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meroronさんのChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1-の長文感想

ユーザー
meroron
ゲーム
ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1-
ブランド
インレ
得点
75
参照数
1719

一言コメント

くそっ、乳首が気になって仕方がねぇ!!! 細かいことに目を瞑れない性分の人は引き返すべきかも・・・? シナリオは賛否両論有りそうなのにも関わらずこの高評価だが―――――

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

inreの元となった同人サークル『れいんどっく』の過去作は四季の詩だけプレイ済み。


本作は非常に感想を書くのが難しいが、とても書き甲斐のある作品だな、と思いました。

1~3章が好き、という人は多いですが自分はそこまで熱中出来なかったような気がする。

いや、もちろん楽しむ分には楽しめたのだ。
四季の詩のときも感じたが、こよーて氏の文章は非常に読みやすい。
長ったらしい地の文は極力抑え、読みにくさを助長させるような言葉は使わない。 軽快な会話で物語を形作る手腕は丸戸氏を彷彿させるかのようだった。
(もちろん、台詞の雰囲気、物語の構成などは丸戸氏と全然異なる)

そして四季の詩から驚くほどの進化を遂げたぬい氏によって描かれた多彩なキャラクターの立ち絵。
(心配になるぐらいの労働量じゃないだろうか……)

この2つが融合して作られたの飽きない物語は見事だった。

1~3章はそれに加えて魅力的なヒロインを主軸に据え、エロゲーマーたちを虜にする。
それは紛れもなく『萌え』の感情。
これだけ多くの萌えキャラクターがいて萌えるキャラが皆無という人はあまりいないと思う。

キャラ萌えゲーとしては十分すぎるぐらいの出来だ。


4章はウンチク話ということで退屈だという評判が目立つが、私としては楽しめた。
純粋にこのようなエロゲーという媒体で歴史に関しての知識を読めるのは新鮮だったのだ。

それは他の章でも現れており、江戸時代で混浴は当たり前だとか、大阪では桶に小便をするだとか、さりげない日常で知識欲が満たされるのはなんとも心地よかった。


5章は、アレです。 私はもう半分ネタとして見ていたので楽しめました。(それでいいのか)
この章をやっていて、ついつい『ひぐらしのなく頃に』の祭囃し編を思い出してしまいましたね。
雰囲気としてはあれに近いんじゃないかなぁ………と。
FD出す気満々な内容ですし、純粋にキャラクター萌えしたい人は喜んでいいんじゃないかなぁと思います。





さて、私が1~3章であまり熱中できなかった理由を説明していませんでした。

それは一言感想であるような細かいことに目を瞑り切れない性分が私にもあるからなのかもしれません。


女性が武士であることになんの疑問も抱かれない世界
乳首をモロに出しているキャラクターたち
ご城代の摩訶不思議身体変化
体に張り付く衣類(とくにおっぱいだNE!)
バター犬
ほとんどが女だけど吉良は男
そんな吉良がイケメンに!?!?
ウワアアアア蛇がデタアアアアア

~とりあえず1章時点~

実は同人時代に假名手本忠臣蔵はプレイしていまして、1章をやり終えた時点では『もう続きはやらなくていいかな………』と思ってました。

バカゲーのような設定とキャラクターたちなのにも関わらず真面目なシナリオゲーをやろうとしているそのチグハグ感が実は苦手で、おそらく商業化されてここまで話題になっていなければ手を出さなかったでしょう。

そして話の終わりには『またループかよ……』って思ってしまい、期待できなかった。

さらに申すならば忠臣蔵は元々の原作があり、特に1章はそれに大幅なアレンジ加えたものでを……オリジナル性を大きく感じられるものではなく、そこが気に入らなかったのです。

けれども商業化した本作をプレイして、システム環境が格段とよくなりキャラにボイスがつくことで、進化したChuSinGuraは悔しいけど読み進めたくなるような魅力を持っていると思わされました。


というわけで2章以降は頭をほとんど空っぽにしました。


うわ、混浴だ・・・・・・ハーレムだ・・・
獣姦してるwwwww
新六さんなにオナッてんすかwwww
なんだこの孫太夫とかいう人・・・あざといぞ・・・
ウワアアア安っさんがダークサイドにィィィ
え、主税さんなんかめっちゃあざとくね?
なんで女体盛りの妄想で1枚絵使うんだよwwwww
ウワアアアアアロリコンの俺たちが出演してるソぞオオオオオ
新八ちゃん、なにこのヤンデレ妹キャラ・・・。
お初ちゃんはかわいいなぁ^^
ちょっとまってこの4人の方殺されるためだけに立ち絵描かれたのwwww
平左衛門とかいうwwwwクズwwwww
あ、でもお初ちゃんは僕が買いますね^^
え、なんでそこでセックスするの^^;
不人気の右衛門七さんか・・・。
妄想の放尿シーンのためだけに・・・1枚絵を2枚・・・だと・・・?
うなぎwwwww
カニwwwww
なんか骸骨デタアアアアアアwwww
イケメン吉良消えたwwww
これがラスボs・・・・・・そんな伏線分かるわけね―だろwwwww
なにこの赫夜って子・・・めっちゃ服装エロくて好みなんだけど・・・
なんだこの少年漫画的集合大決戦・・・
とりあえず赫夜をヒロインで出してよ・・・
なにこの展開、どう考えてもFD出す気満々じゃないっすか・・・。
ダーク赤穂www
なんでお初ちゃん来てるのwwww
安っさん飛びすぎwwwww
おおおおすげぇ走ってる走ってる!
赫夜ちゃん殺すなよぉぉぉぉぉぉ!!
孤島でハーレム・・・だと・・・。

~2章から5章まで~


と、プレイ中の私のリアル感想としてはこんな風です。
時折笑いながら、そして心のなかでツッコミながら楽しんでました。


しかしながら、私はバカゲー・萌えゲーとしてのChuShinGuraは好きですが、内容の熱さ・シナリオの構成・純粋なキャラゲーとしては好きじゃありません。

やはり、キャラクターたちが萌えキャラとして都合よく構成されたように思えてしまい、魂を感じることが出来ない。
『萌え』という記号を優先してしまって、キャラクターの人間らしい醜さ・弱さがあまり描かれず、私にとって本作のキャラクターはひとりの『生きた』人間ではなく『記号』としての人間に見えてしまったのです。

故に、そのキャラクターたちに『生』を感じず、作品の『熱』を感じることも出来なかった。
根本的に私が萌えゲーに不向きという問題があるかもしれませんが、ただの一個人の評価として捉えてくれれば幸いです。

またシナリオの構成としても、ループを使った手法だがひぐらしなどの有名作を超えるようなループの使い方・描き方をできていなかったように思える。

ループするということは、一部は別として、それまでのキャラクターたちの想いや記憶が帳消しにされます。

私はキャラクターの生き様や想いを重点的に見たいと思う人なので、それまでのシナリオはなんだったのか………と私は思ってしまうのです。
主人公はループしていますが、共感したり応援したりするような名主人公ではないがために、例外的に積み重なったものも浅く感じられてしまう。

1章が終わった時点で、この忠臣蔵という登場人物がみんな死ぬ設定にループを持ってきたとしても終わり方に大きな問題が生じてしまわないだろうか、と危惧しました。
その予感は的中し、少なくとも自分にとっては満足の行くシナリオゲーとは言い難かったような気がします。

だから私としてのChuShinGuraの評価は

燃えゲーの皮を被った純粋な萌えゲー

に尽きます。





しかし、hotpants氏の長文感想を読んで悪寒が。

もしかしてこの自分が指摘したような点も全てライターの計算内だと・・・?

全ては主人公の主観的な物語であり、真実は明かされてないだけの猫箱・・・?

もし偶然にもこの感想を読んだ人がいたら、氏の長文感想を読むことをオススメします。

この作品に対する見方が大きく変わるでしょう。



けれどもやはり自分は生きたキャラクターを見続けていたいので、やはり点数としてはこれくらいになってしまいます。



追記:こよーてさん、ぬいさんの涙ぐましい仕事量、圧倒的ボリューム、そして作品の熱を考慮して点数を80→85に修正。