まつりへの参加で感じる壁、うまくいかないことや何かを諦めること、そしてみんなで協力して目標を達成するというように、まさに青春の1ページと言った感じでした。
ベスリーは雪兎の家にホームステイするのですが、年頃の男女が同じ屋根の下で生活するのはどうなのだろう、と思いました。ベスリーはホームステイでやってきているため、雪兎は自分の父親に、間違いだけは起こすなよと釘を刺されます。しかし、優等生の雪兎には珍しく、守るつもりはないとベスリーに言います。また、ベスリーとセックスするために、検診を受けてピルを購入しようとし、そのためにバイトしたり、飲み物代などを節約したり、ちょっと必死すぎるのでは?と感じました。
雪まつりの話も個人的にはあまり盛り上がらなかったと感じます。雪上アートも、あんなの一晩で作れるか?など少々細かいところが気になってしまいました。
アフター編トロントでは大学生になった雪兎とベスリーのお話。新しい仲間も加わり、忙しくても充実した生活を送っています。雪兎は次第にベスリーとの将来などについても考え始め、ベスリーの父であるブライアンにも会いに行きます。このあたりでだんだんエンディングが見えてくるという印象でしょうか。雪兎の友人のエミルやジェイク、リリアンなどが出てきて、ここにきてやっと会話劇が楽しいと思いました。
アフター編幌路では、イラストレーターとして成功していくベスリーと、期待の若手広告マンとして活躍する雪兎のお話になります。国際結婚って大変なのだなあと思いました。
最後のエンディングではベスリーの歩んできた歴史がSDキャラによって振り返られます。母親のエリシャを亡くしてからベスリーは世界が灰色に見えていたのですが、幌路で雪兎達に出会い、世界が色を取り戻していき、多くの人に支えられながら生きてきた、というのがエンディングのスタッフロールのところで見ることができます。これを見た瞬間涙が溢れてきて、もう号泣でした。川田まみさんの『happiness.』も、ベスリーと雪兎のこれからを祝福するような明るく幸せな曲で、とても良かったです。
◯総評
全ルートに共通で思ったことですが、まず展開に起伏がないと感じました。イチャラブすることに特化したゲームなので、余計なシリアスなどは不要かもしれないのですが、一つのルートがかなり長いため、流石にひたすらイチャラブでは疲れる、集中力が持続させるのが難しいと感じました。何度も言っておりますが、これはイチャラブに特化しているゲームなので、シリアスを求めるのはお門違いだとは思いますが。
次に、シリアスがないので、雪兎もヒロインも喧嘩など一切しません。少しだけでも仲が悪くなったり険悪なムードになったり喧嘩をしてさらにお互いの仲が深まる、というような展開があっても良かったのかな、と思います。というか見たかったです。
恋愛だけでなく、仕事に関しても挫折すること無く、雪兎とヒロインたちはどんどん成功を納めていきます。プレイしていて、優秀すぎだろ!と思わずツッコミを入れたくなることもしばしばありましたね。その分雪兎もヒロインも努力をしているとは思いますけど。
個別ルートに関しては、メインのヒロイン以外も何かしら役割をもって個別ルートに登場してくるのが良かったと思います。個別に入ると、他のヒロインが不自然なほど出てこなく鳴るゲームもありますが、本作はアフター編ラストまで、ヒロイン同士の絡みが見られたところが結構良いですね。
結論をいうと、ヒロインとのイチャラブを楽しむキャラゲーとしては非常に素晴らしいと思います。他の方もレビューで書かれていますが、一気にクリアしてしまうのではなく、少しずつ時間をかけてゆっくりプレイするのが良いかと思います。
◆音楽について
言わずもがな、前作に引き続き大変豪華なものとなっております。ヒロイン一人にボーカル曲が2曲もありますし、BGMも大変素晴らしいです。美しいCGと相まって、この素晴らしいBGMが物語の1シーンを引き立てています。ボーカル曲で特にお気に入りなのは、川田まみさんの『happiness.』、Ducaさんの『beloved story』、佐咲紗花さんの『sweet wish』です。
◆CGについて
CGも大変素晴らしいです。立ち絵だけでもかなりの差分がありますし、エッチシーンのCGなんかは抜きゲーにも引けを取らないくらいエロかったと思います。絵師さんの頑張りをとても感じることが出来ました。
◆システム面について
一切ストレスを感じることのないシステムでした。バックログで少し前のシーンに戻ることも容易に出来ますし、プレイ時間がかなり長めなので、そういったシステム面にストレスがないということは非常に重要だと思います。
長々と書いた上に自分で思うままに書き連ねてきたので、文章的におかしいところもありますが、『銀色、遥か』感想は以上となります。