いくつもの顔を持ち、そのいずれも高いレベルにある、優等生な作品。優しい世界で万人受けするタイプだと思うので、まだプレイしていない方には是非プレイしてほしいですね。※移植で追加ルートのある-brighter than dawning blue-の感想を投稿した段階で、本感想の得点はなしにしますのであらかじめご了承下さい。
※夜明け前より瑠璃色な コンプリートパックでのプレイとなります。
【プレイ時期】2020年11月〜21年1月
【グラフィック】5/5
15年前の作品であることを考えれば、今見てもこれだけ通用するグラフィックというのは凄いを通り越してもはや驚異的でもあります。
はんこ絵とは言われますが、それは裏返すとそれだけ魅力的な絵であるのも事実ですからね…。
【サウンド】BGM 5/5 ボーカル 4/5
BGMについては、文句なしです。
平和な世界観を彩る、素晴らしいサウンドだったと思います。
ボーカルについては、OPのeternal destinyやイメージソングのlapis lazuliが良い曲でした。
ただ、true以外のエンドロールがボーカル曲なしなのは少々寂しかったかな…当時はそれが普通だったのかもしれないですけどね。
【システム】3/5
穢翼のユースティア以降驚異的な進化を見せるオーガストのシステムですが、この頃はまだ普通の範囲内ですね。
一度、電池切れでセーブできずに終わってしまったことがあったので、未読スキップ機能が付けられてるとありがたかった…。
【シナリオ】68/80
<共通> 10/10
とにかく雰囲気が良く、最高の共通ではないでしょうか。
朝霧家も、トラットリア左門(鷹見沢家)も、ミア&フィーナも、みんな居心地の良い環境を作っていました。
何が良かったかって、主人公が良くないことをした時にみんな怒ってくれるところ。なかなかこれができている作品は少ないので、好評価につながりました。
<フィーナ> 9/10
高貴だ…。
オーガストってこういうヒロイン描かせたらほんと上手いなあと実感したルートでした。
正直、オチが読めてしまった点で1点引きましたが、非常にハイレベルなルートだったと思います。
姫様と付き合うだなんて羨ましいなぁ…
あと、剣道と君主論に少しだけ詳しくなったよ…笑
p.s.フィギュア買っちゃった…笑
<さやか> 3.5/6
なんだかすごく惜しいなあって感じのルートでした。
なにが惜しいって、一流の素材が集まってたことです。努力し何が必要かを理解している主人公、それを近くから遠くからしっかり見ている優しく頼りがいのあるヒロイン(姉)、などなど。
それでもなぜか、私の心には響かなかった…
世間の皆さんは、もう少し高評価なルートだと思います。
残念ながら私には合わなかったんだろうなあ…無念。
<菜月> 4/6
幼馴染。
バイト仲間として、ツッコミ役として、不器用ながらに良いキャラしてたと思います。
全編に渡って、優しさや達哉への想いが滲み出てる、まさに良幼馴染。
ただ、ストーリーとしては平々凡々かと。
遠距離恋愛になってしまう苦悩なんかは現実世界でも見たことあるなあって感じではありましたが…
決してつまらないというわけではないですが、突き抜けて面白いわけでもなく。
菜月というキャラを愛しながら読むのが1番楽しめるかと思います。
<麻衣> 6/6
いや、こりゃ人気出るわけだよ…って感じの義妹でした。
声良し顔良し性格良し。
すっかり虜になっちゃいました。
オーガストあるあるな複雑な家庭事情でしたが、それだけに厳しく、自分たちの中で結論を出す姿には好感が持てました。
フィーナもさやかも、このルートでは大事な役割を担っていましたしね。
どことなくこのルートだけ雰囲気がメモオフ っぽくて、懐かしい気持ちになりました。
関係ないけれど、デスマーチした時の「イタダキマース」がすごい好き。
<ミア> 5/6
フィーナ様のメイド。
じっとりとしていた印象の麻衣ルートに比べて、かなり爽やかにまとまっていたんじゃないでしょうか。
オチに関しても、正直自分の予想とは正反対で驚きました。
そっちかぁ、と。
達哉との恋愛だけでなく、フィーナとの信頼関係が描かれていたのも好印象でした。
<リース> 4.5/6
正直、第一印象は「なんだこのクソガキィィ‼︎」でした。会話しようとしてもほとんど返事を返してくれないし、全然心を開いてくれないし。
それだけに、主人公がリースに惹かれていく理由が理解できなかったです。もっと良いヒロイン周りにいっぱいいるじゃないかと。
とはいえ恋愛の点さえ除けば、まずまずのルートだったように思います。今までのストーリーとはうって変わってシナリオ重視の話で、目から鱗な新展開が目白押し。
ここで終わっちゃうのか?という感じはあったので、この後の集大成、「夜明け前より瑠璃色な(グランドルート)」の出来でリースルートの印象も大きく変わるかも、と思っています。
<夜明け前より瑠璃色な> 26/30
この2人には永遠に幸せであってほしい。そして、2人にはそれを達成するだけの力と信頼関係がある、そう強く思えるtrueでした。
このルートで1番印象が変わったのは、上述してますがやはりリースです。
まあ重要な役割を担っていないはずもなく。
徐々に心を開いてくれるけどやっぱり素直じゃないリースがとても可愛かったです。
月と地球の関係性については、やっぱりどこか理想論じゃないかと思ってしまう側面は否めないです。とはいえ、これまでの経験を踏まえて熱く語るフィーナには心動かされるものがありました。
個人的には、もっとロストテクノロジーを全面に出したファンタジーな世界になると思っていたので少し拍子抜けした部分もありましたが、最後を締めるにふさわしい出来でした。
【総評】85/100
買ってよかったなあ、と心から思える作品でした。
笑いあり感動あり、ほんのりシリアスもあり。一作で何粒もの味がある、マルチな作品だったと思います。
何がすごいって、そのどれもが高レベルなこと。FAと違って、trueのために個別ルートが犠牲になることもなく、全てが綺麗にまとまった作品でした。
ここまで読んでいただいてまだ未プレイの方がいましたら、是非プレイすることをオススメします!
オーガストが大御所メーカーまで上り詰めるきっかけとなった作品、やる価値はあると思いますよ。