鳥羽莉を筆頭に、魅力的なキャラクターの揃っていた本作。それぞれの生き様、まさに「流儀」を、皆さんも体験してほしいですね。
【プレイ時期】2022年10.11月
【グラフィック】4/5
さすがに年代相応の古さは否めませんが、それでも今プレイしても十分楽しめるイラストでした。立ち絵以上にイベントCGで目を引くものが多く、16年前の作品とはとても思えません。
【サウンド】BGM 5/5 ボーカル 5/5
BGMで満点をつけることは個人的にあまりないのですが(判断する音楽的素養がないため)、素人ながらとてもよいBGMだったと感じました。メリハリが効いていて、シナリオをよく引き立てていたように思います。
ボーカルについては、とにかくOPのRed-reduction division-が強すぎますね。鳥羽莉ルートとIFルートではEDも兼ねており、強く印象に残る構成でした。
true eternityも素朴ながら心地よく、ボーカルが2曲しかないとは思えない満足感です。
【システム】3/5
自分が見つけられなかっただけなら申し訳ないですが、最後までバックログが見つけられませんでした…。マウスのホイールを上向き?に回せば一つ前のワードには戻れましたが、全体を見たい時には不便だったかなと思いました。
【シナリオ】65.4/80
<共通> 8/10
せせりの告白から始まる物語。鳥羽莉への胡太郎の不器用な感情。そして、劇。
ドタバタと楽しい日常の中に、上手く非日常が織り交ぜられており、読み手に興味を持たせ続ける良い共通パートだったかと。
共通パートからガンガンHシーンが入ってくるというのも、自分が今までプレイした中ではかなり珍しい構成でした。とはいえ、そこに愛があったか?というのが最後まで尾を引くとは、この時の自分は露ほども思っていないのでした…。
<涼月> 7.2/8
今どき、この手のキャラクターは見られないぞ…!と違う意味で感動したキャラクターでした。
一言で言えば、理不尽暴力系ヒロイン。なんですが、不思議と不快には思わなかったんですよね。彼女の、周りに向ける「嫌い」以上に彼女自身に向ける「嫌い」の方が強いのが感じられて、そこまで理不尽には感じなかったからかなと思います。
初手のなぜ嫌われているのかわからん状態からすると、終盤の心を開いてくれたシーンには、とても嬉しくなりました。その手段があまり綺麗でないのも、また彼女らしさかと。
最大級の賛辞を込めて。このルート、とても嫌いじゃなかったです。
<せせり> 5.6/8
好意を全力でぶつけてくる、猛烈明るい後輩。裏表のない清々しい好きの気持ちは、安心してみていられました。
一方、最後の最後まで好きかどうかを自覚できない主人公や、この手のキャラにしては裏がなく、涼月に比べ意外性に欠けてしまった印象もあったり。演劇についても、せせりを押し出すために無理やり鳥羽莉を退場させたような感じになってましたしね。
キャラクターに魅力はありましたが、シナリオとしては普通の域を出ないルートだったと思います。
<鳥羽莉> 13/15
このキャラは…「強い」、なぁ…
とにかく、魅力に溢れていたことに間違いないです。
性的にイタズラしたり、イマイチ感情が読めないミステリアスさだったり。つかみどころのないまま話が進みますが、終盤の展開でなんかもうどうでも良くなるくらい感情がぐちゃぐちゃになりました、ええ。
エンディングテーマ流した後からの怒涛の展開は、ズルいですよ…笑
ここまできてBADENDか?と思わせるような展開だっただけに、最後はそれなりにハッピーな結末になって嬉しかったです。
ただ、胡太郎という人間の貴重な15年くらいを失っての結末なので、trueではひと時も離ればなれにならない、最高の結末を期待したいですね。
<朱音> 4.8/8
面白いところをなるべく取り上げたいのですが、このルートについてはあまり良さが分かりませんでした。
正直、攻略する順番が悪かったと思います。鳥羽莉の後にやってしまうと、どう攻略しても脳裏に鳥羽莉がチラつくんですよ。
ただ、吸血鬼にしろ、姉妹愛や姉弟愛にしろ、イマイチ焦点が合っていない印象は受けました。朱音もエロいロリお姉さんになっちゃってたので、もっと可愛いところを押し出せれば、個人的により楽しめたかなと思います。
にしても、鳥羽莉に心奪われすぎてて、残りの火乃香さんや千佐都が不安です…なるべくフラットに楽しみたいのですが…
<火乃香> 5.6/8
最強メイドさん。一家に1人欲しいタイプの人ですね。
突然出てきた設定もあり驚くところもありましたが、おおよそこの手のタイプのキャラクターになっていたと思います。最強と見せかけて意外と脆いところがあったりとか、ウブなところとかね。
メインを張るには少々力不足な感じが否めませんが、サブヒロインとしては上々だったかと。
<千佐都> 7.2/8
幼馴染としての感情が発露したシーンは、今作の中でも屈指の良いシーンだったと思います。
どうしようもないほど、胡太郎の中には鳥羽莉がいて。そこからの切り替えというのは簡単にはいかないけれど、すこしずつ変わっていく関係というのが、心地よいシナリオでした。
最後、鳥羽莉との幼馴染ーズで締めくくられれば、より良かったとは思いますが…それを抜きにしても、良いルートでした。
いよいよ次は最終ルートですね。鳥羽莉との完璧なシナリオに超期待です。
<月の箱庭> 14/15
本作を締めくくるに相応しい、とても良い読後感を味わえるルートでした。
どこまでも素直じゃない、彼女の物語。こういう結末になったかと驚き半分ではありますが、それでもハッピーなことには違いないと思うので、うん、良かったと思います。
劇が中心となっていた本作だけに、最後に劇を絡めた話になっていたのは素直に好印象です。永遠という、ある意味最高に難しい課題を乗り越えなくてはならないわけですが、あの2人なら軽々とこなせるだろうと。それだけの愛情を見せてくれたことに、感謝しかありません。
【総評】82.4/100→5点刻みにするため、80点とします。
最初から最後まで、鳥羽莉のための物語でしたね。素直じゃなく、不器用な生き方しかできなかった彼女が、素直になるまでの3週間でした。
とまあ、鳥羽莉ゲーといっても過言でないほど鳥羽莉が優遇されていたことは疑いないですが、とはいえその他のヒロインにも目を見張るものがあり、しかもそれが複数ルートあったのはプレイヤーとしては嬉しい限り。
全体的に見ても、間違いなく良作でした。
鳥羽莉というヒロインに会うために、プレイする価値のある作品です。真っ直ぐだけどキレイではない、そんな複雑な恋愛模様を味わいたい方へ、ぜひオススメの一作でした。