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memoffさんのLOVEREC.の長文感想

ユーザー
memoff
ゲーム
LOVEREC.
ブランド
ALcot
得点
75
参照数
113

一言コメント

モノを大切に扱おう、そう思えただけでやる価値のある作品でした。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

※iPhoneでのプレイです。PC版とは一部異なる可能性があります。
<追記>iPhone版にはハーレム√がないみたいです。FDはそこが前提なので、こだわりのない人は是非PC版でプレイすることをオススメします。
【プレイ時期】2023年3月〜5月

【グラフィック】4/5
女の子はとても可愛く描かれていたと思います。ええ、女の子は。
共通ルートの集合写真での主人公、どうしてあんなことに…他のCGではそこまででもなかっただけに、あの場面が際立ってしまった印象です。
主人公の顔はあまり出ないので、せめてテンションの下がらない程度にとどめて欲しかったですね。

【サウンド】BGM 5/5 ボーカル 4/5
BGMについては、文句なしです。場面にあった雰囲気の曲が取り揃えられており、曲数ともどもバランスの取れていたポイントだと思います。
ボーカルについては、普通に良い、といった感じですね。作品と合ってはいましたが、極端に心に残るほどのものでもなく。まさに丁度良い曲でした。

【システム】3/5
ここはiPhone版であることが一番出てしまったポイントだと思います。BGMの曲の繋ぎがかなりぶつ切りであったり、スキップやバックログを出す難易度が高かったりと、絶妙にフラストレーションのたまる仕様でした。

【シナリオ】59/80
<共通> 8/10
ひょんなことからカメラの精霊が実体となり…?
というとても楽しい展開でしたね。
魔法という便利パワーも相まって、不快になるような展開もなく、安定して楽しめる共通ルートだったと思います。
主人公が現実にいたらかなりヤベェ奴で、おそらく浮いてしまうんだろうとは思いますが、家族友人共々優しく接してくれるのはフィクションのありがたみを感じました。

<乃梨> 10.5/15
プロのクリエイターでもある後輩ちゃん。
人見知りキャラでしたが、周りの人達のおかげでどんどん心を開いてくれましたね。そのスタイルはもちろんのこと、意外とノリが良いのも魅力的でした。

シナリオは、親との話が主眼が置かれていたと思います。とはいえ、そればかりではなく、むしろ部活の楽しい会話劇が多く、気楽に読み進めることができとても良かったと思います。

すごい先見の明だなと思ったのは、バーチャルアイドル・アイですね。vtuber、キズナアイ、そして話題のAIと、三重に被っていて凄いなと思います。2015年のゲームでこのアイデアが出てきたのは感嘆です。いっそalcotが先陣を切れば良かったのに(暴言)。

<美悠紀> 11/15
ドS天才クリエイター。
とそれだけで紹介してしまうとただのヤバいヒロインですが、実際はドSっぽい言動なだけで他人のことを思いやれるとっても良い娘でしたね。
照れ顔スキーとしては、赤面がとても多く満足できたルートでした。ドSに見せかけてすぐ照れるあたり、良いバランスだったと思います。

それにしても、このヒロインにここまで信頼される主人公の腕前が凄すぎますね…
執着しないことをこれでもかと見せられた中で、主人公だけには執着する、この快感は得難いものでした。
最初は尖っていた美悠紀も次第に丸くなっていったのがとても印象的。
最終的にどれほどの映画監督になれたのか、その後の人生が気になります。

<千穂> 12/15
チホリン、わこつ!
当方には「他ルートで負けヒロインムーブをしているキャラのルートは最強」という古より伝わる摂理があるのですが、まさにその通りのルートでした。美悠紀ルートの千穂はそういうムーブでしたので、否が応でも期待は高まっていましたが…満足いくルートでした。

キャラクターとしても、こんなに可愛い!家事上手!母は芸能人!甘やかしまくり!と非の打ち所がない女の子でしたね。自分にもこんな幼馴染が欲しかったんですけど…
若干歪んだ愛情もありますが、シンプルに可愛いキャラなので人気も高いんじゃないですかね。
こういうのでいいんだよ。と、心の中の井之頭五郎が呟いていたのでした。

<ヒトミ> 17.5/25
ご都合主義という単語があります。批判的に用いられることの多い言葉ですが、個人的にはあまり使いたくないものでもあります。言い過ぎると物語を楽しめなくなるので。

とはいえ、このルートがそうではなかったかというと…正直、ご都合主義感がかなりありました。
序盤〜中盤のイチャコラまではとても良かったですが、終盤になってからは置いて行かれてしまいましたね。伏線もある程度張られていたとはいえ、ここまで落とすことないのに…と感じてしまいました。
最後も、カメラの精霊から電子データの精霊になったからどこでも行けるよ!というのは…そっかぁとしか思えませんでした。
まずまずのクオリティだったとは思いますが、いっそ無駄なシリアスは省いてイチャイチャに特化した方が良かったかなとも思いました。

【総評】75/100
極端に素晴らしいルートがあるわけでもないが、かといってダメなルートがあるわけでもない、全てにおいて平均より少し上をいく、そんなゲームでした。
あなたが笑顔で過ごせるように、という願いが随所に表れていて、優しい物語であったと言えるでしょう。
ALcotに対し求めているゲームはこういうのだよねぇ、と頷けるお手本のようなゲームだったと思います。惜しかった点は、グランドヒロイン・ヒトミのルートの終盤がイマイチハマらなかったことですね。それを除けば、概ね満足できる内容でした。