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memoffさんの創作彼女の恋愛公式 アペンドの長文感想

ユーザー
memoff
ゲーム
創作彼女の恋愛公式 アペンド
ブランド
Aino+Links
参照数
461

一言コメント

思うところはあったが、プレイ後はやって良かったと心から思えました。彼女に新たな可能性を提示してくれたことに、感謝しかない。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

※無料のアペンドパッチのため、採点はいたしません。ご了承ください。

【シナリオ】
<エレナ>
ミニアフターストーリーとは書いていましたが、想定よりだいぶ短いですね!
まあ、無料なのですから一切の不満はありませんが。
シナリオとしては、良くも悪くも本編と変わらず。
前を歩くエレナに、寿季が追いつける日は来るでしょうか。少なくとも追いつくまで寿季はクリエイターを辞めないでしょうから、ある意味安心なのかもしれませんね。

<ゆめみ>
最後まで、絵を描く理由は寿季だったゆめみ。それはアフターストーリーでも変わらず。
割とすぐ迷走するのもあるあるなのかもしれませんね。とはいえ、目指すべき帰結の定まっているゆめみのことなので、いずれ迷わずに進むのでしょう。もちろん、ゴールは寿季のままで。

<桐葉>
付き合った後のデレ桐葉の破壊力たるや、凄まじいものがありますね。面倒な部分のある性格だからこそ、素直さがよく引き立っていたと思います。
正直、感想は桐葉かわええ…しかないです。

<逢桜>
本アペンドは、逢桜のために作られたと言っても過言ではないのでしょうね。

奇跡なんて、いらない。
そう言っていた逢桜に奇跡が起きたものの、失ったものも大きくて。
何より、死ぬことを受け入れて創作に打ち込んでいただけに、抜け殻のようになるのは理解できます。

本編ではOPタイトルの奇跡なんか、いらない。をエピソードに絡めていましたが、本アペンドではエピソードEDテーマのタイトルであったRe:createを絡めていて、本当によくできていると思いました。また、寿季が応募した小説のタイトルが桜と紡ぐ物語だったのも、寿季の心情がこれでもかと表されており素晴らしいと思いました。

個人的には、本編のラストは逢桜が亡くなったものと受けとりました。そうなると、本アペンドとは矛盾するわけですが…
逢桜が生きているのが正史ってことで理解していいのかな。どちらの終わり方も甲乙つけ難くどちらも受け入れられるだけに、本アペンドがIFに過ぎないのか気になるところです。

【総評】
正直、「逢桜 BAD END AFTER」の文字を見た時はアペンドをプレイするのをやめようかとも思いました。
「読み手がどう受け取るかは知らないけれど、私たちは幸せだった!」
という締めだったのに、製作者側がBADENDと付けてしまうのかと失望したためです。

しかし、プレイしてみると意味合いがまったく違うことがわかりました。逢桜が亡くなったこと(=本編?)をBADENDと付けていたわけではなく、クリエイターとして死んでしまったことをBADENDとしていたのです。
これは予想外でした。とはいえ、クリエイターの生き様を描いた作品だけに、そちらをBADとし、クリエイターのまま亡くなったと思われるエンドをBAD以外の何か(GOOD?HAPPY?)としたのは素晴らしいと思いました。

本編の終わり方、及び本アペンドの立ち位置というのはかなりの点で読者に委ねられていますね。個人的には↑のように受け取りましたが、読んだ人の数だけ答えがあるのだとも思います。
ビターエンドも好きです。とはいえ、クリエイターとは関係なく、人として逢桜を好きになっていたので、生きて幸せになる可能性を提示してくれた本アペンドはやはりプレイして良かったと、心の底から思っています。